Kombucha superfood drink in glass

健康食品として一大ブームに

これぞ「ソレナニ図鑑」にふさわしいソレナニ感がただよいます。本日は「紅茶キノコ」です。ドングリを与えて育てる高級豚のように、水の代わりに紅茶で育てるキノコ……ではありません。それどころか、そもそも「キノコ」ですらないのです!

「紅茶キノコ」は、1970年代半ばにはやった「キノコ」のような物体が入った液体のこと。日本では1974年(昭和49年)刊行の中満須磨子さんによる著書『紅茶キノコ健康法』で紹介され、健康雑誌が取り上げたことから、この液体が「健康にいいもの」として広く知られるようになりました。

日本でブームになった紅茶キノコの原産は、中国なのだとか。

1975年ごろにブームになった,いわゆる健康食品。単なる発酵菌の集落であり,キノコではない。原産地は中国で,「海宝」という名で 200年前から飲まれ,ロシアのバイカル湖周辺に伝わり,そこから日本に伝来したという。

『ブリタニカ国際大百科事典』より

クチコミとともに「株分け」で広がる

作り方は、煮出した紅茶に砂糖を加えて冷まし、そこにゲル状の酵母(数種の菌が集まった微生物)を入れ、数日かけて室温で培養させます。その培養液を飲むのです。この酵母がキノコのように見えることから「紅茶キノコ」という名がつけられました。培養液は酸味のある味わいで、そのまま飲んだり料理に使ったりしていました。ちなみに、紅茶でなくてもよく、緑茶やコーヒーでも作れます(ただし、水道水ではうまくいかないようです)。

「紅茶キノコ」は発酵飲料で、抗酸化作用、消化促進、美容効果などが期待できるとして、一時期は多くの家庭で育てられていました。また、培養して大きくなった酵母を切り分ければ新たな培養液も作れたため、友人などに「株分け」できたこともブームに拍車をかけました。しかし、1975年(昭和50年)には、複数の新聞で医学的な効用を疑問視する記事が掲載され、紅茶キノコブームは急速に下火になっていきました。

ニューヨークで健康食品として店頭に並ぶ、さまざまな味の「Kombucha」写真:共同通信社

ニューヨークで健康食品として店頭に並ぶ、さまざまな味の「Kombucha」写真:共同通信社

欧米では現役!その名は「コンブチャ」

日本では一過性のブームに終わってしまいましたが、実は欧米では現在も“Kombucha(コンブチャ)”と呼ばれ、健康飲料として売られています。マンゴー、シトラス、ストロベリーなどの風味がつけられたものもあり、紙パックやペットボトル入りで手軽に買えるのだとか。なぜ、「昆布茶」と同じ名称になったのかは諸説あるようですが、正確にはわかっていないようです。「紅茶キノコ」はキノコでもなし、「Kombucha」は昆布茶でもなし…。時は移れど、とらえどころのない感じは、似ているかも…。

欧米からの来客に、和の飲み物を…と気を利かせて「おいしい”コブチャ”をどうぞ…」と差し出したら「こんなの、”Kombucha”じゃない!」と言われてしまう可能性もありますので、ご注意を。