やまとの季節

2020年02月19日 (水)

やまとの季節 七十二候「東の空 かぎろひ」

「ならナビ」2月19日放送 

映像作家・保山耕一さんが、NHK奈良放送局「ならナビ」に、「やまとの季節 七十二候」をテーマとした極上の映像詩を届けてくれています。音楽は、スペインで活躍するピアニスト・川上ミネさんが、奈良で100年近くの時を刻んできたピアノで、オリジナル楽曲を奏でています。 


やまと七十二候「東の空 かぎろひ」 雨水


保山耕一

世界遺産などの撮影で活躍してきたフリーTVカメラマン。「奈良には365の季節がある」をテーマに奈良県各地で、日々、奈良の空や光、花、月、社寺、などを撮影し、SNS発表・上映会を続けている。

川上ミネ

スペインと京都を拠点に活動しているピアニスト・作曲家。「ラジオ深夜便・ピアノが奏でる七十二候」、Eテレ「やまと尼寺精進日記」などの音楽を手がけている。昨年、春日大社奉納演奏会を機に保山氏と出会い、「こころの時代」でコラボレーション。2019年秋から「やまとの季節 七十二候」の新たな作曲・演奏をスタート。

奈良女子大学・100年ピアノ

創立110年を経た奈良女子大学記念館(重要文化財)の2階・講堂で静かな時を刻み続けいる「百年ピアノ」。大学の前身である奈良女子高等師範学校の創立当時(明治42(1909)年授業開始)に購入され、戦後永らく倉庫に眠っていたもので、平成15(2003)年に学内で再発見されました。平成17年11月に無事修復を終えたピアノは、かつて置かれていた講堂に戻され、ふたたび美しい音色を奏でるようになりました。



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やまと七十二候

「東の空 かぎろひ」

保山耕一

万葉集で柿本人麻呂が詠んだ「東の 野に炎の 立つ見えて かへり見すれば 月傾きぬ」という歌に出てくる「かぎろひ」の映像です。かぎろひは、夜明けの一時間ぐらい前に空が真っ赤になる現象のことです。

 人麻呂の歌が詠まれたのは、旧暦で言うと11月のことらしい。宇陀市にある「かぎろひの丘 万葉公園」では、今の暦で12月に「かぎろひを観て万葉を偲ぶ かぎろひを観る会」という行事をやっておられます。明け方に歌を唄ったり、あったかいものを食べたりわいわい言いながら、みんなでかぎろひを見ようよというお祭りです。

 「かぎろひを観る会」は毎年開催されていますが、私が知る限り、イベントの日にかぎろひが出たことはありません……。「今年もあかんかった」「今年もあかんかった」って、毎年かわいそうで(笑)。でもまあ出なくても、集まって騒いで、それはそれで楽しいですね。

 かぎろひは、宇陀の公園だけで見られるのではなく、どこでも、生駒の山の上からでも見ることはできます。一応、気象のメカニズムみたいなことを言うと、寒い朝に冷え込めば冷え込むほど出現率が高く、快晴であることも条件、とされています。でも、冷え込んでいない時も出たりしますね。もちろん冬に限りますが。私の経験では、おそらく秋や春でも見られます。

 万葉集で使われていた言葉が、現代の奈良の人の間で普通に使われている。それもおもしろい。奈良の人といっても地域差があって、奈良市内の人にかぎろひと言っても何の事かすぐ出てこないかも知れませんが、宇陀周辺では皆さん知っていて、お祭りまでしているということが奈良らしいな、と。

 

 

