やまとの季節

2019年10月30日 (水)

やまとの季節 七十二候「雲、湧き立ち 海となる」

「ならナビ」10月30日放送 

映像作家・保山耕一さんが、NHK奈良放送局「ならナビ」に、「やまとの季節 七十二候」をテーマとした極上の映像詩を届けてくれています。音楽は、スペインで活躍するピアニスト・川上ミネさんが、奈良で100年近くの時を刻んできたピアノで、オリジナル楽曲を奏でています。 


やまと七十二候「雲、湧き立ち 海となる」 霜降


保山耕一

TBS世界遺産などで活躍してきたフリーTVカメラマン。6年前、がん余命宣告を受け、治療中に「奈良には365の季節がある」をテーマに奈良県各地の撮影を始める。日々、奈良の空や光、花、月、寺、などを撮影し、SNS発表・上映会を続けている。

川上ミネ

スペインと京都を拠点に活動しているピアニスト・作曲家。「ラジオ深夜便・ピアノが奏でる七十二候」、Eテレ「やまと尼寺精進日記」などの音楽を手がけている。昨年、春日大社奉納演奏会を機に保山氏と出会い、「こころの時代」でコラボレーション。この秋、「やまとの季節 七十二候」の新たな作曲・演奏をスタート。

奈良ホテル・100年ピアノ

1922年、スタインウェイ社のハンブルグ工場(ドイツ)で製造。1926年、奈良ホテルの調度品として鉄道省によって購入された。 


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やまと七十二候

「鳥見山、雲海」

保山耕一

 鳥見山は奈良県宇陀市と桜井市の境にそびえ立つ山です。標高734.6メートル。山頂を南側に下ると鳥見山公園があり、春はツツジ、秋は紅葉の名所として知られています。山頂に近い方の展望台からは南の方角を眺望でき、さらに、ここからは日本でも屈指の雲海が見られます。10月から春先までの間、雲海の出現率が高まることから「やまとの季節 七十二候」に選びました。

鳥見山の雲海の映像をご覧になった方からよく言われるのは「奈良でこんな絶景が見られるなんて」ということ。近くに住んでいる人でも意外にご存知ない。鳥見山の展望台の駐車場に車を停めて、10分も歩けば見られる光景です。

雲海は、夜中の2時か3時ごろに霧みたいなのが湧き始めて、次第に濃くなり、ちょうど日の出前の頃、雲の層がうわーっと、海みたいになる。

広がる雲海の下、地上から空を見上げると、今日は濃い霧の日だな、という状態ですが、雲海の上空は快晴です。太陽が雲海を照らしてキラキラと、それは美しい。自分が置かれている場所の美しさを知るには、高い所に昇るのも一つの方法。人生や自分が置かれている場所をたまには俯瞰してみませんか、というメッセージも込めています。

今回の映像にワンカット、濃い霧の向こうにぽつぽつと、街の灯りが星みたいに見える風景の絵があります。実際、現場で見た時はほんとに……。使い古された表現だけど、灯りの数だけ人の営みがあることが、妙に実感できて。
そして、雲海は日の出とともにすーっと消えていく。こんどは太陽。これまで数え切れないぐらいご来光を撮影してきましたが、太陽の一番端がピカッと目に飛び込んでくる、その瞬間が一番好き。常にこの時を待ちわびています。普通、光が当たると影ができるものですが、出てきたばかりの太陽が照らすとなぜか影ができない。朝の強い光が気持ちの隅々まで差し込んで、すべてを浄化し、また一から始められる。そんなイメージがあります。だから、ご来光を目にすると、手を合わせずにはいられない。本当はカメラのしぼりを変えたり、フィルター変えたり。技術的に大忙しのはずなのですが。

 

 (聞き書き 伊藤享子)


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■ コメント(14)
  • 堀尾岳行

    2019年10月30日 14時33分

    宇陀の谷間に広がる雲海、夜明け前から日の出まで実に大きく変化して行きます。この季節、榛原の人々が暮らす街並を覆う霧、毎日繰り返し発生するのですが上空は快晴であることが多く、雲が湧き消えて行くのが見られます、その姿を保山さんがダイナミックに映像で捉えられています。この神々しい世界を川上ミネさんの奏でる旋律が引き立てているようです。次回も期待しています。
    出来れば関西全域で放送されるようにして頂きたいと思います。

  • 安藤憲一郎

    2019年10月30日 15時57分

    毎週水曜日が来るのをワクワクして待っています。今回も素敵な映像で感動しました。留め書きにもあるようにこんな身近な奈良にこんな絶景があるにはびっくりです。現地には行けませんがたまには自分自身を俯瞰して眺めてみたいと思います。

  • 武田和子

    2019年10月30日 16時52分

    ダイナミックな雲海とご来光の絶景。
    この映像のまるで生きているかのような雲海が感動的でした。

    またひとつ、奈良の行きたい場所が増えました!

    保山さんはさぞや苦労してこのロケ地に行ったのかと思いましたが、コメントの中に奈良市近郊の車でも行ける鳥見山と紹介していました。
    こんな素晴らしい景色、気前よく惜しみなく、シェアーしてくれたことに感謝ばかりです。
    次回の放送もワクワク待ち遠しいです。
    ありがとうございました!

