やまとの季節

2019年12月04日 (水)

やまとの季節 七十二候「銀杏散る社に水の音」

「ならナビ」12月4日放送 

映像作家・保山耕一さんが、NHK奈良放送局「ならナビ」に、「やまとの季節 七十二候」をテーマとした極上の映像詩を届けてくれています。音楽は、スペインで活躍するピアニスト・川上ミネさんが、奈良で100年近くの時を刻んできたピアノで、オリジナル楽曲を奏でています。 


やまと七十二候「銀杏散る社に水の音」 小雪


保山耕一

TBS世界遺産などで活躍してきたフリーTVカメラマン。6年前、がん余命宣告を受け、治療中に「奈良には365の季節がある」をテーマに奈良県各地の撮影を始める。日々、奈良の空や光、花、月、寺、などを撮影し、SNS発表・上映会を続けている。

川上ミネ

スペインと京都を拠点に活動しているピアニスト・作曲家。「ラジオ深夜便・ピアノが奏でる七十二候」、Eテレ「やまと尼寺精進日記」などの音楽を手がけている。昨年、春日大社奉納演奏会を機に保山氏と出会い、「こころの時代」でコラボレーション。この秋、「やまとの季節 七十二候」の新たな作曲・演奏をスタート。

奈良ホテル・100年ピアノ

1922年、スタインウェイ社のハンブルグ工場(ドイツ)で製造。1926年、奈良ホテルの調度品として鉄道省によって購入された。 



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やまと七十二候

「銀杏散る社に"風"の音」

保山耕一

今回の映像で取り上げたのは、春日大社敷地内の「浮雲峰遥拝所(うきぐものみねようはいしょ)」と「祓戸神社(はらえどじんじゃ)」のイチョウです。

浮雲峰遥拝所は、春日大社御本殿近くに設けられています。禁足地として原則一般参拝者は立ち入ることが出来ない御蓋山に最も近づける場所で、御本殿の特別参拝時のみ手を合わせることができます。遥拝所の鳥居は、春日さんの神山である御蓋山(みかさやま)の山頂「浮雲峰」から西へ伸びる尾根の線上に設置されています。

映像の最初に出てくるのが浮雲峰遥拝所のイチョウです。この時は、本殿から吹く風がイチョウの葉を散らし、御蓋山に当たって霧となり、霧が龍のような雲になって天に昇っていくイメージを思い描いてカメラを構えました。すると3分で頃合いの風が吹いてくれた。ほんまかいなって思うでしょ。ほんまやねん。

神域に吹く風には意志があると思っています。吉野・金峯山寺の五條良智管長も「大きな行事を無事終えた時というのは、どういうわけか瞬間強い風が吹く」と言っておられましたが、じつは私も似たような経験を何度もしています。少し前、ミュージシャンのさだまさしさんが春日大社で奉納演奏をされた時、私が撮影を行ったのですが、さださんが歌い終えられた瞬間、風のかたまりみたいなのがブワーッと吹いて、あとは無風、という場面に遭遇しました。当然、嫌な感じは決してなく、荘厳というか。あれは神様からのことほぎの風だったと思う。

「祓戸神社」は、春日大社御本殿への参道に立つ「二の鳥居」そばに位置する春日大社末社の一つです。「祓戸さんの大イチョウ」として知られています。台風で一部枝が折れてしまいましたが、枯れることなく今年も美しく黄葉しました。

これはイチョウに限ったことではありませんが、神社の本殿の近くに立つ木というのは佇まいに品が感じられると思っています。常に人々の祈りや柏手の響きを聞いているでしょ。人間も毎朝清々しい音を聞けば清らかな気持ちになるように、同じ生き物として植物も一緒じゃないかな、と。春日さんの御本殿横の千年杉なんて、神官が奏上する大祓(おおはらえ)を聞いているからか、品の良さは一番だと思う。