立春を過ぎてもまだまだ寒く、霜が降りる日も珍しくない。

雪を割って咲く花に生きる強さを感じ、霜に耐えながら日に日に膨らむ桜の蕾に、命の逞しさを感じる。

私がカメラマン助手だったころ、先輩に「桜は冬が寒ければ寒いほど美しく咲く」と教えてもらった。寒さに耐えて春に咲く桜。

冬の冷え込みがなければ美しく咲くことが出来ない。その事を知り、カメラマン修行の真っ最中だった自分に桜の蕾を重ねていた。

助手時代は電気やガスを止められるほどの貧乏生活。休みはなくハードなロケの日々、将来の保証もなく根拠のない自信だけでカメラマンを目指していた。辛い毎日だったけど、厳しければ厳しいほど優秀なカメラマンになれるんだと、春が来たら美しい花を咲かせるんだと自分に言い聞かせていた。

霜の降りた桜の蕾を見ると、カメラマン助手時代を思い出す。

美しく咲いたかどうかは、うーーーん、自信がない。

  


七十二候 について

七十二候(しちじゅうにこう)は、古代の中国で生まれました。立春、夏至、秋分…などで知られる二十四節気(にじゅうしせっき)を、さらに約5日ずつの3つに分けて、季節の移り変わりを感じる名前がつけられています。日本では、江戸時代の「本朝七十二候」、明治時代の「略本歴」など、いくつかの異なる七十二候が作られてきました。

「やまとの季節 七十二候」では、保山さんが記録してきた奈良県各地の映像から、いまの「やまと」の暮らしの中で、季節のうつろいを実感できる映像を選び出し、オリジナルの名前を添えて紹介しています。奈良を愛する方々に…これから奈良に出会うであろうすべての方々に…こころを込めてお届けしています。

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【お知らせ】みなさまから心のこもったコメント投稿を数多くいただき、誠にありがとうございます。担当者一同、こころの励みとさせていただいております。関西ブログの投稿管理は、新しい記事の準備~公開作業とあわせて行っております。原則的には「新記事公開日に、前週投稿いただいたコメントをまとめて公開する」という運用です。その週のうちに公開できることもあるのですが、普段はお待たせしてしまうことが多いかと思います。どうかご理解のうえ、新しい記事公開とあわせてお楽しみいただければ幸いです。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

■ コメント(18)
  • 安藤憲一郎

    2020年02月19日 13時49分

    「かぎろに」を初めて見ましたが綺麗ですね。万葉集にうたわれたものが今も普通に受け継がれているなんて、奈良は本当に面白いですね。その冷えた朝に出来た霜柱の美しさはなんとも言えませんね。特に宝石のように光り輝いているところは言葉にならないぐらい綺麗です。今日も息を止めて見入ってしまいました。関西ブログで見ていますので、是非全国放送をお願いします。

  • 永井有子

    2020年02月19日 19時33分

    東の空 かぎろひ を拝見しました。
    朝焼けの空を見ると、新しい1日の始まりを神々に感謝したい、
    厳かな気持ちになります。

    ピアノの調べが日の出の透明なエネルギーを象徴し、
    霜が緩む様に、今日が雨水である事に思いを馳せました。
    あらゆる生命が動き出す朝なのですね!

    この神々しい映像が全国の皆様に届けられますよう、
    願っております。

  • 田中弘子

    2020年02月19日 20時08分

    かぎろひ 初めて聞いた言葉です
    綺麗な空の色 朝日が登る前の 素晴らしい時間ですね
    嬉しい時も 悲しい時も
    夜が明けない時はないと言いますが…
    今日 生きているのが 当たり前の様に…朝を迎えている事が
    当たり前ではないのだと…美しい映像を見せて頂きながら
    心が立ち止まりました
    人の生命も周りの全てのものも 生まれては消えていく
    美しい映像を忘れない様に魂に包みこんでいます
    毎週 やまと七十二候を楽しみにしております
    三重からはテレビで映像が見られないので 関西ブログを見せて頂いております
    素晴らしい保山さんの生命の映像と川上ミネさんのピアノ…どうか全国放送して頂けます様にと…心より願っております

