越智貴雄「感じるパラリンピックGallery」

パラカヌー 瀬立モニカが選んだこの1枚

001_20171028_ochi.jpgパラカヌー日本代表の瀬立モニカから写真をPRに使用したいと言われ、躍動する競技シーンの写真など40枚を選んだ。その中には、歯を食いしばり辛そうにうずくまっている、あまり思い出したくないかと思われるシーンの写真も入れて送った。送信後、すぐに返事が来た。「写真最高です。SNSのカバー写真にしたい!」

 

この写真は、去年のリオデジャネイロパラリンピック出場権をかけた、最終選考大会直前に撮影した1枚。当時の瀬立の実力は、パラリンピックに出場できるかできないかの境目で、練習中は、不安と、負けまいとする気持ちとが交互にぶつかりあっているように見えた。
撮影しながら、私までもがその緊張感に包まれ、練習後に声をかけることが出来なかったのをよく覚えている。私の中でも印象に残っているシーンだが、まさか「好きな写真」と言われるとは思ってもみなかった。


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最終選考大会では、見事リオへの切符を手にし、リオパラリピックでは8位入賞を果たした。(写真はリオパラリンピック)

なぜ、苦しんでいる写真を気に入ってもらえたのか?と尋ねてみた。
「合宿で辛い思いをする場所と私のうずくまり具合がなんとも言えない面白さだったからです」と、さらっと答えてくれた。

面白さと答えたのは、確実に去年より、成長進化しているからではなかろうか。実際、9月に石川県小松市木場潟で行われた日本パラカヌー選手権大会では、去年の瀬立より、上腕部の筋肉がひとまわりもふたまわりも大きくなっていた。


003_20171028_ochi.jpg去年2月の練習風景


004_20171028_ochi.jpg今年9月の日本パラカヌー選手権


005_20171028_ochi.jpg3年後に迫る東京での大舞台では、進化を遂げた“最強の瀬立モニカ”を見ることができそうだ!



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著者:写真家 越智貴雄(おち・たかお)
1979年、大阪生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業。2000年のシドニーパラリンピックから国内外のパラスポーツの撮影取材活動を続けている。2004年パラリンピックスポーツ専門ウェブサイト「カンパラプレス」を設立。2012年パラリンピック義足アスリートの競技資金集めの為にカレンダーを1万部出版し国内外で話題となる。2013年9月のブエノスアイレスでの2020東京オリンピック・パラリンピック招致最終プレゼンテーションで佐藤真海さんのスピーチ時に映し出された「跳躍の写真」が話題になる。2014年義足で前向きに輝く女性を撮影した写真集「切断ヴィーナス」を出版。撮影取材の他にも写真展や義足女性によるファッションショーなどを多数開催している。

越智貴雄さんへのインタビューはこちら
Road to Rio特別編 ~パラリンピック、かかわる人々。Vol.5 写真家・越智貴雄さん~