ローポインターが試合の流れを作る! 車いすラグビー ~乗松聖矢の場合~

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車いすラグビーは、障害の程度によりそれぞれ持ち点が付けられていて、障害の重い0.5点から軽い3.5点まで0.5点刻みの7段階に分けられている。上肢・体幹それぞれの点数を合計し、1チーム4人の持ち点合計が8点以下で構成されなければならない。持ち点が高い選手(障害が軽い)がハイポインター(攻撃型)、持ち点が低い選手(障害が重い)がローポインター(守備型)としてコートに立つ。

今回、熊本を拠点に活動する日本代表のローポインターの乗松聖矢選手(SMBC日興証券)の練習に密着させてもらった。


20180803_ochi_02.jpg写真は、練習前のウォームアップ。乗松は、先天性の病気で肘から下の筋力がゼロで手首も指も全く動かない。普段の個人練習ではサポーターの存在は重要で、この日は、熊本県から派遣された障害者スポーツ指導員の井手あゆみさんが行っていた。


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普段は主婦の井手さん、多い時で週3のペースで乗松のサポートを行なっているそうで「どんどん強くなっていくのが実感できるのが嬉しい」と笑顔で話してくれた。


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ローポインター用の車いすの多くは、相手のルートを封じ込めたり止めたりする為に前部にバンパーが取り付けられている。こちらの写真はバンパーを正面から見たところ
車いすに乗っているのは乗松本人。車いす操作に欠かせないグローブをはめ、準備をしているときに写真を撮らせてもらった

乗松の車いすのバンパーは、フレームはチタン製、ホイールも合わせると150万円超するという。チタンは、スタンダードなアルミ製に比べると軽くて頑丈。ローポインターの選手にとって、動き出しのスピードをより速くする為に軽さは重要だ。



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気温が36度を超える中、走り込みの練習から行われ、短いインターバルを加えながら、30分以上走り続けた。この速いスピードから、肘から下の筋力がないことに驚嘆した。


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ゴムを使ってのトレーニング。グローブをつけて、摩擦と押さえつける力で前に進んでいく。


20180803_ochi_07.jpgボールを投げるトレーニング。


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ローポインターの見せ所を尋ねると「攻撃やターンオーバーなどの味方ハイポインターの助ける動きをしながらどういう道を作っていくかということ」。続けて「一番の見せ所は、相手ハイポインターを止める大仕事をすることで、(味方)ハイポインターが止めるよりも相手のダメージも大きく、チームとして勝利への大きな流れができることがある」と話してくれた。

8月5日に開幕する車いすラグビー世界選手権。試合の道筋と流れを作る「ローポインター」にも注目だ!



車いすラグビー世界選手権 [NHKBS1]放送予定

6(月)
 午前0:50(日曜深夜)
 日本 対 アイルランド
 午前8:50 日本 対 ニュージーランド

7(火)午後2:50 日本 対 スウェーデン

8(水)夜7:00 日本 対 オーストラリア
8月10日(金)まで連日、日本戦を放送!準決勝などは時間が決まり次第お知らせいたします。

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著者:写真家 越智貴雄(おち・たかお)
1979年、大阪生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業。2000年のシドニーパラリンピックから国内外のパラスポーツの撮影取材活動を続けている。2004年パラリンピックスポーツ専門ウェブサイト「カンパラプレス」を設立。2012年パラリンピック義足アスリートの競技資金集めの為にカレンダーを1万部出版し国内外で話題となる。2013年9月のブエノスアイレスでの2020東京オリンピック・パラリンピック招致最終プレゼンテーションで佐藤真海さんのスピーチ時に映し出された「跳躍の写真」が話題になる。2014年義足で前向きに輝く女性を撮影した写真集「切断ヴィーナス」を出版。撮影取材の他にも写真展や義足女性によるファッションショーなどを多数開催している。

越智貴雄さんへのインタビューはこちら
Road to Rio特別編 ~パラリンピック、かかわる人々。Vol.5 写真家・越智貴雄さん~