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2023年10月26日 (木)

「2人の監督との出会い 飛躍のきっかけに」

阪神の岡田彰布監督とオリックスの中嶋聡監督。この2人とともにプレーした元投手がいます。
野田浩司さん(55)は、その出会いが大きな飛躍のきっかけとなりました。
日本シリーズで59年ぶりとなる“関西対決”が実現し、2人の手腕がぶつかり合うのを心から楽しみにしている1人です。


【阪神とオリックスでプレー】

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(野田浩司さん)
「引退して、ことしで23年目なのですが、いつかは両チーム同じシーズンの優勝があるかなと思っていましたけどね。阪神は久しぶりの優勝ですし、オリックスは低迷が長かったので、この3年の快進撃は本当にすごい」

野田浩司さんは、1988年にドラフト1位で阪神に入団し、ルーキーイヤーから先発とリリーフで42試合に登板してフル回転でした。4年間で最下位が3回など低迷する中で奮闘し、5年目は先発ローテーションの一角として8勝を挙げてチームも2位に躍進しました。しかし、次のシーズンの契約を済ませたあとの年末でした。球団からオリックスへのトレードを打診されたのです。

【失意の中 相談相手は岡田監督】

その時、相談に乗ってもらったのが10歳上のチームの先輩、岡田彰布監督でした。
当時は選手で内野を守っていて、試合中にたびたびマウンドを訪れては「おまえの球なら大丈夫や。点を取られても取り返したる」と励ましてくれました。
当時、日本プロ野球選手会の選手会長を務めていたことから、トレードを拒否するとどうなるか、規則を問い合わせるなど親身に動いてくれたといいます。
トレードを拒否した場合、出場停止や減俸などのペナルティーが科せられる可能性があることを岡田監督から伝えられ、野田さんは受け入れる決心をしました。 

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(野田浩司さん)
「岡田さんから『変な感じで、だだをこねてチームに残っても嫌やろ。やりにくいやろ』という話をしてもらいました。背中を押してもらったというのが言葉としてはぴったりですね。現役の時から親分肌で後輩や裏方さんの面倒見がすごくよかったです」

【オリックスでは中嶋監督と・・・】

移籍先のオリックスでも野球人生を変える出会いがありました。
1歳下で、オリックスをリーグ3連覇に導いた中嶋監督です。
現役時代、キャッチャーだった中嶋監督とバッテリーを組む中で、アウトコースにストレートを投げきることができれば、得意のフォークボールをさらに生かすことができると助言されたといいます。
中嶋監督の配球のもとで一気に才能を開花させ、移籍1年目の1993年に17勝を挙げて、最多勝のタイトルを獲得しました。移籍3年目には、1試合19奪三振のプロ野球記録をマーク。これは、昨シーズンロッテの佐々木朗希投手が完全試合を達成した試合での記録と並んで、28年たった今も残っています。この年からチームもリーグ連覇を果たし、立役者の1人となった野田さんはオリックスで8年間プレーしました。

(野田浩司さん)
「中嶋さんからはアウトコースに投げてバッターを踏み込ませ、そのイメージを持たせてからフォークボールを落とした方が絶対に効くと思いますよと言われたのを今でも覚えています。実際にオリックスに行ってから三振もかなり増えましたし、うまくリードしてくれました」

【夢の“関西対決”実現に期待】

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140キロ後半のストレートと鋭く落ちるフォークボールを持ち味に
プロ通算89勝をマークした野田さん。両チームへの愛着は、今も自宅に大切に保管されているユニフォームからもうかがい知ることができます。阪神とオリックスが日本シリーズで対戦することになれば、前身の阪急を含めて初めてです。関西を本拠地とするチームどうしの対戦も70年以上の歴史がある日本シリーズで、1964年に行われた阪神対当時の南海しかありません。

実現すれば59年ぶり、まさに歴史的な戦いとなります。 

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(野田浩司さん)
「中嶋監督は相手の嫌なこと、ここでこれをされたら嫌だろうなとかいうところで、代打・代走・継投などもすごく的確なのです。岡田さんにも同じようなことが言えると思います。2人の采配の対決も見ものだと思います。どちらを応援するかですか?うーん、それはくみ取ってください・・・」

 

 

 

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(記者:並松康弘)

 

 

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