やまとの季節

2020年02月05日 (水)

やまとの季節 七十二候「梅一輪のあたたかさ」

「ならナビ」2月5日放送 

映像作家・保山耕一さんが、NHK奈良放送局「ならナビ」に、「やまとの季節 七十二候」をテーマとした極上の映像詩を届けてくれています。音楽は、スペインで活躍するピアニスト・川上ミネさんが、奈良で100年近くの時を刻んできたピアノで、オリジナル楽曲を奏でています。 


やまと七十二候「梅一輪のあたたかさ」 立春


保山耕一

世界遺産などの撮影で活躍してきたフリーTVカメラマン。「奈良には365の季節がある」をテーマに奈良県各地で、日々、奈良の空や光、花、月、社寺、などを撮影し、SNS発表・上映会を続けている。

川上ミネ

スペインと京都を拠点に活動しているピアニスト・作曲家。「ラジオ深夜便・ピアノが奏でる七十二候」、Eテレ「やまと尼寺精進日記」などの音楽を手がけている。昨年、春日大社奉納演奏会を機に保山氏と出会い、「こころの時代」でコラボレーション。2019年秋から「やまとの季節 七十二候」の新たな作曲・演奏をスタート。

奈良女子大学・100年ピアノ

創立110年を経た奈良女子大学記念館(重要文化財)の2階・講堂で静かな時を刻み続けいる「百年ピアノ」。大学の前身である奈良女子高等師範学校の創立当時(明治42(1909)年授業開始)に購入され、戦後永らく倉庫に眠っていたもので、平成15(2003)年に学内で再発見されました。平成17年11月に無事修復を終えたピアノは、かつて置かれていた講堂に戻され、ふたたび美しい音色を奏でるようになりました。



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やまと七十二候

「浮見堂 梅」

保山耕一

浮見堂の近くにある片岡梅林は別名・丸窓梅林とも呼ばれています。どっちの呼び名が正しいのか、ガイドブックには両方書かれていたりするから分からないけど、私としては昔から丸窓梅林の方がしっくりきています。

 丸窓梅林には、奈良地方気象台が定める「梅の標準木」があります。最初の一輪が咲くのは、1月の終わりか2月の初めの、一番寒い、浮見堂の鷺池が凍っているような時です。冬から春への、季節の大きな変わり目を知ることができるので「やまとの季節 七十二候」に選びました。

 「これは自分の桜」とか、自分の中で「標準とする花」をみんな持ったらいいと思っています。毎年何かの花を見続ける。梅じゃなくてもいいから、桜でも。「今年は早かったね」とか「去年は遅かったね」とか。私が言わなくてもそう思っている人はいっぱいいると思うけど。

 日本の花といえば、桜なのか梅なのか。いろんな人の意見があって、どっちがどうなのかは分かりませんが、どちらも日本の花で、梅は帰化植物だという人もいてるけど、桜も梅も日本人にずっと愛されてきた花であることは間違いない。でも、梅が好きっていう若い人は少なそうです。私も昔は梅といえばじじくさいばばくさいと思っていた。でも、この年になって、梅のほうがいいよねって思うようになってきています。

 私が梅に惹かれた最初は何かなって、この前思い出していました。それはやはり香りなのですが。ある時、江戸の生活のことを書いてある本を読んだら「江戸っ子は梅の花を見に行く時、新しい着物で花見を楽しんで、帰ったら衣を部屋に掛けた。衣に移った梅の香りを、家に帰ってからも楽しんだ」と。

 江戸っ子ってあんまり好きじゃなかったけど、すごいな江戸っ子って思った。現代人に欠けているような花との付き合い方、香りに対する考え方がすごいと思って、それで梅に惹かれるようになった。だけど、梅の香りってむちゃくちゃそんなきつくない。それでも衣に匂いがつく!?   そこでふと思ったのは、昔の人の方が五感も含めて香りに対する感覚がすごい繊細だったのではないかということ。

 現代人はどぎつい刺激に慣れてしまっているから、色彩にしても香りにしても、微妙なところを感じるセンサーが鈍くなってしまっているのではないか。江戸の人が梅の香りを愛でた話を知った時、現代人が無くしてしまったものをそこに見たような気がした。桜は物の哀れを感じる花だけど、梅は日本人の感性の豊かさを知る花なのだと思った。

  (聞き書き 伊藤享子)


七十二候 について

七十二候(しちじゅうにこう)は、古代の中国で生まれました。立春、夏至、秋分…などで知られる二十四節気(にじゅうしせっき)を、さらに約5日ずつの3つに分けて、季節の移り変わりを感じる名前がつけられています。日本では、江戸時代の「本朝七十二候」、明治時代の「略本歴」など、いくつかの異なる七十二候が作られてきました。

