「し~っ!声を出さずに、対話をする。」 ごとうゆうき、ダイアログ・イン・サイレンスの世界へ初潜入!

“音のない世界”ってどんな世界だと思いますか?


普段、人工内耳(補聴器とは違い、頭の中に電極を通して聴くもの)をつけている私ですが、外すと“音のない世界”に入ります。

私にとって音のない世界は身近なもの。

でも、皆さんにとっては遠いものではないでしょうか?
光のない世界は、目をつぶれば簡単に入ることができます。でも、同じように耳をふさいだだけでは「完全に」音のない世界には入れない。


そんな“音のない世界”に入って、対話できるイベントがこの夏開かれるのですが、メディア向けの体験会があったので行ってきました!

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「手のダンス」:手を動かしてたくさんの表現ができることを知ってもらうプログラム


このイベント、ダイアログ・イン・サイレンスは、1998年にドイツで生まれて以降世界各国に広がったもので、これまで世界中で100万人以上が体験をしたそうです。


日本では去年初めて開催され、今年は2回目の開催になります。

会場では、写真のようなヘッドホンをつけることで音を遮断します。
(私は人工内耳を外してヘッドホンをつけたので、どれくらい音が聞こえなくなっているのかはわかりませんでした…)

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そして、聴覚障害のあるアテンドの人に導かれて、会場内を進んでいきます。
ここでの約束は1つ。

「声が出る人は、声を出さない。
手話が使える人は、手話を使わない。」


参加者同士でコミュニケーションをとる際も、声や手話は使えません。

では、どうやって伝えるのか?

表情や、ジェスチャーで伝えるのです。

でも、日本人は外国人とは違って表情で表すのが苦手だといわれています。
そのため、はじめは体験者のみなさんもなかなか表情に表すことができず、「伝えたくても伝わらない」もどかしさを感じていたようです。


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「顔のギャラリー」:表情に焦点をあてて、表情で表すのが苦手な日本人でも徐々に慣れていくように構成されたプログラム


それだけでなく、アテンドの人が何を意味しているのか分からず、「?」という表情を浮かべる人がほとんど。

ちなみに、私は普段から言語情報以外の情報(表情や口の動き)で補いながら会話をしているため、アテンドの人が何を言っているのかがすぐにわかりました。
普段は聞こえなかったりして辛くなることがあっても、みんなが同じ立場になると「意外と自分って!」と感じ、うれしくなりました…

そして、参加者の人たちが、静寂の中で集中力・観察力を高めて、アテンドの人の意味することを分かった瞬間の「!」という顔はとても輝いていました✨


プログラムを進めていくと、徐々に皆さんの表情は緩み、ジェスチャーは多くなり、言葉を使わない「おしゃべり」が繰り広げられていました。

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「対話の部屋」:声や手話以外の方法でおしゃべりをするプログラム


そしてプログラムも最後の方になると、手話を紹介するプログラムが。

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「手話の廊下」:対話をしながら、手話を紹介するプログラム


ここでやっと手話を知るのですが、皆さん「手話を覚えてあげよう」という気持ちではなく、
「感想を伝えたいから手話を覚えよう」という気持ちが表れていたように見えました。

それが、コミュニケーションの本質のような気がしました。大事なのは言葉ではなく「」なのだということです。


体験後、主催者の方にお話を伺ったところ
「アテンドの人によって、プログラムの進み方や対話の仕方が全然違う。それが面白くて、何回もいらっしゃる方が多いんです。」とおっしゃっていました。

たしかに、表現の方法は1通りではないはず。
100人いれば100通りの表現があるからこそ、コミュニケーションは楽しいんだなと実感しました!

 

音のない世界で、心の声でおしゃべりする。
その意味を改めて考える時間になりました


 

後藤佑季(ごとう・ゆうき)(22)

岐阜県出身 難聴(人工内耳使用)

【趣味・特技】書道準五段 手話技能検定準2級
【スポーツ歴】陸上(100m走など短距離)
【抱負】障害者が活躍する姿にスポットライトを当てようという今回の取り組みにとても感動しています。
私には、難聴という『目に見えない障害』があります。目に見えない障害も含めて、 様々な障害のある人とない人との橋渡し役になりたいと思っています。
負けず嫌いな性格を生かして、障害のある人が暮らしやすい社会になるために頑張ります。



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