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写真:朝日新聞社/アマナイメージズ

戦後30年目に誕生した大ヒットソング

本日のソレナニ図鑑は、40年前に発売された大ヒット曲を紹介します。その曲は、1975年(昭和50年)12月25日に発売され、翌年の売上チャート初登場から、11週連続で1位を記録し、再発盤も含めて450万枚以上を売り上げました。2008年(平成20年)には「日本で最も売れたシングル・レコード」として、ギネス世界記録にも登録。次から次へと舞い込んでくる注文に対応するため、レコードの製造工場では60台のプレス機をフル稼働させ、レコードを生産したそうです。

哀愁漂うイントロではじまる、まったりした低音ボイスの…。もう、写真を見ただけでも、あのメロディーが頭に流れている人も多いはず。そう、子門真人の「およげ!たいやきくん」です。子ども向け番組から誕生したこの曲が、これだけのヒットになった理由は一体どこにあったのでしょうか?

「たいやきくん」はサラリーマンの歌だった?

1976年(昭和51年) 発売された「たいやきくん」のレコードを手にする親子 写真:朝日新聞社/アマナイメージズ

1976年(昭和51年) 発売された「たいやきくん」のレコードを手にする親子 写真:朝日新聞社/アマナイメージズ

『およげ!たいやきくん』は、民放の子供向け番組『ひらけ!ポンキッキ』から誕生したオリジナルソング。たいやきくんの一生を歌う歌詞と耳に残るメロディーが特徴で、子どもはもちろん、大人の間でも話題になり、“サラリーマンが強い共感を得た歌”としても注目されるようになりました。

この曲が流行したのは、1976年(昭和51年)2月に明るみに出たロッキード事件で、政界が大揺れしていたさなか。加えて、1973年(昭和48年)の第一次オイルショック以来、高度経済成長にも陰りが見え、国民の中に漠然とした閉塞感が漂っていた時代。毎日毎日、鉄板の上ならぬ会社の中で、朝から晩まで働きっぱなしのサラリーマンにとっては、生き方に不安や疑問を感じ始めながらも、そんなことを気軽に口にできる時代ではなかったのでしょう。

しかし、そんなサラリーマンとは対照的に、自らの意思で「自由」を求めて海に飛び込んだのが、「たいやきくん」でした。「もし、今の生活から逃げられたとしたら…」。当時、仕事に追われていたサラリーマンは、「たいやきくん」と自分を重ね合わせながらこの歌を聞いていたのかもしれませんね。

時を超え、リア充化する「たいやきくん」

歌詞の上では切ない一生だった「たいやきくん」ですが、数年前に「ガールフレンド」ができたのだとか。それを記念してアイドルグループが歌う37年ぶりの新バージョンもリリース。昔のイメージはどこへやら、ブラスバンドによるアップテンポでノリノリな曲に仕上がっています。「たいやきくん」の焼き型で作った「たいやきくんの鯛焼き」を売っているお店もあり、もう海へ逃げ込まなくてもいいくらい、充実した生活を送っているようです。

あんなに哀愁を帯びたキャラだった「たいやきくん」も、今では女の子にモテモテの“リア充キャラ”に…。毎日毎日焼かれていたからなのか、それとも、ケンカして海に逃げ込んだからなのか。もしかして、売れたおかげですかね。「ポ」も、いつの日かリア充になれますように…。