「やまとの季節 七十二候」では、保山さんが記録してきた奈良県各地の映像から、いまの「やまと」の暮らしの中で、季節のうつろいを実感できる映像を選び出し、オリジナルの名前を添えて紹介しています。奈良を愛する方々に…これから奈良に出会うであろうすべての方々に…こころを込めてお届けしています。

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■ コメント(18)
  • 堀尾岳行

    2020年02月05日 14時58分

    立春を迎えて梅の香りがほのかに匂うのを楽しめる日当たりになりました。まだまだ寒さが続くのですが薄氷や霜柱は直に溶けてしまいます。春を感じてイカルが鳴き、カワセミが飛ぶ、鳥達や梅は立春の日差しを感じているのでしょうか。
    川上ミネさんの繊細なピアノの旋律と保山耕一さんカメラワークがほのかな春の香りを運んで来るようです。
    丸窓梅林から浮見堂辺りは奈良の落ち着いた風景の一つですね。今回も素晴らしい映像詩でした、次回も期待しています。
    京都市在住なので関西ブロクでしか見ることができません、関西全域での視聴ができますようご配慮お願い致します。

  • 武田克美

    2020年02月05日 19時01分

    浮見堂とお月様
    凍る鷺池
    寒そうって思ってたらほっこり優しい梅の花^_^
    今日も優しい気持ちになりました

  • 安藤憲一郎

    2020年02月05日 19時20分

    奈良が一番寒い頃に花をつける梅は楚々として凛と咲いている、まさに日本の花ですね。氷や霜と梅の花の対比がとても美しく感激でした。奈良の一年を絶対完結させて下さい。いや、何年も放送して下さい。

  • 武田和子

    2020年02月05日 19時24分

    水面に氷が張る寒い季節にありながら、春の訪れを告げる梅の花。
    枝にポツンポツンと咲く花の何と可愛らしいことでしょう。
    日差しを一身に集める梅一輪の姿が本当に暖かさを伝えてくれました。

    浮見堂の鷺池を地図で調べると、先日すぐそばまで行ったのにと残念な気持ちになりますが、これは「また何度でも見にいらっしゃい」と奈良が歓迎してくれているのだと心から感じました。

    いつも奈良の素敵な映像を配信して下さる保山さんや川上ミネさん、NHK関西のみなさま、これからもワクワクするような感動を頂けます事心より感謝しています。

  • 田中弘子

    2020年02月05日 21時20分

    コロンとまあるい 梅の花の愛らしい姿… そっと 手で包み込めば 春の暖かさを感じそうですね

    道を歩いていても フッと感じる 梅の花の香り…気品がありながら
    愛らしさを感じる香り… そして 春を告げてくれる香り
    季節のうつろいを
    そっと 優しく教えてくれています
    保山さんの映像を見せて頂いていると その一瞬の映像から 冷たい風を感じたり暖かい陽射しを感じたり 香り…を感じたりします
    ミネさんのピアノと保山さんの素晴らしい映像で 奏でられる
    やまと七十二候をどうか 全国放送して頂けます様にと願っております

  • 荒木千笑子

    2020年02月05日 21時39分

    二月生まれの母は、梅が大好きでした。
    梅の花を見ると母を思い出します。
    ふくらんだ蕾も、小さな花も本当に可愛らしい。
    冷えこむ日もあるけれど、陽射しが明るくなってくる希望を感じる季節ですね。
    三月には保山さんと川上ミネさんの生コラボを奈良に見に行きます。とても楽しみにしています。お二人は最高です。

  • 釘谷洋子

    2020年02月05日 22時52分

    優しい日差し、ほのかに漂う梅の香り、「春が今年も来てくれるのだなぁ」と嬉しくなります。何気ない身近な風景の中の心ときめく瞬間、それを感じ取れることは幸せですね。保山さんの映像は、そのことを教えてくれます。もっともっと、その素晴らしさを受け止めたいと思います

  • 朝陽

    2020年02月06日 00時41分

    わずかな春を見つけて咲いてくれる梅
    季節を楽しみたいと思いました
    今回も見れてよかった ありがとうございます
    保山さんの映像と 川上ミネさんのピアノは 本当によくあってますね いつも感心しています
    この日本の美の感性を 奈良というくくりでは無く
    全国で放送されるのを 希望しますm(._.)m

  • 本間悦子

    2020年02月06日 01時23分

    毎回、保山さんの映像と解説とセットて楽しんでます。
    もちろんミネさんの美しいピアノと共に。
    全国放送の大きな画面で楽しめたら最高なんですが。
    4月からシリーズでやってください❗

