やまとの季節

2019年10月09日 (水)

やまとの季節 七十二候「すすき 黄金に染まる」

「ならナビ」10月10日放送 

映像作家・保山耕一さんが、NHK奈良放送局「ならナビ」に、「やまとの季節 七十二候」をテーマとした極上の映像詩を届けてくれています。音楽は、スペインで活躍するピアニスト・川上ミネさんが、奈良で100年近くの時を刻んできたピアノで、オリジナル楽曲を奏でています。 


やまと七十二候「すすき 黄金に染まる」 寒露


保山耕一

TBS世界遺産などで活躍してきたフリーTVカメラマン。6年前、がん余命宣告を受け、治療中に「奈良には365の季節がある」をテーマに奈良県各地の撮影を始める。日々、奈良の空や光、花、月、寺、などを撮影し、SNS発表・上映会を続けている。

川上ミネ

スペインと京都を拠点に活動しているピアニスト・作曲家。「ラジオ深夜便・ピアノが奏でる七十二候」、Eテレ「やまと尼寺精進日記」などの音楽を手がけている。昨年、春日大社奉納演奏会を機に保山氏と出会い、「こころの時代」でコラボレーション。この秋、「やまとの季節 七十二候」の新たな作曲・演奏をスタート。

奈良ホテル・100年ピアノ

1922年、スタインウェイ社のハンブルグ工場(ドイツ)で製造。1926年、奈良ホテルの調度品として鉄道省によって購入された。 


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やまと七十二候

「曽爾高原、芒」(そにこうげん、すすき)

保山耕一


曽爾高原のススキが生育不良で、小型ヘリコプターを使って肥料を空中散布したと、先日、新聞報道で知りました。曽爾高原のススキがさみしいことになっている原因は、台風の影響とか、観光客が踏み荒らしたとか、いろいろ言われていますが、本当のところはわからないらしい。私自身、どの理由を考えてもいまいちピンとこない。

数年前から、曽爾高原のススキが徐々に勢いを無くしていることには気づいていました。テレビ業界に入って以来、何度も曽爾高原のススキを撮影してきましたが、テレビカメラマンの修業を始めたばかりの30年前と比べたら、去年の様子なんて100分の1ぐらいに感じられる。
昔、言葉を失うほどの圧倒的なススキの海に埋もれて撮影したのを覚えています。今回の「やまとの季節 七十二候」で紹介したのは、4年前に撮影した曽爾高原の様子です。もちろん今もススキは生えているから、これに近い風景は見られますが。

このことから何を伝えたいのか。それは「当たり前と思っていたことが、突然、無くなる」ということ。関西でカメラマンをしている自分にとって、秋に曽爾高原へ行けば、一面黄金色のススキの光景が撮れるのは当たり前のことだった。それは曽爾村の人も同じだったと思う。

突然無くなるということは、どんなこともそうやと思うねん。例えば、家族全員元気やったのに突然亡くなるかもしれへん、病気になるかもしれへん、事故に遭うかもしれへん。自分の命も同じ。いつまでもあるという保証はなく、気がついたらぱっと無くなっている。そして、当たり前にあると思っているものの中に、じつは守るべき一番大切なものがある。

曽爾高原のススキの風景は、まだ完全に無くなったわけではなく、再生させようと努力されているわけですが。ここで大事なのは、景色を元に戻そうとした時、軽々しく行動したらあかんということ。よく考えて、ススキの再生をしなければ、同じ間違いを繰り返すのではないかと危惧しています。
とにかく、失いたくなかったら、絶えず注意してよく見ておく必要があったんじゃないかな。別の言い方をすると、自然からのメッセージを感じる、対話する能力が人間から失われていることへの一つの警鐘かもしれない。

自然と対話する能力を磨こうとするなら、私の場合は、カメラを向けたその先の景色が、無数の命の集まりであることを感じる。どんなものでも生きている。石ころ一個でも生きている。自分とは違う存在の、命を思いやる。でもなかなか実感できることではないかもしれない。頭では分かると思うけど。

 

(聞き書き:伊藤享子)


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七十二候 について

七十二候(しちじゅうにこう)は、古代の中国で生まれました。立春、夏至、秋分…などで知られる二十四節気(にじゅうしせっき)を、さらに約5日ずつの3つに分けて、季節の移り変わりを感じる名前がつけられています。日本では、江戸時代の「本朝七十二候」、明治時代の「略本歴」など、いくつかの異なる七十二候が作られてきました。

「やまとの季節 七十二候」では、保山さんが記録してきた奈良県各地の映像から、いまの「やまと」の暮らしの中で、季節のうつろいを実感できる映像を選び出し、オリジナルの名前を添えて紹介しています。奈良を愛する方々に…これから奈良に出会うであろうすべての方々に…こころを込めてお届けしています。


