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2023年12月14日 (木)

全国高校駅伝 取材記 立命館宇治女子(京都)~35回連続出場の伝統 "先手必勝"で頂点へ~

いつも初陣の気持ちで


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 ことしの女子のレースは35回目の記念大会。京都の立命館宇治高校毎年欠かさず出場し、優勝3回、8位以内の入賞は歴代最多26回と全国のトップクラスで戦い続けてきました。今大会の出場58チーム中、全大会に出場しているのは高知の山田高校と2校だけです。

 

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(荻野由伸総監督)

 チームを支えるのは第1回大会の前から率いてきた荻野由信総監督です。

「出場して当たり前と思われがちだがいつも初陣の姿勢を崩さなかった。いつも初めて出場するときと同じ気持ち。あっという間の35年、都大路への思いはどこの誰よりも持っている」

 

 

先手必勝で11年ぶりの優勝へ


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ことしのチームは11月の近畿高校駅伝で優勝。荻野総監督は「ことしは駅伝で負けていない。抜け出すところでしっかり抜け出すレースができている。ここ10年で一番のチーム」と11年ぶりの優勝へ手ごたえを感じています。

 

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(池田悠音主将)

3年生でキャプテンの池田悠音選手「ことしは明るくて個性豊かでにぎやかなチーム。3年生が7人と多く、みんなで引っ張るという雰囲気がある。立命館宇治のたすきはプレッシャーがあるが、価値があること。プレッシャーを力に変えて走りたい」と意気込みます。

 

荻野総監督が都大路で勝つために掲げるキーワードが“先手必勝”。駅伝ではリードするチームは自分たちのリズムを守ることができ有利だと言われています。荻野総監督は長年の経験からそれを実感してきました。女子のレースは全部で5区間、ハーフマラソンと同じ距離で行われ、男子の半分の距離です。序盤での出遅れを取り戻すのは簡単ではなく、「3区までに主導権を握らないと厳しい。3区までに流れを作ったチームが有利だ」と言います。

 

 

エース山本釉未選手“上下動の少ない走り”で流れを作る


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(山本釉未選手)

先手を取るために重要なのが1区5区間の中で最も長い6キロの距離でチームの流れを左右します。
1区を走ることが想定されるのが3年生の山本釉未選手。池田主将が“相棒”と信頼するチームのエースです。荻野総監督は「立命館宇治の歴代でもトップクラスの選手。競り合いに強く、他の選手が苦しくなるところで仕かけることができる」と高く評価しています。山本選手はことしのインターハイ、1500メートルで6位。3000メートルでも9位と全国トップクラスの力を示してきました。

 

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(2022年全国高校駅伝・中央が山本釉未選手)

去年1区を走り、区間3位だった山本選手は「今はふだんの練習から余裕を持って走ることができ、他の選手の状態を見られるようになった」と自身の成長を感じています。1区を走る場合の目標は「18分台」平成17年に新谷仁美選手(興譲館高校・岡山)が出した区間記録18分52秒が視野に入るレベルの高いタイムです。
山本選手の特徴は体の上下動の少ない走り。上半身がほとんど動かず、地面と水平に進んでいくように見えます。
これは荻野総監督が選手全員に徹底してきた立命館宇治伝統の走り方です。

 

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荻野総監督は「女子は男子のように筋力が豊富なわけではない。体が上下にはねることで筋力に負担がかかる」上下動の少ない走りを追求してきました。上下動を減らすために山本選手は「体の軸をぶらさずに、腰の位置から足が常に前に出るように走ること」を意識。その走りは日々の地道なトレーニングで作り上げてきました。

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例えばこちら。体の軸、体幹を鍛える補強トレーニングです。こうした姿勢を30秒から1分程度キープします。15分程をかけて10種類の姿勢で静止します。指先にまで意識を集中させ、体のすみずみまでほとんど動くことはありません。入学当初は筋力が少なく体勢が崩れてしまうことがありましたが、今は姿勢を保つことができるようになりました。

 

 

強豪を退け4回目の優勝を


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優勝を争ううえで荻野総監督が警戒するチームの1つが鹿児島の神村学園ことしのインターハイで1500メートルと3000メートルを大会新記録で優勝したケニア人留学生のカリバ・カロライン選手をようする強豪です。カロライン選手は去年まで2年続けてアンカーを担当。ことしもアンカーとして走る場合、荻野総監督は「彼女にたすきが渡るまでにできるだけリードを取っておきたい」と話します。
先手必勝で4回目の優勝を目指します。

(取材・小宮山晃義アナウンサー)
                                    

 

 

 

 

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