  • 松元智恵子

    2020年02月06日 08時13分

    浮見堂と月。水の音。鳥の声・・・川上ミネさんのピアノが優しく保山さんの映像詩と重なりあう♥️水面の月。薄氷の鷺池。真っ白で真ん丸い愛らしい梅の花。まだまだ寒い時ですが、春が始まりますよ~って咲いた梅の花にやわらかな暖かさを感じます。鷺池にカワセミがいるんですね。驚きました。美しい映像詩と100年ピアノの音色のコラボ。是非とも全国の方々にもご覧頂きたいです。

  • 坂井 節子

    2020年02月06日 10時26分

    まだ誰もいない浮見堂の夜明け。宝珠の上の月が静かに沈んでいきます。
    池に張った墨絵のような氷。立春を過ぎたというのにとても寒そうです。

    カモさんたちのいつもの一日が始まりましたね。おしゃれカラーのカワセミだけが目立ってる!
    まだ夜露を残した梅の花はゆっくりと、ゆっくりと陽の光をいただき花びらを膨らませていきますね。人々は一輪一輪数えて春の到来を感じます。

    マフラーで首をすっぽり包み込み 川上ミネさんのゆったりとしたピアノの音に合わせながら朝散歩したような気分です。ふと足元を見ると『チリチリと静かな音を立てて)霜柱が融けてゆきました。

  • 井元路子

    2020年02月06日 13時05分

    映像とともに川上ミネさんのピアノが心に沁みました。一つ一つの音が映像と一体となって心に刻まれました。また霜が溶けていく様はなんとも言えない感動を頂きました。ありがとうございました。本当に全国放送していただきたいと思いました。

  • 2020年02月06日 13時42分

    『梅一輪のあたたかさ』
    立春を過ぎて急に日差しが暖かくなりました。
    窓辺に座ると至福の時間。ふくらんだ梅の蕾が明日は開いてくれそう。
    保山さんの解説は✨最高‼
    忘れていた季節の巡りを一足先に思い出させてくださるし、共感することばかり。
    心より感謝しております。

    どうぞ明日もお元気で撮影に出られますように。
    全国の皆さんにも見せてあげられますように。

  • 佐々木美保子

    2020年02月06日 20時12分

    梅一輪のあたたかさ、この言葉を思うだけでもほっこりします。
    今回も川上ミネさんの澄んだ美しいメロディーにのせて、保山さんの素晴らしい映像を見せてくださいまして、ありがとうございます。
    寒くてもかわいい梅の花つぼみが膨らみはじめると、春の訪れを感じ心弾みます。そしてそのつぼみが咲いた時の喜び、いつも四季のあるこの日本に生まれてきて良かった、と嬉しくなります。
    保山さんの今回の作品も、厳しい冬の中に見える希望の輝き、明るい光を感じ、とても素敵です。
    できればテレビの画面で、もっと長くこの世界を楽しみたいです。放送地域と時間の拡大をお願いします。

  • 荒木礼子

    2020年02月07日 23時37分

    「やまとの季節七十二侯」、今週は浮見堂の美しいシルエットとまるでそこから空に向かって打ち上がったかのように白く浮かぶ月というとても印象的な場面から始まりました。誰もがよく見知った場所なのに、思わず目が惹きつけられ、ここから二分間の魔法の時間がいつものように始まります。
      暖冬と言われながらもこの冬一番の寒波に覆われている今週、一輪のちいさな梅の映像、その清らかな存在感にほっとするような安らぎを覚えました。
    これこそ令和の春の香りを感じる映像です。今、いろいろな事情で外に出かけられない方々にこの映像を届けていただけないかと、そんなふうに思いました。


  • 野尻恭子

    2020年02月08日 09時26分

    今年は暖冬の影響で、私の住む関東でもようやく氷が張りました。
    梅の花は木によって違うらしく、満開に近い花もあれば、蕾がふくらんだばかりの木も。
    梅が一輪咲いている嬉しさが映像に現れていますね。
    私も、最近は保山さんの真似をして、蕾の梅の木に花が膨らんでいないか、探すようになりました。
    通勤途中の定点観測です。
    そんな、感性を育んでくれる素敵な番組です。
    是非ぜひ、全国放送になることを期待しています☺️

  • 久野幸信

    2020年02月11日 22時37分

    厳寒期の中の梅の花。色のない季節にあってカワセミの彩も併せて向春の息吹を感じます。保山さんのこの映像が見られる関西の方々が羨ましいです。全国放送でも流されると嬉しいな。やっぱり奈良は日本人の心のまほろばですね。

  • 長尾美和子

    2020年05月17日 02時42分

    夜が明け暖かな日差しを浴びて、霜がゆっくりと溶けていくように…春もゆっくりとやって来ているのですね。
    白く丸い梅の花が咲いて、教えてくれているようですね。
    私の大好きなカワセミが、奈良で見られるなんて…感動です。
    保山さんの映像とミネさんのピアノ…心が暖かくなり、ホッとします。
    是非、多くの方に見て頂きたいと思います。