10月8日放送

かやぶきの里に秋が来た ~京都・美山~

京都

昔ながらの茅葺の民家が残る里として知られる美山町、格別の季節が「秋」。山や大地、川が育んできた命が豊かな実りを迎える。秋の旬野菜を大鉢に盛ったもてなし料理「鉢菜」。
脂のりがよく、産卵前の卵を抱いた「落ち鮎」。サツマイモを小豆と煮込んだ郷土料理「いとこ煮」などの料理の数々。
さらに、茅屋根のふきかえなど、ふるさとの懐かしい風情を感じながら、深くさわやかに秋を味わう、心に染み入る旅。

旅した人

藤岡弘、(俳優)
愛媛県出身。大河ドラマでも存在感のある演技を見せる、海外でも活躍するアクションスター。世界100か国以上を旅している冒険家でもある。武道家としても日々鍛錬を重ねており、武士道精神に通じ、日本の伝統や礼節を尊ぶ熱き男。

高橋ひとみ(女優)
東京都出身。クールで長身な容姿からか、デビュー当時から知的で落ち着いた役柄が多いが、実はおっとりしたやわらかい性格の持ち主。最近は、バラエティーなどでの活躍により親しみやすい女性役を演じることも多い。旅と美味しいお酒が大好き。

島よしのり(ナレーター)、橋本のりこ(ナレーター)

旅したところ京都・美山

  1. かやぶきの里
    集落50軒の内、38軒が茅葺のままで残る里。平成5年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。まさに日本の原風景が残る里の秋、黄金色の稲穂と真っ白なそばの花が出迎えます。そんな里に残る昔からの営みを訪ねました。秋ナスの収穫に大忙しのお母さんと出会い、ごちそうになることに。作って下さったのは「ナスとニシンの炊いたん」。他にも大鉢で出された季節の野菜に舌鼓。美山ではこうした大鉢料理を「鉢菜」と呼び、昔から村の人が集まるときにみんなでつつき合ってきたそう。料理がつなぐ里の絆と優しい味に癒やされました。
  2. 茅葺職人
    茅葺屋根を葺き替えている現場を発見、お話を伺いました。棟梁の中野誠さんはこの道25年、若いときに訪れたイギリスで外国人に、故郷の茅葺の景色のすばらしさを指摘され、それを機に茅葺職人の道を踏み出しました。屋根に使うのは美山に自生するススキ、断熱性や保温性に優れた、土に還るエコな自然素材です。茅の魅力と匠の情熱に時間を忘れて聞き入りました。
  3. 落ち鮎
    美山町の萱野という里で鮎漁師と出会いました。82歳にして毎日川に入るという元気な漁師さんが狙っていたのは落ち鮎。産卵直前でよく太り、脂がのった秋の鮎です。落ちアユ漁を体験した後、漁師さんのご自宅で鮎尽くしのおもてなし。子持ち鮎の塩焼きをはじめ、素焼きした鮎を炊き込んだ鮎ごはん、魚のだしがたっぷり溶けだした鮎汁、どれも秋の美山の豊かな恵み。大自然が育んだ旬の味をお腹いっぱい堪能しました。
  4. 鳥すき
    福井と京都を結ぶ街道筋の集落、鶴ケ丘。ここで、鳥を絞める現場に立ち会うことができました。かつては村のどの家でも飼っていた京地鶏。お客さんが来た時には一番のおもてなしとして、絞めたばかりの鶏をふるまうのが昔からの伝統だそうです。自らの手で鶏の命をいただき、その大切さをかみしめながら、いただいてきたのです。その場で絞められた命の輝きを鶏すきに。感謝とともに大事にいただきました。
  5. 木の箸
    美山は京都の中でも比較的植林されていない雑木林が残る地。そんな自然木の魅力が発揮された「木の箸」と出会いました。木によって変わる木目、同じ箸は二つとありません。何十年も乾燥させた原木を匠の手で削りだし、箸として生まれ変わらせます。木の命である木目が刻まれたオンリーワンのお箸を使って新米をいただき、その手触り、舌触りに感動しました。
  6. いとこ煮
    山がちな美山の中でも特に山深い佐々里集落。集落の人たちは固い絆で結ばれています。そんな里でみつけたのがさつまいもを収穫しているところ、小豆と一緒に炊いた「いとこ煮」という料理で食べるのが集落の習わしだそう。旬の味覚を満喫しながら、山里で受け継がれてきた伝統と、村の人の深いつながりを知りました。
  • 行き方
    ① JR園部駅から南丹市営バスで60分「北」停留所下車すぐ
    ④ JR園部駅から南丹市営バスで100分「鶴ケ丘」停留所下車 徒歩10分
    ⑤ JR園部駅から南丹市営バスで50分「和泉」停留所下車 徒歩15分

担当日記

えぇトコで何度もご一緒している藤岡弘、さん。日本の伝統や自然をこよなく愛する現代のサムライです。そんな藤岡さんが食事の際に必ず行うことがあります。いただく前に食べものに向かって手を合わせ、黙祷を捧げるのです。古来、日本人が持っていた「命を大切にいただく心」。これまで世界中の秘境で、様々な過酷な経験をされてきた藤岡さん、食べることのありがたみ、その源となる命への感謝は、そんな経験の中で自然と湧き出てきたと言います。

今回訪れた美山は、そんな命への感謝が今でも息づいている土地です。特に秋は山に、川に、里に命があふれ、人々はその命を無駄にせず大切に、そして美味しくいただいています。
身が太り脂がのった子持ちの落ち鮎。
川漁師の川勝さんはその身ばかりでなく、頭や骨は鮎汁のだしに、内臓は塩辛にして、とすべてを美味しく食べる術を心得ていました。
丹精込めて育てたサツマイモ。
山里で暮らす林さんは、その茎も無駄にせず大切に料理していました。
かつてはどの家でも飼われていた京地鶏。
料理旅館のご主人、神田さんは、その命を奪いいただくことの意味を、自ら締め、さばくことで息子さんに伝えようとしていました。

命の輝きと、それをいただく人の感謝が満ちる美山。
藤岡さんが食べものに手を合わす仕草は、この地ではひときわ美しく見えました。

日本の原風景が残る、とよく表現される茅葺の里。そこに残るのは景色ばかりではありません。日本人が大事にしてきた、他の命への感謝の心も残っています。自然が育んだ恵みにも、隣人にも、この地を訪れる旅人にも、その感謝の心は等しく注がれています。

実り溢れる豊かな里、美山。時間を忘れてゆったりと癒やされたい人にはぴったりの旅先です。他では味わえない美山の美味しいものもたくさん、その美味しさは感動すら与えてくれます。
もしも美山でそんな食べものと出会ったら、その美味しさを生んだ自然に、そして美味しさを育んだ人にも目を向けてみてください。そこから深まる旅の醍醐味は、これまでと違った思い出を作ってくれるはずです。

担当D 吉村

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