一切風が吹いていないのに、突然、バケツの水をひっくり返したような雨が降るみたいに、勢いよく葉を落とす時、というのがイチョウにはあります。不思議な光景で、恵まれて撮影できたシーンを今回ワンカット入れました。イチョウも生きているから意志を持っているのだろうけど、風もないのに一斉に落葉するイチョウにも、神様の気配を感じてしまう。

 (聞き書き 伊藤享子)


七十二候 について

七十二候(しちじゅうにこう)は、古代の中国で生まれました。立春、夏至、秋分…などで知られる二十四節気(にじゅうしせっき)を、さらに約5日ずつの3つに分けて、季節の移り変わりを感じる名前がつけられています。日本では、江戸時代の「本朝七十二候」、明治時代の「略本歴」など、いくつかの異なる七十二候が作られてきました。

「やまとの季節 七十二候」では、保山さんが記録してきた奈良県各地の映像から、いまの「やまと」の暮らしの中で、季節のうつろいを実感できる映像を選び出し、オリジナルの名前を添えて紹介しています。奈良を愛する方々に…これから奈良に出会うであろうすべての方々に…こころを込めてお届けしています。

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■ コメント(23)
  • 安藤憲一郎

    2019年12月04日 14時25分

    今回も集中して見入っていました。イチョウの葉が雨のように降ってくる場面は息を飲んでみていました。映像が短すぎてあっという間に終わってしまいもっともっと見ていたいとおもいました。こんな綺麗な、そして日本人の心に訴える何かをもつ映像は全国の皆さんに見て欲しいです。最低でも関西全域には放送して下さい。

  • 堀尾岳行

    2019年12月04日 15時47分

    イチョウについた水玉が光を浴びて生き生きとしています、
    春日さんの朱鳥居にイチョウが落ちて行くさまは神様の風を感じます。
    また、一斉に落葉するイチョウには意思さえ感じてしまいます。
    川上ミネさんのきめ細やかな旋律に合わせて映像が流れて行く、
    イチョウの落葉を巡る一つの映像詩、保山さんの映像、今回も素晴らしかった。

  • 永井有子

    2019年12月04日 19時08分

    もみじの季節が終わり、次は銀杏の輝き。
    寒さに震える心にまばゆい光が降り注ぎます。

    鳥居の朱色に銀杏の黄金が映え、ゆったりした旋律に乗って散りゆく
    光景を、いつまでも見ていたいと思います。

    今日も神々しい映像を拝見できてとても幸せです。

  • 田中弘子

    2019年12月04日 21時10分

    いつも関西ブログでやまと七十二候を見せて頂いております
    まるで
    雪の様に舞い落ちる銀杏の葉…
    銀杏の葉に光る水の玉が宝石の様に輝いていました
    移り行く季節を素敵な音楽と映像で 見させて頂き 幸せな気持ちに満たされます
    どうか私の住む三重でもテレビ放送で見られます様に 全国放送して頂けます事を願っております

  • 島岡和代

    2019年12月04日 21時44分

    やまとの七十ニ候、今日のいちょうももみじもまるで生き物のような表情が感じられました。枝についていても、絨毯のようなになっても、水の流れのなかにあってもただ静かにそこにいる。御蓋山の風が保山さんに撮らせたいと一斉にいちょうの枝を揺らす。雪のようにハラハラと時にはザーッと葉を落とす。なんて綺麗なんでしょう。この映像も奈良だけでなく全国の皆さんに見てほしい。どうぞ、全国放送をご検討ください。よろしくお願いします。

  • 武田和子

    2019年12月05日 01時25分

    モミジの紅葉とも甲乙つけがたい春日大社の銀杏の黄葉。落ち葉の雫はキラキラと輝いてまるで水晶のようでした。
    ささやかな場所に美しさを見出し、こうして私たちに「宝石はここにもあるよ」と教えてくれる絵のなんと感動的なこと。
    一切風が吹いていないのに、一斉に落葉するイチョウのワンシーンにも、神様がいつもそばにいるからねと教えてくれた気がします。

