越智貴雄「感じるパラリンピックGallery」

マルセルの勢いとワクワクが「止まらない」

車いす陸上、中長距離を得意とする、マルセル・フグ選手(スイス)の勢いが止まらない。
既に、800m(T54)、1500m(T54)の2冠。
本日行われた、5000m(T54)予選でもトップだ。

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トップスピードは、時速37kmは出ているだろうか、レース運びも申し分がないほど巧みだ。
言ってしまえば隙が見当たらない。

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2004年から撮影させてもらっているマルセル選手。
マラソン種目はじめ、車いす陸上界を引っ張り続けてきた。
世界記録もいくつも樹立、塗り替えてきている。
彼がいない車いす陸上は考えられないとすら感じる。

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そんな絶対的王者のマルセル選手だが、これまでの世界パラ陸上では不調、パラリンピックでは金メダルがとれないなど、大舞台にめっぽう弱かった。
大一番で、なかなか、本領を発揮しないのだ。
彼のニックネームは銀色のヘルメットを装着していることから「Silver Bullet(銀の弾丸)」と呼ばれているが、 他選手からは、この“銀色”にかけて、「ヘルメットを金色にしたら勝てるのでは?」と言われてしまう始末。
絶対的王者にもかかわらず、パラで金メダルを獲得していないことからなにかしら王者感が薄かった。

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しかし、昨年のリオデジャネイロ・パラリンピック、800mで金メダルを獲得。
そこから覚醒したように、大事な大会では、ブレない強さを見せつけている。

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大会最終日の23日、5000m決勝(T54)が行われるが、そこで、どういうパフォーマンスを見せてくれるのか。
マルセル選手が、圧倒的勝利をおさめるのか?
それとも、底力抜群のタイ勢が止めに入るのか?
はたまた、決勝に進出している、日本の二人にも注目だ。
樋口政幸は、3月のシャルージャ国際1500mで、世界記録に迫るタイムでマルセル選手を最後の直線で刺して勝利している。
渡辺勝も2月の東京マラソンでマルセル選手に勝利しているのだ。
マルセル選手にとって、東京マラソンは15-16ワールドマラソンメジャーズ唯一の敗戦。

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ワクワクが止まらない。

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樋口政幸: 1979年1月生まれ  新潟県十日町市出身千葉県柏市在住
渡辺勝: 1991年11月生まれ  福岡県福岡市在住

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著者:写真家 越智貴雄(おち・たかお)
1979年、大阪生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業。2000年のシドニーパラリンピックから国内外のパラスポーツの撮影取材活動を続けている。2004年パラリンピックスポーツ専門ウェブサイト「カンパラプレス」を設立。2012年パラリンピック義足アスリートの競技資金集めの為にカレンダーを1万部出版し国内外で話題となる。2013年9月のブエノスアイレスでの2020東京オリンピック・パラリンピック招致最終プレゼンテーションで佐藤真海さんのスピーチ時に映し出された「跳躍の写真」が話題になる。2014年義足で前向きに輝く女性を撮影した写真集「切断ヴィーナス」を出版。撮影取材の他にも写真展や義足女性によるファッションショーなどを多数開催している。

越智貴雄さんへのインタビューはこちら
Road to Rio特別編 ~パラリンピック、かかわる人々。Vol.5 写真家・越智貴雄さん~