  • 堀尾岳行

    2020年02月19日 20時29分

    夜明け前の寒空に現れるかぎろひ。秋から冬に山へ出掛けてご来光を待っていると、ひと時の瞬きのように東の空が赤くなることがある。
    寒くて体が冷え切っているのだが、厳かな日の出を見たいと思い我慢して待つ、
    その心持ちが映像から感じられます。
    樹々についた霜の映像は美しく、
    コゲラが樹の種を突く姿は映像に動きを与えていてほほえましいです。
    川上ミネさんのピアノが夜明けの景色を奏でていて良いですね。
    保山耕一さんは私たちが忘れがちな自然の瞬きを丁寧に撮られています、
    今回も素晴らしい映像詩ありがとうございました。
    是非、全国の方にも見て頂きたいですね。

  • 綾部収治

    2020年02月19日 20時36分

    保山さん、これがかぎろひですか!感動しました。
    学生の頃、万葉集の人麻呂の ひんがしの のにかぎろひの、、という歌を習った時からどんな光景なのか興味がありましたが、今日関西ブログで拝見できありがとうございました。自然が織りなす美を保山さんが伝道師として沢山の人々に伝えてくださっている事に心より感謝しております。放映されるNHKにおかれましては、この僅か2分程の映像の為にどれだけのエネルギーを費やして撮影されたことかを察していだだけたら幸いです。

  • 松元智恵子

    2020年02月20日 10時17分

    消えようとする有明の月と真っ赤に燃える空から力強く昇る太陽。
    霜が虹色のガラス玉の様に輝く✨芽吹く蕾の霜に暖かい日差し。
    雨水・・・雪から雨に変わり春は、もうすぐでせね。
    保山さんの生きる力強さを感じる映像詩。川上ミネさんの柔かなピアノの旋律。万葉集でしか知らなかった「かぎろひ」ありがとうございます。毎回もう少し長く拝見したいと思っています。また、全国の皆さんにも是非ご覧頂きたいです。全国ネットと時間延長うをご検討下さい。

  • 佐々木美保子

    2020年02月20日 15時04分

    今回も心揺さぶられる素晴らしい映像をありがとうございます。
    朝、日の出前のあの美しい空、かぎろひというのですね。初めて知りました。
    夜明け前の一番暗い闇を越えた後のあの真っ赤朝焼け、何度自然の豊かさ恵みの大きさに癒され勇気をもらったことか。今回の保山さんの作品を見せていただき、思い出しました。そして新たな感動もいただきました。
    保山さんの作品はいつも私に勇気と希望を与えてくださいます。川上ミネさんのメロディーにも心洗われ、癒されています。そして、その感動を表現するには私の語彙は少なすぎると残念です。
    でも、私もできればテレビの大きな画面で見せていただきたいですし、より多くの方にこの素晴らしい映像を見ていただきたいです。どうぞ放送地域の拡大、放送時間の延長をお願いします。

  • 武田和子

    2020年02月20日 17時24分

    まるでオレンジの色がついている空気が地上にとどまっているかのような映像からのスタート。
    「かぎろひ」という現象を初めて知りました。
    この不思議な風景を古の人は歌にして伝えたかったのですね。

    まもなく春の訪れですが、身に染みるような冷えた空気をこの美しい映像から肌で感じました。

    つくづく、地球は美しい。日本は美しい。奈良は美しい。
    そう、思い出させて頂ける素晴らしい映像をありがとうございました。

  • 岩本雅代

    2020年02月20日 18時38分

    自然の瞬間の、2度とない風景の美しさ、音色に、癒されます。いつも楽しみにしています。
    いつまでも お願い致します。

  • 釘谷洋子

    2020年02月20日 18時52分

    かぎろひ 何となく耳にした言葉でしたが、こんなに美しい現象をいうのですね。穏やかな朝の風景、新芽に霜が降りた可愛らしさ、春を予感して心がほっこりします。
    ミネさんのメロディは保山さんの表現される「奈良」に、寄り添うように美しいですね。
    新型肺炎で日本中が不安です。このような美しい映像は皆さんの心を和ませてくれるのではないでしょうか。

