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4月23日放送

いにしえの里に息づく暮らし~熊野古道・中辺路~

和歌山

熊野古道最大の人気ルートだった「中辺路」。平安時代から多くの人が往来した道には、1200年の歴史に培われた文化や食が今も残ります。雑煮餅の代わりに食べられてきた謎の食べ物「ぼうり」、熊野の山の恵みから生まれた「備長炭」、天空の里で作られてきた絶品豆腐など、他では出会えない古道の宝物に巡り合います。春満開の熊野古道をたどり、旅人をもてなしてきた温かい心にふれます。

旅した人

浅野温子(女優)
東京都出身。1970年代からモデルとして活動を開始し、80年代以降はドラマ・映画で活躍。2003年より、古事記などの古典を題材とした、一人語りの舞台を全国の神社などで開催している。

金子貴俊(俳優)
東京都出身。映画・ドラマ・バラエティ番組などで活躍。旅先での風景や印象などを写真や絵で表現することを趣味としている。2児の父でもある。

島よしのり(ナレーター)、橋本のりこ(ナレーター)

旅したところ熊野古道・中辺路

  1. 野中一本杉
    中辺路の野中地区にある「野中の一方杉」に出会いました。その名の通り一つの方角しかささない枝、向いているのは聖地熊野の那智なのだそう。人のみならず杉までもが熊野を目指す道で旅の期待に心震えました。
  2. ぼうり
    小川という集落で、「ぼうり」という食べ物を見つけました。巨大な里芋の親芋を何日も煮込んだ料理。お正月の雑煮餅の代わりとして、村では代々食べられてきました。実はこの小川集落、「餅つかぬ里」として、600年の間餅を食べられなかった地。
    かつて後醍醐天皇の御子、大塔宮が所望した餅を村人が断った故事に由来し、自らを戒めてきたとのこと。先祖の言い伝えをかたくなに守ってきた集落のすごみを感じました。
  3. 備長炭
    秋津川という集落の外れにある一軒の小屋で出会ったのが紀州備長炭。ここは備長炭発祥の地と言われており、昔と変わらぬ製法でこだわりの炭を焼き続けています。2週間に1度しか行わないという、貴重な窯出しの作業に立ち会い、最高品質の炭づくりの真髄を拝見しました。
  4. 落花生豆腐
    中辺路で「天空の郷」と呼ばれる高原集落。遠く奈良までの山並みが見渡せる絶景の村です。集落の道端や山に生える野草や山菜をおいしく料理して自ら頂いたり、旅人にふるまったりしてきました。落花生を使った豆腐やイタドリの炒めものなど、あるものを工夫して食べてきた暮らしを伺いながら、春の味を堪能しました。
  5. こんにゃくいなり
    福定という集落で出会った93歳のおばあちゃん。村の空気と水が元気の源だといいます。そんなおばあちゃんお手製の「こんにゃく寿司」を頂きました。揚げの代わりにこんにゃくを開いてご飯を詰めた稲荷寿司です。村が大好きだというおばあちゃんの話を聞きながらおいしい料理に舌鼓を打つ楽しいひと時を過ごしました。
    【取材したこんにゃくいなりが買える店】
    ほりきり 茶屋
    住所:〒646-1432 和歌山県田辺市中辺路福定52
    TEL:080-2505-5398
    ※日曜・祝日のみの営業になります。
  6. 古道の宿場
    中辺路最大の宿場町として栄えた近露の里で、春が旬の、ヤマメを釣る人と出会いました。地元では「コサメ」と呼ぶ川魚、近露では代々、姿寿司として食べるのが習わし。集落で長年、旅人をもてなしてきたお宿で、コサメをはじめ、先人の知恵と工夫で作ってきた数々の郷土料理を味わいました。
    【取材で行った宿】
    「お宿 月の家」
    住所:〒646-1402 和歌山県田辺市中辺路町近露905-1
    TEL:0739-65-0010
  • 行き方
    ⑤ JR紀伊新庄駅から車で国道311号線を42分
    ⑥ JR紀伊新庄駅から車で国道311号線を50分

視聴者のみなさまへ
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担当日記

天空の郷に夕日が差し、浅野温子さんの顔が茜色に輝いたとき、「神宿る」とはこういうことなのかもしれない、と思いました。
直前まで雨が降り、熊野古道きっての見晴らしもあきらめないといけないかな、と思っていた時のことです。誰一人見られるとは思っていなかった見事な夕景。浅野さんとご一緒するとなぜかこんな時に巡り合います。以前、奈良の神社での撮影で、鳥居の真ん中に落ちる夕日に出会ったときも、浅野さんがいらっしゃいました。神話の世界を舞台にしたよみ語りを続けておられる、浅野さんだからこそ成せる神通力なのかも…。などと思ってしまうのも、熊野古道の力なのでしょう。
聖地熊野に向かい、1200年もの間、人々が祈りとともに歩き続けた道。いくつかある古道のルートの中でも、今回お邪魔した中辺路は古からの面影をもっとも残す道です。立ち並ぶ巨木、木漏れ日が作る模様、土を踏みしめる足音…。そんな道に身を置くと、神の存在を感じて歩んだ古代の人々の気持ちが少しわかる気もするのです。
そしてそんな地で出会う人たちはもちろん、神様とともに暮らしを続けてきました。
先祖からの言い伝えを守り、600年お餅を食べずに来た村。
代々、家々で引き継がれてきたお地蔵さまのお世話。
1200年の間、分け隔てなく旅人に接してきたもてなしの里。
熊野古道に生きる人たちの姿は、もしかしたらほかの地でも昔は普通にあった、日本人の姿なのかもしれません。

浅野さんが今回の撮影の折々におっしゃっていた「日本ってえぇなあ」という言葉は、私たちが日々の暮らしの中で失くしてしまった、神や、他者に対する気持ちが、この地では色濃く残っているからこそ、自然に出てきた言葉なのかもしれません。

日本に生まれてよかった、と素直に思える場所。
そして、忙しさで凝り固まってしまった心を洗ってくれる場所。
そんな素敵な場所、熊野古道・中辺路。
歩くこと、人と出会うことがきっと大好きになると思います。

担当D 吉村

わたしもひとこと!

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