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■ コメント(19)
  • 堀尾岳行

    2019年10月09日 23時44分

    曽爾高原の芒、何度見に行っても良い所です。しかし保山さんがおっしゃっているように昔に比べると減ったそうですね、今見えている当たり前の風景が変わって行くのを映像で記録することの重要さを教えて頂いています。奈良の風景・自然を丹念に追われた映像は心に響きます。是非とも関西全域でオンエアして頂きたいです。次回も楽しみです。

  • ましゅこ

    2019年10月10日 13時44分

    もっと観ていたかった。思わず短っ!と叫んでしまった。川上ミネさんのピアノの音色がススキ

  • 武田和子

    2019年10月10日 17時49分

    毎回、楽しみにしている「やまと七十二候」
    関東人の私にとって、穏やかで優しく美しい奈良の風景は憧れなのです。

    「曽爾高原の芒」
    高原のススキの映像とピアノの美しい音色がまるで最初にココが生まれた時代にまで押し戻してくれるような錯覚を覚えます。
    今でもこんなに日本を感じられる場所があるなんて、とても幸せな気分になります。

    保山さんのコメントに「とにかく、失いたくなかったら、絶えず注意してよく見ておく必要があったんじゃないかな」と寄せています。
    ありがたいことに、保山さんは映像を通して、自然を大切にする意識を持つべき「気づき」を与えてくれます。

    千年以上もこの自然を大切に継承し続けてくれた奈良のみなさんと、
    奈良をこよなく愛する情熱でこのように形にして下さった関係者みなさまにも、
    心から感謝申し上げます。

    また素晴らしい感動に会えることを楽しみにしています。

  • 安藤憲一郎

    2019年10月10日 19時00分

    綺麗、すごい、こんなところがあるのか、と思うような光景ですね。まさに光り輝いています。大阪でもリアルタイムで見たい。大きなテレビ画面で見たい。日本中の人に見せたいので全国放送をお願いします。

  • jukaku

    2019年10月10日 21時35分

    この番組を全国でやって欲しいです!
    夜10時くらいのおやすみ前のリラックスタイムに!

  • 綾部収治

    2019年10月11日 01時49分

    東京在住の為、関西ブログでの保山さんのやまとの季節の映像をいつも楽しみに拝見しています。
    映像に映る奈良の魅力ある景色がいつまでも残されることを願うばかりですが、現実はそう簡単ではなくなって来ています。それ故に全国ネットで日本の多くの方々に観る機会があればと強く希望しています。

  • 井元路子

    2019年10月11日 09時21分

    優しい音楽に乗せて、優しく揺れる曽爾高原のすすき。夕陽に照らされて、光り輝くすすき。今回も、見ていてとてもあったかい気持ちになりました。ありがとうございました。次回も楽しみにしております。

  • 青井三保子

    2019年10月11日 11時54分

    「やまとの季節」を拝見。
    風に吹かれて躍るススキ!
    陽の光に黄金に輝くススキ!
    なんと美しい大和の風景でしょう!
    素晴らしい映像に感動しました。
    ただ「いいなぁ!」でなく、保山さんの心の声が聞こえる。
    奈良を、この風景を伝えたい、残していきたい、
    その思いがひしひしと伝わってきます。
    「いい番組として」ずっと放送されますことをお願いします。
    保山耕一さんのこの番組を見るために、
    ドキドキしながらテレビの前で待っています。
    来週も楽しみです。(今回は木曜日になりました)
    関西ブログのコメントも楽しみに読ませていただいています。
    ありがとうございます。

  • 吉田加代子

    2019年10月11日 15時03分

    日が沈んでいくにしたがい、銀色の世界になり、それが金色にかわっていく。
    とても豪華な映像で、最後は不思議な世界。大きな半球がすすきの中で光輝いている。ふと、竹取物語の光る竹もこのように光っていたのかな、とおもいました。もう少し、映像を長くしてもらえれば、と願っています。

  • 坂井 節子

    2019年10月11日 16時30分

    日本300名山倶留尊山の麓に曽爾高原は広がっているのでしたか。日本有数のススキの名所だと保山耕一さんの映像によって理解できました。

    揺れる白銀のススキに深まりゆく秋を感じる日本人の感性。さらに映像では大きな日没の陽を浴びた黄金色のススキが映し出され、子供の頃から親しんだススキの原っぱを思い浮かべました。
    保山耕一さんの映像は何気ない風景でも見る者の心を惹きつけずにはいられません。
    どうかこの風景がずっと続きますように。
    来週はどんな美しい映像をみせて頂けますか。この番組もずっとずっと続きますように。