  • 2020年02月20日 20時48分

    『東の空 かぎろひ』
    阿騎野の山々を、遠く見渡せるかぎろひの丘。
    一度は☆かぎろひを見たいと考えたこともありましたが、叶わず。
    保山さんが厳寒の中丘に上り、撮影してくださって見ることが出来ました。ありがとうございます。
    奈良の素晴らしきところがまだまだあると思います。
    どうぞこれからもお教えください。楽しみにしております。
    テレビでの関西や全国への放映もお願いいたします。

  • 久野幸信

    2020年02月20日 22時46分

    冬の空は空気が澄み、朝夕の空が焼ける様を殊更美しく感じます。今日の保存さんの映像は、その橙色と群青色が溶け合う様をリアルに映し出され、凛とした空気感も感じることができました。氷柱や霜も生き生きとしていて、奈良の清涼感が伝わります。ミネさんの周りを生かすピアノとの調和も素晴らしく、是非、全国放送で見させていただけるといいなぁ、と思っています。

  • 野尻恭子

    2020年02月20日 23時18分

    これが「かぎろひ」ですか‼️なんて美しいこと‼️
    関東の人にかぎろひと言っても、おそらく?通じないのでは?
    柿本人麻呂が振り返って見たという景色を時代をこえて理解出来る大和の人の感性がうらやましいです。
    私は奈良が大好きです❗️
    この番組が関東でも見られることを願っています。
    どうぞよろしくお願いします。

  • 荒木礼子

    2020年02月20日 23時36分

    今週のやまとの季節七十二侯、
    季節は冬から春へ。そして一日の中でも夜から朝へと劇的に変化する時間帯。
    静かに天地のエネルギーが満ちてきて木々も春本番を迎える前の準備が整った。そんな希望に満ちた雰囲気が心を深いところから暖かくしてくれます。
    ミネさんのピアノが保山さんの映像にピッタリと寄り添って本当に美しく、毎週二人が産み出す芸術の目撃者になれていることに興奮を覚えます。
    千三百年の時を乗り越えて和歌とも響き合い呼応するやまとの季節。こんな素敵な企画をしてくださり、二人を出会わせてくださったNHKさんに心から有り難うと申し上げたいです。

  • 島岡和代

    2020年02月22日 18時03分

    かぎろひの空。奈良は冷え込むので快晴の明け方に私も見たことがあります。不思議な空で「かぎろひ」かどうかは定かではありませんでした。ですが、保山さんの綺麗な映像を見せていただき、あれが「かぎろひ」だったのだと確信しました。移り行く季節の中でどれが一番とはつけがたい奈良の都。不思議な土地だな、神々がおわす所なのだなと心からそう感じています。保山さんの七十二候の映像が長く続きますように。そして、奈良以外の人にもこんなに綺麗な奈良を知ってもらいたいです❗是非、全国放送を❗よろしくお願いします

  • 朝陽 志太 美代子

    2020年02月23日 00時47分

    まだまだ 保山さんと川上ミネさんの作り出す世界ですを見たいです。 続けて頂けるようでありがたいです。ゆっくり時間の過ぎて行くのをとらえた映像は 近年少なく 貴重な番組?と思って見させていただいてます。これからもよろしくお願いします。 保山さんの解説文で 知らなかった事を知れて より深く見ることができます。 ぜひ続けてもらえますように!

  • 井元路子

    2020年02月24日 23時01分

    かぎろいの、意味初めて知りました。素敵なピアノで天使のような桜の蕾が踊って春を待ってるようでした。845でも放送され、とてもうれしいです。毎回楽しみにしています。

  • 長尾美和子

    2020年05月17日 05時24分

    日の出前から起きていることが多いので、朝焼けはよく見るのですが…『かぎろひ』というのを初めて知りました。
    どこでも見ることができるようですが、奈良の広い空に現れるかぎろひは格別ですね。
    保山さんの映像とミネさんのピアノのコラボも格別です。
    是非、多くの方に見て頂きたいと思います。