やまとの季節

2020年02月12日 (水)

やまとの季節 七十二候「氷柱ゆるんで東風」

「ならナビ」2月12日放送 

映像作家・保山耕一さんが、NHK奈良放送局「ならナビ」に、「やまとの季節 七十二候」をテーマとした極上の映像詩を届けてくれています。音楽は、スペインで活躍するピアニスト・川上ミネさんが、奈良で100年近くの時を刻んできたピアノで、オリジナル楽曲を奏でています。 


やまと七十二候「氷柱ゆるんで東風」 立春


保山耕一

世界遺産などの撮影で活躍してきたフリーTVカメラマン。「奈良には365の季節がある」をテーマに奈良県各地で、日々、奈良の空や光、花、月、社寺、などを撮影し、SNS発表・上映会を続けている。

川上ミネ

スペインと京都を拠点に活動しているピアニスト・作曲家。「ラジオ深夜便・ピアノが奏でる七十二候」、Eテレ「やまと尼寺精進日記」などの音楽を手がけている。昨年、春日大社奉納演奏会を機に保山氏と出会い、「こころの時代」でコラボレーション。2019年秋から「やまとの季節 七十二候」の新たな作曲・演奏をスタート。

奈良女子大学・100年ピアノ

創立110年を経た奈良女子大学記念館(重要文化財)の2階・講堂で静かな時を刻み続けいる「百年ピアノ」。大学の前身である奈良女子高等師範学校の創立当時(明治42(1909)年授業開始)に購入され、戦後永らく倉庫に眠っていたもので、平成15(2003)年に学内で再発見されました。平成17年11月に無事修復を終えたピアノは、かつて置かれていた講堂に戻され、ふたたび美しい音色を奏でるようになりました。



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やまと七十二候

「氷柱ゆるんで東風」

保山耕一

宇陀水分神社

「みくまり」は「水を分ける」って書くやん。なかなか読みづらい。でも、水分神社はあちこちにあって、ロケで田舎へ行って見かけた時、若い頃は「何の神社だろう?」って思っていました。水利権の仲介のような役割を果たしていたのかな。とにかく、それだけ水を大切にしてきたのだろうと。

水分神社が各地にあることから見えてくるのは、日本人の昔の価値観、生活で、その場所には、やはりいい水が流れているものです。一方、山間部の生活で、水の問題というのは命に直結するから。その奥にはいろんなストーリーがあったり、悲しい話もたくさんあるのだろうと。思いながら、水分神社があると必ずお参りするようにしています。

 宇陀水分神社は素晴らしいねん、すべてが。国宝の社殿、空気、人の営み。水があるからこそ、そこに命がある。そういう思いで手を合わせた時、なごり雪みたいな雪が降ってきて、軒を見ると長い氷柱(つらら)が何本も下がっていた。氷柱には朱色の社殿が映り混んで、赤く輝いている。そこに風が吹いて。雪が降る寒さにもかかわらず、氷柱が少しずつ、赤い色を映しながらポタポタ雫を落としていた。

 山奥で、雪が降って、寒くて、2月で。でも、東の風が吹くと氷柱が溶けてキラキラ輝いている。こんな寒い時でも春に向かって季節が少しずつ動いているんだなと。風が吹くことで、季節が動いていることを体感できた。教えてくれるのは風であり水であり。それが感動的で。氷の姿から「季節は一日一日進んで行くんだよ」ということを凝縮して表現できる瞬間に立ち会えた。

 (聞き書き 伊藤享子)

 


七十二候 について

七十二候(しちじゅうにこう)は、古代の中国で生まれました。立春、夏至、秋分…などで知られる二十四節気(にじゅうしせっき)を、さらに約5日ずつの3つに分けて、季節の移り変わりを感じる名前がつけられています。日本では、江戸時代の「本朝七十二候」、明治時代の「略本歴」など、いくつかの異なる七十二候が作られてきました。

「やまとの季節 七十二候」では、保山さんが記録してきた奈良県各地の映像から、いまの「やまと」の暮らしの中で、季節のうつろいを実感できる映像を選び出し、オリジナルの名前を添えて紹介しています。奈良を愛する方々に…これから奈良に出会うであろうすべての方々に…こころを込めてお届けしています。

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■ コメント(17)
  • 堀尾岳行

    2020年02月12日 13時43分

    今年は暖冬で京都でもなかなか雪が降らなかったのですが、立春の後急に寒くなりました。寒晒し吉野葛の産地、宇陀でも寒さが厳しかったと思います。
    その宇陀にも東風が吹いて氷柱が溶け出し、なごり雪の間からふきのとうが出てくる
    水緩む季節の始まりです。
    朱塗りの春日造りの社殿はやまとの風景の一つ、氷柱から落ちる一つ一つの雫に日光を浴びた景色が写る、春を感じる一瞬です。
    この映像の一瞬を捉えた撮影者は素晴らしい感性の持ち主だと思います。
    川上ミネさんのピアノ演奏にも少しばかり春のときめきを感じられます。
    保山耕一さんは私たちが忘れがちな日々の季節の移ろいを映像詩で表現されています。
    今回も美しい映像詩でした、次回も期待しております。
    是非とも関西全域で視聴が出来ますようお願い致します。  