  • 青井三保子

    2019年10月30日 23時03分

    保山耕一さんの映像に、毎回心奪われています。
    保山さんがその場所に立てば、風景が動き出す。
    そんな風に思えてくる。
    奈良の人に、もっと奈良を知って欲しい、奈良を愛して欲しいとの思いが伝わってくる。
    関西全域にそして全国に奈良を発信してください。

  • 井元路子

    2019年10月30日 23時44分

    やまとの季節七十二候鳥見山 雲海、ならナビと関西ブログと両方で、拝見させて頂きました。生きてるような雲海、次々と姿を変えていきます。空の雲は、朝日で赤く染まり、まるで竜のようです。わくわくしながら拝見いたしました。こんな素晴らしい映像で朝を迎えられたら、素敵な一日が始まりそうです。全国の方にも観ていただける日が来る事を願っています。

  • 今井健二

    2019年10月31日 00時36分

    京都在住ですので見ることができません。
    ぜひ、視聴エリアを広げてください。見たい人は私の他にもたくさんいらっしゃると思います。
    或いは、アーカイブなどで奈良以外でも見ることができるようにしていただきたいです。

  • 綾部収治

    2019年10月31日 01時40分

    保山さんの映像の素晴らしさは言うに及ばず、ブログのコメントにも日常の生活に追われて自分自身の情感の水位が下がってしまっていることに気づかされます。物事は立ち位置によって見え方が変わります。
    そんな事を改めて教えられた保山の映像でした。
    一日も早く、全国ネットで放送して頂ける事を期待しています。

  • 田中弘子

    2019年10月31日 07時24分

    関西ブログから ならナビを見させて頂きました
    三重県から やまと七十二候を 毎週楽しみに待っています
    雲海の映像…まさに海の波の様です そして神々しい日の出に手を合わせてしまいました 雲海と日の出は神々の世界の様で感動しました
    どうか 大勢の方々に この素晴らしい保山さんの映像と音楽を感じて頂けます様に…奈良の魅力を
    全国放送して頂けます様に…お願い致します

  • 佐々木美保子

    2019年10月31日 10時39分

     夜明けの空の表情の変化の豊かさ、幻想的な雲海の美しさ、そして雲の上の神々しい太陽の光、今回も素晴らしい映像をありがとうございます。
     川上ミネさんの澄んだビアノのメロディーも素敵で、心洗われる一時です。
     私達のいるこの世界はこんなにも美しい。そして、影のない太陽の光、それは影のできない大日如来様の光の世界に通じるものなのですね。これは保山さんの心の映像、大宇宙とつながったメッセージだと感じます。
     このように素晴らしい映像を撮られる保山さんの活動を多くの方に知っていただきたいです。是非全国放送をお願いします。

  • 木村由美

    2019年10月31日 12時25分

    ここうん十年、朝起きて霧が出ていると、列車が遅刻となるのでため息でしたが、視点を変えればこんなにも素晴らしい風景もひろがっている。奈良に住んでいても見落としているものの中にかけがえのない宝物がある、ということに毎回気づかせてくださるコーナーです。
    奈良を離れている友人知人にも見せてあげたいです。

  • 株本佳代子

    2019年10月31日 12時38分

    まさに『雲湧き立ち、海となる』。臨場感は半端なく、
    奈良にこんな場所があるとは、と驚く。
    やまとは、こんな お山、雲、お日様に護られているから、
    こころのふるさとのままなんだと。
    いつも、こころを''じ〜ん”とさせてもらい、日常を忘れ
    深呼吸。こんな清涼剤の時間が、テレビにほしい。
    質の高い時間を、他の地域でもみれるようにお願いします。

  • 野尻恭子

    2019年11月01日 08時49分

    関西ブログで拝見しました。
    放送されたその日に奈良では雲海が見られたとのこと。
    保山さんは永年のご経験からこの季節に起こりうる自然界のことが肌で分かるようになられているのでしょう。
    感覚を研ぎ澄ますとよく見ている世界と波長が合い、呼ばれることがあるのでしょうか。こんな美しい風景に辿り着ける才能と感性を持っている保山さんだからこその映像のプレゼントです。
    ご来光の瞬間❗️もくもく沸き立つ雲海❗️刻々と変わりゆく絶景がやがていつもの奈良へと戻る。
    私は関東在住なので全国放送をお願いします。

  • 荒木千笑子

    2019年11月01日 18時19分

    雲が沸き上がり躍動する様は、神様の御業のように思いました。
    雲に閉ざされて、光が見えない時も 雲の上に青空が広がっていることを想像できたらいいな。
    保山さん、いつも素晴らしい映像とコメント、ありがとうございます。

  • 荒木礼子

    2019年11月08日 18時01分

    特別な高い山に登らないと見られないものだと思っていた雲海。
    拝見して今回も鳥肌がたちました!
    あちらこちらに島が点在する、瀬戸内海を思わせる景色。カメラマンのこだわりを読みつつその映像を誰もが見ることができる関西ブログ、有り難く思っています。
    この季節のこんな濃い霧がこれから木の葉を色づけていくのでしょうか…。
    万葉集の柿本人麻呂の歌に
    「朝露に にほひそめたる秋山に 時雨な降りそ ありわたるがね」
    というのがあるそうです。ちょうど今頃を歌ったのかもしれないと想像を膨らませています