高校駅伝女子

2021年12月24日 (金)

全国高校駅伝 宮城・仙台育英~2年ぶりの男女優勝への原動力~

 仙台育英はことしも男女ともに優勝候補の一角を担い、2年ぶりの男女そろっての優勝がかかります。

原動力となっているのは『ダブルエース』『仲間への感謝』『東日本大震災から10年という節目にかける思い』です。

女子のダブルエース


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【左】米澤選手【右】杉森選手

女子は30年連続の出場で、去年までの4年間は『優勝』『3位』『優勝』『3位』と強豪の名にふさわしい成績をおさめてきました。ことしの県予選は1時間7分12秒と全国の都道府県予選の中でトップのタイムを記録しました。チームの中心は、3年生の米澤奈々香選手と2年生の杉森心音選手のダブルエースです。特に、米澤選手は去年の日本選手権の1500メートルで2位、全国高校総体でも1500メートルで2位、3000メートルで3位とこの年代をリードし続けています。

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米澤奈々香選手
「日本人でトップを取ることはもちろん、留学生とも勝負できる強い選手になろうと練習してきた。日本一を目指す仙台育英の主将として日本一の取り組みができたと思う」

けがを乗り越え感謝を胸に


 米澤選手とは対照的に苦しい時間を過ごしながら都大路を目指してきた選手もいます。前回まで2年連続出場の3年生の山中菜摘選手は、去年、1区で2位と好走しましたが、ことし3月、左足を骨折する大けがを負いました。

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同級生の米澤選手が次々と好成績を残す一方、目標にしていた夏の高校総体にも間に合わず「もう走ることはできないかもしれない」と不安や焦りに心が押しつぶされかけました。山中選手を支えたのは、釜石慶太監督やチームメイトからの「また一緒に走ろう」という励ましです。「最後に都大路でみんなでたすきをつなぎたい」とその一心で苦しいリハビリに立ち向かいました。

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11月下旬、山中選手は全国都道府県対抗駅伝の宮城県選考レースで復帰を果たしました。5000メートルに出場し、けがから8か月ぶりの実戦でしたが先頭から遅れることなくフィニッシュします。

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「菜摘、もう大丈夫だ、間に合うぞ」
レース後、釜石監督にかけられたねぎらいのことばに、山中選手は喜びをかみしめるように何度も何度も頷いていました。
このやり取りには裏話があります。「間に合う」と声をかけた釜石監督でしたが、実はレース前にはすでに全国高校駅伝の登録メンバー8人を固めていて、山中選手も含まれていました。

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釜石慶太監督
「米澤とともにこのチームを3年間引っ張ってきたのは山中だ。リハビリに懸命に取り組み、たとえ走れなくてもチームのために尽くす姿を周りの選手たちは見てきた。山中の存在は大きい」

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山中菜摘選手
「最後は調子の良い5人が出場することになるが、出場できたら支えてくれた人たちに感謝の気持ちを伝えられるような走りをして優勝という結果でお礼がしたい」

男子もダブルエース


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【左】吉居選手【右】堀選手

8年連続32回目の出場の男子も2枚看板がいます。ともに3年生の吉居駿恭選手堀颯介選手です。吉居選手はおととし1年生ながら7区アンカーに抜てきされ、トラック勝負を制して12年ぶりの優勝に貢献しました。ことしは1万メートルで高校歴代3位の記録をマークしています。一方、堀選手は初出場した去年、6区で区間1位と会心の走りを見せました。負けん気の強さで練習から吉居選手に食らいつき、先に頭角を現していた同級生エースに肩を並べるまでになりました。

節目にかける思い



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男子を率いる真名子圭監督は「ことしはどうしても優勝しなければならない」と例年以上に優勝への強い意欲を見せています。東日本大震災から10年の都大路であり、監督自身にとっても仙台育英を率いて10年目の節目なのです。

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仙台育英は震災当時に主力選手の多くがチームを離れ、一時は部員がわずか数人にまで減りました。全国有数の名門校が県大会でさえ勝てない時期もありました。挫折や失敗を経験した真名子監督の心には、被災地が復興を目指す姿とチーム再建の道のりが重なって映っています。

真名子圭監督
「この10年はスポーツで東北や宮城県の人たちの力になれないかと考えながら歩んできた。ことしの大会は、次の10年をみんなが前向きに生きていけるような、みんなが頑張っていけるような大会にしたい」

(取材:仙台拠点放送局・藤原由佳キャスター)

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