  • 安藤憲一郎

    2020年02月12日 14時24分

    まだまだ寒い時期にも春に向けて粛々と季節が進んでいることがよく分かる映像でした。赤い社殿が、氷柱が、雪の間の新芽が、そして東風までもがキラキラと輝いていますね。飛鳥時代からの神社の立派な社殿が国宝として鎮座されていることが不思議でもなんでもなく、普通のことなのがいかにも奈良らしくて凄いです。映像を見て行ってみたくなりました。

  • 荒木礼子

    2020年02月12日 18時12分

    やまとの季節七十二侯、関西ブログで一番初めから楽しみに拝見していますが、奈良の奥まったところにたくさん点在している美しい場所が次々と紹介されることも他県に住んでいる者にとって嬉しいことの一つです。
    今週も宇陀市菟田野(うだしうたの)にある「宇太水分(うたみくまり)神社」の映像だというので、いつもながら難しい名前!でもなんと立派な神社だろうと国宝だという神殿の造りや鮮やかな文様にびっくりしながら拝見しました。ミネさんのピアノの音色と一緒になると不思議なことにこの場所が人々の水への深い感謝と祈りをずっと昔から受けとめてきたところだということが自然と感じられる、保山さんの言葉をこのブログでご紹介いただいているからこそだとは思いますが、お二人の映像とピアノのコラボレーションの威力も回を重ねてどんどん増大している気が…こんなにも魅力的な番組です。是非全国の方が見られるように何か工夫していただけたらと、心から願っています。

  • 武田克美

    2020年02月12日 19時09分

    今日も素敵な映像ありがとうございました
    奈良でも低温の地での撮影さぞ冷たかったことでしょう
    白い雪
    朱色の社
    溶けるつららの滴にため息が出ました^_^

  • 田中弘子

    2020年02月12日 19時11分

    ツララから落ちる水滴に社殿が写り込んで…
    とても不思議な感覚になりました…
    朱塗りの立派な社殿に雪の花が散っている映像を見せて頂いていると
    雪花の冷たい風が私の頬にも…
    そして
    宇陀水分神社様の静寂の中に入っていきました
    神様方は静かにお鎮まりになって…
    保山さんの映像の…流れる風 煌めく水 優しい太陽の陽射しを心で感じると
    神様から生命を頂いて 今 生きている事を実感するのです
    暖かい春は もうそこまで来ていますね
    いつか…必ず
    宇陀水分神社様に 参拝に行かせて頂きます…

    保山さんの素晴らしい映像とミネさんのピアノの音色…
    やまと七十二候を全国放送で多くの方々に是非見て頂きたいと願っています
    どうか宜しくお願い致します

  • 永井有子

    2020年02月12日 19時22分

    ミネさんのもの悲しく響くピアノの音に、ピクッと背筋が伸びました。
    雪の舞う神社の素晴らしさにも見入ってしまいます。

    そして何より、奈良市内ではこのようなつららを見ることは
    ありません。
    今年は雪すら見かけません。
    だから水温む感覚は鈍くなっています。


    春の気配の感覚を取り戻したくて、
    つららからしたたる雫の輝きを、
    目に焼き付けました。
    本日も素晴らしい時間をありかとうございました。

  • 坂井 節子

    2020年02月12日 21時03分

    赤いつらら!一体何の色が映り込んでいるのか。映像を追っていくと直に判明!
    菊の御紋を配した厳かな社殿の佇まいがありました。水分=みくまりとは馴染みがないと読めませんね。
    私の住む近くには三分一湧水というのがあります。山から湧き出た恵みの水を分け隔てなく三分割し 村人たちの命をつなぐ水路です。水分神社では神様が公平さを守って下さっているのでしょうか。
    保山さんの水はいつも圧倒的な輝きを放っていると思います。この撮影されているご様子もきっと神様のご加護があったに違いありませんね。
    季節は移り変わり、さて来週は、その次はと楽しみは募ります。しかしせめてテレビの画面で拝見したいと思います。まずは関東圏で、そして全国の皆様へ古の奈良を届けて頂きたいとお願いいたします。

  • 島岡和代

    2020年02月12日 21時05分

    本日の氷柱が冷たい風に一滴一滴溶け出すさまから、朱色の神殿の赤が生きている様子を感じました。冷たいはずの雫が赤く染まる。最後は対照的に陽射しを受けて輝いている。途中の御手洗の躍動感ある水の流れ、どこか静と動を人生に例えてしまいそうになるのは私だけでしょうか?蕗の薹が「もうすぐだよ~もうすぐ春が来るよ~✨」と、春を待ち遠しく告げているように感じる。寒くて冷たい奈良にもうすぐお水取りが、…春を待ちわびます。奈良だけでなく全国の皆様にも感じてほしい。この素晴らしく清浄な世界を。全国放送にリクエストします!よろしくお願いします。

