小ネタ帳

一樹役・星野 源が語ります(その①)

「昨夜のカレー、明日のパン」は小説が先に発売されていたので、小説を読んでいた人はそれぞれの一樹像をお持ちだと思います。だからこそ、いろんな形にフィットするように柔軟に、良い意味で中身が空洞になるよう目指しました。

僕は最初に小説、そのあとに脚本を拝見したのですが、一樹は登場する場面が少ないけれど、不思議と場を支配している面白い役だと感じました。死んでいる分、どこか達観しているんだろうなと思ったこともありましたが、4話で一樹が母親の夕子(美保 純)と一緒に少しあの世から戻ってきましたよね?あのシーンを演じたとき、「やっぱりテツコと同じように、一樹にも思い残すことや未練があったのかもしれない」と思い直したんです。ただ、僕が一樹の未練を感じたからそれを思い切り芝居で表現したかというと、そうではなくて。できるだけ見ている人が想像できるように心がけています。

普段の仕事で、音楽家として音楽に携わる場面では、作詞も作曲もプロデュースも自分でやっているので、自分の思いや自分のやりたいことが最優先です。でも、俳優として芝居をするときはそれが一番いらないものと考えています。役に体を貸しているような感じにしたいから、なるべくその役がどういう人間なのかな?と想像します。僕にとって音楽が「なるべく自分自身でいるようにする」ことなら、芝居はそれとは反対に「なるべく自分自身でいないようにする」ことかもしれません。

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