    心が洗われるような保山さんの映像が多くの人たちに届きますようにと願っています。

  • 坂井 節子

    2019年12月05日 07時47分

    今朝もまた奈良の皆様に遅れること12時間 早朝から清々しい春日様のイチョウを見せて頂きました。 やまとの季節七十二候 本格的冬を迎える前のイチョウの落葉ですがしかしイチョウの落葉は明るく 華やかな桜に負けていませんね。
    イチョウに葉脈まで見える水滴は輝くばかりの美しさ!!
    朱色の鳥居に降り注ぐイチョウの下に自身が佇んでいるような気持ちになりました。
    映像に見入っているとあっという間に残念!!終わってしまいました。
    晩秋から初冬へ 来週を楽しみに待つことに致します。

  • 井口好子

    2019年12月05日 10時04分

    なんていうことでしょう、と心の中で思いながら、美しい映像は心を安らかにしてくれます。1日仕事や用事を済ませての一時、テレビで流れる映像は疲れが取れて一杯の温かいお茶を飲んだかのような、ほんわかするものが見たい。保山さんの映像をならナビで偶然見てからは、とても楽しみにしていて、奈良にこんなに素敵な映像を撮られる方がいらっしゃる事にびっくり。それから毎日寝る前にスマホで作品を見て寝ています。奈良に住んでいながらも、その美しさに圧倒されます。他の県の方にもぜひ見て頂きたいです。撮影場所、行ってみたくなりますよね。

  • 井元路子

    2019年12月05日 10時14分

    今回も軽やかな川上ミネさんの演奏とともに春日大社の銀杏の舞を見させていただきました。ありがとうございました。次回はと早くも次の放送に心が飛んでいます。

  • 芦田とし子

    2019年12月05日 11時38分

    どれほど長い時間、対象物を見つめていたらこのような美しい映像が撮れるのでしょう。金銀宝石のたぐいは何も持ってない私ですが 保山さんの映像が宝物となっています。

  • 2019年12月05日 13時48分

    やまとの七十二候
    今週は早々にコメント公開をしていただきありがとうございます。幸せの✨黄色~銀杏、それも神様が降らしてくださると

  • 佐々木美保子

    2019年12月05日 14時56分

     何て柔らかくて温かなメロディー、何て美しく心震える映像、このハーモニーが素晴らしい。いつも珠玉の作品を配信してくださいまして、ありがとうございます。
     光を浴び、風にのって舞う銀杏の葉の美しさに命洗われるような感覚を覚えます。
     保山さんの映像によって、普段なかなか気づけない自然の豊かさや小さな命の大切さを教えていただき、満ち足りた気持ちで日々過ごす事ができています。
     どうぞ、この素晴らしい映像と音楽を多くの人が楽しめるように、広い地域でのテレビ放映をお願いいたします。

  • ふく

    2019年12月05日 15時06分

    イチョウの葉の露に、神仏が宿っているように感じます。保山さんの祈りの映像と川上ミネさんの自然を映す音楽は、魂を癒やしてくれます。
    携帯画面でみましたが、TVの画面で見たいので、全国放送を願うばかりです。

  • 長尾 美和子

    2019年12月05日 22時44分

    今回もとても美しい映像を映像をありがとうございます。
    水の中でピアノの音に合わせて踊っている銀杏の葉、雪のように降る葉や地面に敷き詰められた銀杏の葉にも存在を感じます。来春に芽吹く準備のため、樹に栄養を蓄える仕事を終えた誇りみたいなものでしょうか?
    銀杏の葉が一斉に落ちるシーンは、何かチカラの様なものを感じ感動しました。保山さんだから撮れたシーンだとをいます。
    こんなに素敵な映像は、多くの方に是非観てもらいたです。

  • 朝陽

    2019年12月05日 23時07分

    毎週楽しみに待ってます。いちょうの散る映像は自然の力を感じました。 保山さんと川上みねさんのコラボは いつも 深く自然の力を引き出して下さっていると思います。
    ぜひ 日本の自然の素晴しさを若い方にも 知っていただけよるよう ぜひ 全国版にして欲しいです 大きな画面で見たいです! 又集めてDVDにして 販売して欲しいです。
    よろしくお願いします。