  • 2020年02月12日 21時25分

    『氷柱ゆるんで 東風』
    うっそうとした杉の巨木を背に、朱塗りの本殿が並ぶ。
    氷柱は本殿を写し込み、雫はリズムを持って落ちる。ミネさんのピアノのように。
    温暖化の街では全く見られない氷柱、保山さんありがとうございます。
    放映時間の延長と全国放送をよろしくお願いいたします。

  • 野尻恭子

    2020年02月12日 22時09分

    氷柱の赤い色は社殿の朱色が映りこんだものだったのですね。
    氷柱が風に吹かれてぽたぽた溶けてゆく。
    季節の移り変わりが、今、まさに目の前で進んでいく様を捉えているのですね。
    保山さん、ミネさんの素晴らしい感性が響き会う素晴らしい番組だと思います。
    保山さんのファンは全国にいます。ぜひ、全国放送されることを期待します。

  • 釘谷洋子

    2020年02月12日 22時43分

    宇陀水分神社の厳かなたたずまいと、川上ミネさんの旋律が響き合って、その場の空気感まで伝わってきます。こちらに向かって舞う雪の美しさに名残惜しさを感じてしまいます。
    一瞬キラッ❗️と光って落ちていく雫、やはり保山さんの映像は胸を打ち、余韻が残ります。
    今日もまた、素晴らしい映像をありがとうございました

  • 松元智恵子

    2020年02月13日 09時28分

    水の流れる音と朱色の氷柱から落ちる雫。川上ミネさんのピアノが保山さんの映像詩と重なる。朱色の社殿に雪が舞う。東からの風が吹き神を呼ぶ。柔らかな日差し。春が氷柱を溶かしていく。立春・・・春近し♥️
    全国の皆さんにもご覧頂きたいです。是非全国ネットで放送して下さいますよう宜しくお願いします。

  • 武田和子

    2020年02月13日 11時38分

    今回も魂を鷲掴みされる圧倒的な美しさに感動いたしました。

    初めて拝見した宇陀水分神社は春日造の華麗な社殿で、今回の映像ではその気品の高い雰囲気が伝わってきました。
    この美しさに惹かれ、もう心はこの映像に乗って奈良宇陀地方の上空を彷徨うばかりです。
    水分とかいて「みくまり」。
    保山さんの解説で「水の問題というのは命に直結するから。その奥にはいろんなストーリーがあったり、悲しい話もたくさんあるのだろうと」と。
    そんな時代のストーリーも感じながらやまとの季節72候を拝見させて頂きました。

    奈良にはひっそりと素晴らしい世界が存在しています。

    奈良から遠くの私は、保山さんが惜しみなくシェアーして下さり、この番組を制作して下さるみなさまにありがたく心より感謝しています。

    いつか、全国区で放送させる日を楽しみにしています。

  • 佐々木美保子

    2020年02月13日 22時21分

    今回も心に沁みる素晴らしい作品をありがとうございます。
    まだまだ寒い時期、でも確実に季節は進んでいる。雪の中から顔を少し出している蕗の薹。明るい早春の陽の光に触れて溶け出す氷柱の水滴。何気ない風景をこんなに見事に生き生きと輝いて見せてくださる保山さんの感性に感謝しかありません。川上ミネさんの澄んだ美しいメロディーにも心洗われます。多くの感動をありがとうございます。
    できましたら大きな画面で見たいです。ぜひ、テレビ放送の地域を広げてください。

  • 朝陽 志太 美代子

    2020年02月13日 22時51分

    わずかづつ 確実に季節が流れているのですね
    保山さんの解説の文 をいつも楽しみにしています。
    今回も見れて良かったです。関西ブログさんありがとうございます。

  • 青井三保子

    2020年02月14日 18時44分

    「氷柱ゆるんで東風」
    少しずつの暖かさが氷を融かす。社殿の朱塗りが氷柱を赤く染め、赤い雫が落ちる。一瞬、雫が赤色かと思った。
    静かに佇む水分神社。ただ、そこに当たり前にあるのに、保山さんの映像から、土地の人たちと結びつける
    強い絆、信仰を感じさせる。
    雪の中から芽を出す蕗の薹でしょうか?
    春はすぐそこに!
    湧き出る春の息吹に力をもらいます。
    ありがとうございます。
    素晴らしい映像が、この番組が、広くみんなの目に止まりますように!
    関西一円で放送されますように!!

  • 長尾美和子

    2020年05月17日 03時09分

    赤い氷柱が東風に吹かれて溶けて雫が落ちる様が、まるで血が滴っているように見えてドキッとしました(職業柄かな?)。
    宇太水分神社の朱色の社殿が写り込んでいたのですね。
    水が流れ、ふきのとうが芽吹き、なにか『生命』を感じさせられました。
    宇太水分神社の素敵な佇まいとミネさんのピアノが響き合っていますね。
    是非、多くの方に見て頂きたいと思います。