義足ロングジャンパーのマルクスレーム 世界新記録の先は?

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2020年東京パラリンピック開幕まで2年となる8月25日。ベルリンでパラ陸上のヨーロッパ選手権男子走り幅跳び(T64=下腿義足使用)が行われ、地元ドイツのマルクス・レームが出場。小雨が降る中の最終跳躍6本目、8m48cmの世界新記録を樹立して優勝した。

先月の7月8日、ジャパンパラ陸上競技大会(群馬・前橋市)でも8m47の世界新記録を出しているレームは、2か月連続で世界新記録を更新したことになる。

今回は、その6本目の世界新記録のジャンプと観客の様子をお届けします。


20180831ochi_02.jpg6本目の跳躍前、スタンドの観客は総立ちとなり、手拍子が沸き起こった。レームは、その手拍子に応えるかのように、綺麗にピタリと踏み切りをあわせてジャンプした。


20180831ochi_03.jpg20180831ochi_04.jpg20180831ochi_05.jpg20180831ochi_06.jpg20180831ochi_07.jpg20180831ochi_08.jpg世界新記録8m48cmジャンプを跳んだ連続写真。

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レームの跳躍には、この砂場の長さ(約10m)は窮屈すぎたかもしれない。
着地後、先端ラインに敷かれていたゴム板が大きく浮き上がった。
砂場の横に設置しておいた僕の定点用カメラも、砂まみれになってしまった。


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電光掲示板に世界記録の表示。観客は何度もウェーブでレームの偉業を讃え、レームはその声援に応えた。

今回のレームの記録、五輪種目と比較してみると、リオデジャネイロ五輪金メダリストの記録が8m38、ロンドン五輪金メダリストの記録が8m31。今年2018年シーズンの男子走り幅跳びではランキング3位に相当する(2018年8月25日現在)。種目が違うので単純な比較はできないが、とても大きなインパクトがある記録であることは確かだ。


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この世界新記録は、ドイツメディアで大きく取り上げられた。特に注目されたのは、レームの五輪への出場意欲について。レームは、2016年のリオデジャネイロ五輪の出場を目指していたが、国際陸連(IAAF)から五輪に出場するには、義足に有利性がないということを証明するように求められた。専門家の協力も得て証明を試みるも、国際陸連からは「証明は不十分」と判断され、リオ五輪出場は叶わなかった。ただ、国際陸連は、継続して義足の有利性を検証していく意向を示していた。

五輪出場にについての論議は継続中のようだが、レームは競技後のミックスゾーンでも、五輪出場への意欲をはっきり口にしている。


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ミックスゾーンで、大勢のメディアに囲まれるレーム。(写真はジャパンパラ大会)その姿は、ただ孤独に感じてしまう。
レームの五輪への意欲について、世間の反応は賛否両論だ。しかし、レームは、五輪出場の意欲をこの先も発信し続けるのだろう。

時代の壁をノックし続けるレーム。結果が全てとは思わないが、結果を出してこその強い発信力でもある。
レームの五輪出場発信の根っこは、パラリンピックへの注目と価値をより高めようとする為の、全体の事を考えての発信のような気がしてならない。


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最後は、レームと2位のドイツのフェリックス・シュトレングとの2ショット写真。7m71と大幅に自己ベストを更新(25cm)した、フェリックス。そのことを、まるで自分の事のようにとても喜んでいるレームの姿も印象的だった。

パラ陸上世界選手権(UAE・ドバイ)が開催される来シーズン、そして、2020年東京五輪とパラリンピック、これからのレームが発信する姿に更に目が離せなくなった。



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著者:写真家 越智貴雄(おち・たかお)
1979年、大阪生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業。2000年のシドニーパラリンピックから国内外のパラスポーツの撮影取材活動を続けている。2004年パラリンピックスポーツ専門ウェブサイト「カンパラプレス」を設立。2012年パラリンピック義足アスリートの競技資金集めの為にカレンダーを1万部出版し国内外で話題となる。2013年9月のブエノスアイレスでの2020東京オリンピック・パラリンピック招致最終プレゼンテーションで佐藤真海さんのスピーチ時に映し出された「跳躍の写真」が話題になる。2014年義足で前向きに輝く女性を撮影した写真集「切断ヴィーナス」を出版。撮影取材の他にも写真展や義足女性によるファッションショーなどを多数開催している。

越智貴雄さんへのインタビューはこちら
Road to Rio特別編 ~パラリンピック、かかわる人々。Vol.5 写真家・越智貴雄さん~