  • 野尻恭子

    2019年12月05日 23時20分

    銀杏が意思を持って神様と対話しているかのようでした。
    奈良の美しい大銀杏に会いに行ってみたくなりました。
    関東在住のファンです。
    全国放送をお願いいたします‼️

  • 大井泰子

    2019年12月05日 23時46分

    やまとの季節七十二候
    銀杏の葉が五月雨のように散っていく光景初めて見ました。奈良だけの放送ではもったいないです。
    全国の皆様にこの光景を共有できたらと思います。
    NHK奈良放送さま頑張って全国放送に。
    よろしくお願いいたします。

  • 綾部収治

    2019年12月06日 00時06分

    銀杏の落ち葉に輝く水滴。なんと美しい水滴だろう!
    保山さんの溢れる感性が現れている映像です。身の回りにある何気ない光景、しかし保山さんでなければ撮れない映像。川上ミネさんのピアノの音が映像の語り部のようです。なんとか全国の皆様にも観て頂けるように放送される事を願っています。

  • 宮原 麻美

    2019年12月06日 00時49分

    風にも、水にも、銀杏などの木々にも、神さまは宿っていらっしゃるのですね。
    そして、ミネさんのピアノにも、保山さんの映像にも、神さまは宿っていらっしゃる。
    この映像を見て、確信しました。
    心の中を一陣の強い風が吹き抜け、その後に例えようもない清々しい気配が残ったからです。

  • 株本佳代子

    2019年12月06日 08時01分

    息を呑むほどの銀杏の雨、清らかな水、凜とした空気、
    神を感じる風、晩秋を締めくくるに相応しい映像と添う
    音色。銀杏散りやまず。
    日本の季節の原点を感じるこのコーナーを、誰でも観れるよう全国放送を願います。

  • 荒木礼子

    2019年12月08日 01時26分

    関西ブログで今週の「やまとの季節72侯」を拝見し、保山さんのお話を読ませて頂いた後に、早起きして奈良へ向かい、初めて春日大社を訪れました。人影のまだ疎らな参道の緩やかな坂道を歩いて行くと、この神社が奈良という場所においてどれほど圧倒的な存在感を持っているかを身体で感じることができました。さらに太古の昔から今に至るまで日本中の人々の信仰というか信頼、を集め続けてきている、それが春日大社なのですね。
    プロのカメラマンの目というのはその被写体の日常の姿から奇跡のように美しく貴重な一瞬を切り取り、それを更に見る人の心にくっきりと絶妙な間合いで印象づけることができるようです。そしてそれに魅了された人はその場所に行かずにはいられない。
    奈良は今多くの外国人観光客で賑わっていますが、詳しく知らない私のような日本人もまだいっぱいいるはず。日本人である私達こそ、奈良を知らなければならないと思います。是非、この番組を全国へ向けて放送されることを望みます。

  • たえこ

    2019年12月09日 10時01分

    銀杏が散るさまは大いなる摂理を感じました。保山さんとミネさんの映像詩にはいつも清らかなものが流れています。いよいよ冬の季節ですね。水曜日を楽しみにしています!

  • 村上浩司

    2019年12月11日 03時55分

    七十二候という言葉は知ってるけど、日々目の前の事をこなす生活をしているため、そうした季節の折々の変化を感じずに漫然と一年を過ごしてしまっています。
    大阪の都会で暮らし、大阪の都心で働いているから余計にそうかも知れません。
    なので節目を、気象の動きや動植物の変化で見せてくれる保山氏の映像と、川上ミネさんの限りなくやさしいピアノの音色を通して感じています。

    四季が豊かな日本に暮らしているありがたさを、もっと多くの方々に感じて欲しいなぁ…と思います。
    例えば、このコーナーをまとめて四季ごとに年4回
    特番としてオンエアして欲しいなぁ。とも思います。
    ニュース内の1コーナーだけの放送では、あまりにももったいなさ過ぎます。検討していただけると幸いです。よろしくお願い申し上げます。