スポーツ

2023年12月20日 (水)

全国高校駅伝 取材記 北九州市立女子(福岡)~ "一走入魂"2年ぶりの都大路に挑む ~

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今月24日、京都で開催される全国高校駅伝。女子は福岡代表として北九州市立高校が出場します。12回目の出場となりますが、去年は代表を逃していました。悔しさをバネに、3年生を中心に一丸となってレースに挑みます。

 

チームを支える絶対的エース

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ことしの北九州市立高校のエースは、3年生の下森美咲選手です。

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3000メートルの自己ベストは、9分12秒。インターハイでは、1・2年生の時は800メートルで、3年生では3000メートルで入賞しました。さらに、20歳以下の日本選手権で1500メートルで優勝した経験も持つ、世代屈指のランナーです。全国高校駅伝では、6キロと最も距離が長い1区での走りを予定しています。

【下森美咲選手】
「中距離から長距離まで、この3年間でしっかり走れるようになったので、1区は6キロと長い距離なんですけど、ラスト勝負では私自身のスピードを生かして負けないように頑張りたいです。区間賞を狙っているので、チームにいい流れが作れるような走りをします」

 

“憧れるのはやめてないです”

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副キャプテンの下森選手とともにチームを作り上げてきたのが、キャプテンの江藤杏梨選手です。
3年連続で全国高校総体=インターハイに出場、ことしの20歳以下の日本選手権で800メートルで4位の成績を収めた、こちらも世代屈指の選手です。

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中学時代の全国大会後
緊張している様子の江藤選手(左)と笑顔の下森選手(右)

福岡県飯塚市出身で、中学1年生から陸上を始めた江藤選手。
陸上は中学まででやめるつもりでしたが、北九州市立高校に進学し、陸上部に入部しました。

そのきっかけは、下森選手にあったといいます。

【江藤杏梨選手】
「中学1年生の時に下森さんと一緒に走ったレースで、下森さんが中学1年生の歴代記録を出して、そこから憧れるようになりました。
中学3年生の時に福岡県代表として2人で全国大会に出場して下森さんが優勝した姿を直接見て、この人と一緒に走りたいと思って、同じ学校に行こうと思いました。
高校に入学してからは、ずっと憧れてきた人と一緒の学校ということもあって、ずっと緊張していて、下森さんと呼んで敬語を使って話していました」

【下森美咲選手】
「『下森さん』って呼ばれるから、『美咲ちゃん』って呼んで、敬語使わないでってよく話していました」

【江藤選手】
「ずっとタメ口でいいよって言われてたんですけど、なかなかできなくて慣れるまでは時間がかかりました」

【下森選手】
「今はいつも一緒にいる友達で、不安になった時とかも支えてくれるので、心強い友達です!」

 

ふだんは、下森選手を「美咲ちゃん」と呼ぶようになったという江藤選手。ともに走る全国高校駅伝への思いを高めています。

【江藤選手】
「今はもういちばん仲の良い友達なんですけど、その中でも中学生の頃から変わらず、いちばん憧れる人であって、競技だけでなく人としても尊敬しています。
憧れるのはやめてないです(笑)。高校を決めた時にこの人と一緒に全国大会で走りたいと思ったので、インターハイも一緒に出られたんですけど、駅伝は違った形でみんなでたすきをつなぐので、3年生最後の集大成として私たちが引っ張るという気持ちで一緒に頑張りたいです」

 

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左が江藤選手 右が下森選手

 

チーム強化は“ミーティング”

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2人を中心に県内トップレベルのランナーがそろう北九州市立高校ですが、チームを引っ張る3年生の数は3人だけ。
そんな中でも、ことし4月から、下級生を含めて選手だけでのミーティングを毎週続けてきました。

ライバル校の戦力や今後の目標について話し合います。

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【江藤選手】
「ことしの各県大会の結果を比べると北九州市立が18位です。去年の都大路の結果を見ると、入賞するには1時間9分台を出さないといけません。ただ、1時間9分台だとギリギリの入賞になるので1時間8分台を目標にしたいと思います」

 

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このミーティングの開催を呼びかけたのは、キャプテンではなく、実は下級生の選手でした。2年生の千代丸紗規選手です。

【千代丸紗規選手】
「自分たちの新しいチームになったときに、ことし勝つためにはどうしたらいいか話し合う機会がありました。みんなで情報とか思いを共有すれば、もっとよりよいチームになるんじゃないかと思っていたので、今しかそれを言う機会がないし、これで言わなかったらチームを変えることはできないんじゃないかと思って勇気を出して意見してみました」

【江藤杏梨選手】
「ミーティングが増えたことで、頑張ろうとう気持ちも高まるし、団結力が高まったかなと思います」

 

監督からのメッセージを胸に

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選手たちには、いつも手にしているものがあります。夏合宿の前、監督が選手にあてたメッセージです。

“走りで失ったものを取り戻すには、走りで取り返すしかない”

“福岡県高校駅伝の悔しさは福岡県高校駅伝で晴らす”

書かれているのは、去年県大会で敗れ全国高校駅伝への出場を逃した悔しさです。
さらに、ことしの出場を目指すうえで、各自3000メートルの記録を15秒短縮するという目標も記されています。

多くの選手がこの目標を達成し、見事、全国高校駅伝への切符をつかみました。

【江藤杏梨選手】
「足りていないトレーニングとかを自分で考えてする人が増えました。
1日で終わるとかじゃなくて、継続する力もタイムにつながったのではないかなと思います」

 

「1つのチーム」で都大路へ

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選手が主体となって「1つのチーム」となっていった北九州市立高校。去
年の悔しさを胸に、2年ぶりに都大路を駆け抜けます。

江藤選手
「きつくても笑顔でたすきをつないで、しっかり目標を達成できるように、みんなでがんばっていきたいです。私自身も区間賞を取る勢いで、どんな順位でたすきが来ても、しっかり笑顔でたすきをつないでがんばります」

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【下森選手】
「応援してくれる北九州とか福岡の人に笑顔になってもらえるように、喜んでもらえる結果を残したいと思います」

 

取材:石井直樹記者

 

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