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2011年度 第32回 BKラジオドラマ脚本賞 審査結果 発表

 テレビ、ラジオで活躍する脚本家を生み出し、次代を担う新人作家の登竜門となっているBKラジオドラマ脚本賞。今回、17歳から84歳まで、北は北海道から南は鹿児島県まで、82篇の応募をいただき、厳正な審査の結果、下記の作品が選ばれました。
審査結果の発表と表彰式は、11月10日(木)、NHK大阪放送局で行われました。

 BKラジオドラマ脚本賞は1980年から始まり、受賞者の中からは、BK制作の連続テレビ小説「ええにょぼ」の東多江子、「いもたこなんきん」の長川千佳子、また、「ゲゲゲの女房」の山本むつみなど、多くの作家が誕生しています。
前回の第31回、「関西を舞台にした、あるいは関西に関わりのある作品」という新たな応募条件が加わって以来、今回が初めての最優秀賞の誕生です。

 今回の審査員は、鶉野昭彦(脚本家・劇作家)、森脇京子(脚本家)、山本雄史(脚本家)、越智篤志(NHK大阪放送局制作部チーフ・プロデューサー)、山本敏彦(NHK大阪放送局制作部チーフ・プロデューサー)、大久保篤(NHK大阪放送局制作部専任ディレクター)の6人でした。

【放送予定】 FMシアター「りっちゃんのこと」
平成24年1月7日(土)22:00〜22:50 NHK−FM・全国放送

最優秀賞 『りっちゃんのこと』 西村 有加 (にしむら ゆか)
(神奈川県川崎市・40才・主婦)

 東京で暮らす主婦、望月葵(40)は、大学時代の親友、金田理津子の娘を名乗る女の子から電話を受ける。大阪の病院で危篤状態の理津子に会ってほしいというのだ。葵はためらう。学生時代は親友だった二人だが、理津子が葵の恋人を奪ったことをきっかけに15年間絶縁状態となっていたからだ。しかし12年前、会いたいという理津子を拒絶した夜、理津子は自殺未遂を起こしていた。そのことをずっと気に病んでいた葵は大阪行きを決意するが……

 お互いを親友と認めながら、立場の違いから徐々にすれ違いやがて決裂してしまった女性二人の交流を、時に優しく、また時に痛々しく、バブル期の熱くも空虚な時代を背景にみずみずしい筆致で描き切ったことが高く評価されました。

西村 有加

1970年生まれ。大阪府堺市出身、神奈川県川崎市在住。
シナリオセンター大阪校を経て、現在は日本脚本家連盟・脚本家教室・宮村ゼミに在籍。
NHK奈良放送局主催「第一回ドラマ万葉ラブストーリー」に佳作入賞。放送される。


佳 作 『渡れない橋』 西尾 成 (にしお あきら)
(東京都江東区・28才・会社員)

 天橋立の見える町で不動産屋に勤める里中紘基は、小鳥遊美貴という名の若い女性と賃貸契約を結ぶ。契約書に書かれた保証人名は小鳥遊広之……それは幼き日に紘基と母を捨てて消えた父の名だった。美貴の入居の日、紘基は、美貴もまた父の過去を知ってしまったことを悟る。紘基と美貴は二人で天橋立に行き、逆さに見ると天空に架かる橋のように見えるそれを見る。繋がってはいるが渡れない幻の橋……まるで半分だけ血のつながった自分たちのようだった。

 父親との絆を断ち切られた幼い日の傷を、「今更どうすることもできない」という諦観の中に押し込めてきた男の人生に、「半分血のつながった妹の登場」という事実が起こす、微妙な揺らぎを描いた作品。
ハードボイルドな男の生き様や、登場人物たちの会話の中に浮かび上がる、独特の乾いた空気感が高く評価されました。

西尾 成 (にしお あきら)

1983年生まれ。東京都出身。
日本大学芸術学部映画学科卒業。平成21年度NHK中四国ラジオドラマ脚本コンクール入選、FMシアター「風紋」として放送。


佳 作 『杉本春夫 初めての日』 福田 弥生 (ふくだ やよい)
(京都府相楽郡精華町・39歳・ライター)

 大阪ミナミのサラリーマン杉本春夫(48)は、家庭では、妻・容子の小言や一人娘・千絵の反抗に耐え、会社では、表向きは食堂のおばちゃんだが、実は会社を裏から支配する影の暴君、エカテリーナに無理難題を押し付けられる日々を送っていた。ある日、アイドルオーディションに落ちて落ち込む千絵を見かけた春夫は、娘の気持ちを理解し、コミュニケーションを取りたいと願う一心で、突然、自分もアイドルオーディションを受けると言いだすのだが……

 チェーンソーを持って会社中を恐怖に陥れるエカテリーナや、父親を罵り倒す娘、アイドルになるという主人公のおっさんなど、ラジオドラマというより、小劇場系の不条理劇のような仕立てでありながら、そこに、父親と娘とのほほえましい愛情をきっちり描ききった筆力が高く評価されました。

福田 弥生 (ふくだ やよい)

1971年生まれ。愛媛県西条市出身、京都府相楽郡精華町在住。
YTVテレビドラマ「名探偵コナン 工藤新一の挑戦状」第三話共同執筆。他に、舞台執筆歴あり。


最終審査対象10作品(受付順)
『黙らせ婚』 中庭 順子 (千葉県浦安市)
『ザ・ビリケン!』
難波 裕子 (滋賀県甲賀市)
『宮地君のメガネ』 須藤 啓介 (埼玉県さいたま市)
『リカバリー領域:有』
村上 もぐ (大阪市西淀川区)
『天国への漫才』 
黒瀬 佳代 (大阪市福島区)
『渡れない橋』
西尾 成 (東京都江東区)
『天満の子守歌』
水村 節香 (大阪市天王寺区)
『杉本春夫 初めての日』
福田 弥生 (京都府相楽郡精華町)
『迷い道、戻り橋』 時乃 真帆 (東京都大田区)
『りっちゃんのこと』 西村 有加 (神奈川県川崎市)

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