  • 荒木礼子

    2019年10月11日 17時29分

    曽爾高原の曽爾、という地名はいかにも奈良らしいですね。調べたら古事記や日本書紀にも記述が出てくるそうです。
    この番組を拝見して、奈良には古から変わらないこの季節ならではの美しい風景が今も残っていることをあらためて知ることができました。なんて貴重なことだろうかと思います。この番組を放送してくださっている全ての関係者の方々に心から御礼申し上げます。
    千三百年前、奈良で作られた万葉集には、様々な季節の風景が古の人々の思いと共に和歌という短い詩形で記録されました。
    一方、この映像詩もわずか二分間。本音はもう少し長く見ていたい、聞いていたい美しさです。
    でも一瞬にして異次元へと見る人をいざなってくれます。
    季節感が凝縮された素晴らしい映像表現になっていてどれもこれも本当に心憎いばかりだと思います。
    懐かしい温もりに溢れたこれらの映像詩を かつて日本の都だった場所から新しく令和の時代を生きる現代人に向けての季節のメッセージとして 全国に向けてテレビで放送して頂けたらと心から願っています。

  • きょうこ

    2019年10月11日 17時43分

    保山さんの映像と半年前に出会いました。私には見えない奈良の風景が、あんなにもイキイキと迫ってきます。心の眼で見ていなかった。悲しみ喜び怒り苦しみ諦めが伝わり、映像の中にいつも保山さんがいます。ずっと見ていたい、
    2分は短すぎる。もう少しお時間をいただけませんか?


  • 佐々木美保子

    2019年10月11日 20時06分

     ピアノの優しい澄んだ音色、様々な表情を見せ風に揺れるススキ、そして神々しい太陽、今回も心掴まれ見入ってしまいました。
     保山さんのコメントもいつも素晴らしいです。「当たり前にあると思っているものの中に、実は一番大切なものがある。」失くす前にその大切さに気づきたいものです。
     保山さんはいつも真摯に命と向き合い、カメラに向かわれているので、その映像や言葉には本当に力があり、多くの人の心に届くのでしょう。保山さんが与えられた使命で活動されているのでしたら、私達もそれを受け取り、その感動、今いる世の中の素晴らしさをできるだけ多くの方に伝えていきたいと思っています。多くの人々に届くように、是非全国ネットで、言葉も含めた作品として放映していただきたい、と切に願っています。どうぞよろしくお願いいたします。

     

  • 朝陽

    2019年10月12日 02時21分

    25年ほど前 曽爾高原に見たすすき と時期が違うのかな?と 思ってましたら すすきが減ったのですね! 保山さんのコメントを読んで納得しました。幻想的で神秘的な曽爾高原の映像に感動しました。 ありがとうございました。

  • 澤井由美子

    2019年10月12日 13時01分

    いつも有難うございます。曽爾高原の映像、素晴らしかったです。保山さんの心のこもった映像、川上さんの優しいピアノの音色。癒され元気をいただいています。大阪でもテレビで見たいです。毎日見たいです。どうか全国で放送してください。よろしくお願いいたします。

  • 株本佳代子

    2019年10月12日 14時50分

    すすき…、幼い頃は、秋になるとあちこちにあったな〜。
    すすきの原を歩いた記憶が、からだのどこかで覚えている。
    そういえば、身近にあったものが見かけなくなったことは、よくある。
    保山さんの映像を目にするたび、まひした五感が甦ってくる。ささいな四季の移り変わりを思い出す。
    『日本でよかった〜』、そうほっとさせてくれる作品ばかりです。
    どこの地域にいても感じれる時間を、番組を下さい。
    保山さん、ミネさんの作品を、どこの地域でも、誰でもみれますように、お願いします。

  • 村上浩司

    2019年10月13日 05時53分

    素晴らしい2分間、ありがとうございます。
    ニュース番組の使命として、どうしても『情報を伝える』事に力点が置かれると思いますが、そんな中で
    季節の流れを素晴らしい映像と音楽で感じさせてもらえる至福のひととき。とても大事な事だと思います。
    ぜひ、この七十二候をまとめて全国放送で見せていただける事を切望いたします。
    よろしくお願い申し上げます。

  • 井上 英子

    2019年10月13日 14時37分

    以前、Eテレで全国放送された保山耕一さんの番組を観て、感激し、以来、Facebookで
    楽しませて頂いております。私は、東北に住んでおりますので、奈良だけで放送される番組を
    観ることができず残念な思いでおります。全国放送されること、心から楽しみにお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願い致します。

  • 野尻恭子

    2019年10月26日 00時50分

    奈良が好きで若い頃から何度も通っていたのだが、私の大好きな奈良を私の思い描いていたイメージどおり、いや、それ以上に表現されている映像作家さんがいらした。
    それが保山耕一さんである。
    保山さんの映像は普段フェイスブックで観賞させて頂いていたが、この度NHKで小さなコーナーとして放送されると聞いて楽しみに拝見している。
    この、やまとの季節七十二候は保山さんの珠玉の作品で、今、奈良の中で一番美しい場所を川上ミネさんのキラキラしたピアノに乗せて届けてくださる。今回は失われつつあるかもしれないすすき野原の風景を「注意深く見ていて」と気付かせてくださる。
    奈良でしか放送されていないのはもったいない。
    関東にも保山さんファンはたくさんいる。もっとたくさんの方方に保山さんの映像を知って頂くためにも、ぜひ全国放送をお願いいたします。