高校野球

2018年08月05日 (日)

エースのために~中央学院・西村投手~

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夏の全国高校野球、大会1日目の第2試合は愛媛の済美高校が西千葉の中央学院に5対4で競り勝ちました。この試合、中央学院は、「投げられなかったエースのために勝ちたい」と先発した背番号「10」の
3年生の願いはかないませんでしたが、自らの成長を示した夢の大舞台でした。


中央学院の大谷拓海投手はピッチャーとしては最速145キロの速球を投げ込む本格派、バッティングでも長打力のある左バッターとして4番を務め、大リーグ、エンジェルスの大谷翔平選手と同じ名字であることから「二刀流」としても話題になって注目されていました。
しかし、5月の練習試合で頭にボールが当たって大けがをし、その影響のため、1回戦は登板せずにライトでの出場。そのエースに代わって先発したのが背番号「10」の3年生、西村陸投手だったのです。

西村投手は同じ学年の大谷投手とはタイプが異なり、サイドスローからの変化球や緩急をつけたピッチングを得意としています。中学時代からお互いの存在をしっていたという2人は野球部に入部したその日、
「競い合って、一緒に甲子園に行こう」と約束を交わしました。


そして大谷投手は1年生の秋にエースナンバーをもらい、チームもことし春にはセンバツ出場を果たしましたが、西村投手がマウンドに立つことはありませんでした。それでも「正直悔しかったが大谷を超えるつもりでやらないといけない」と、自分を高める努力を続けた西村投手。バッティングでも「大谷が『二刀流』と言われる中で、自分も、打席でも活躍したいと思った」として練習に力を入れてきたのです。

そして最後の夏直前のことし5月、考えもしなかったアクシデントが起こりました。
エースの大谷投手が練習試合で頭にボールが当たって大けがをし、およそ1か月間グラウンドを離れることになってしまったのです。

 そのエース不在のピンチを救ったのが西村投手でした。西千葉大会では6試合中、4試合に先発し、チームを初めての夏の甲子園に導きました。甲子園でも大谷投手に代わって先発のマウンドへ。しかし、その西村投手の胸にあったのは、「勝って、次の試合で大谷をマウンドに立たせてあげたい」という切磋琢磨してきたライバルへの思いでした。西村投手は5日、強力済美打線を相手に4回まで5点を失いましたが、その後は「もう1点も取られたくない」と多彩な変化球を駆使して無失点。バッティングでも
4回にタイムリーツーベースヒットを打ち、ライバルを意識し、自らを高めてきた結果を大舞台で示しました。


試合は西村投手の完投も、競り負けて、「大谷を甲子園のマウンドに立たせたい」という願いはかないませんでしたが、大谷投手は試合後、「投手陣を引っ張ってくれた存在だったのが西村だった。さらに上の舞台でも互いに活躍できるように頑張りたい」と感謝し、卒業後もさらにお互いを高めあっていきたいと
意欲を示していました。

西村投手は「ライバル大谷に負けたくないという思いでいろいろなことに取り組み、成長することができた。負けてしまったけど、大勢の観客の前で今、自分ができるピッチングをすることはできました。最高の夏になったと思います」とさわやかに話していました。

エースナンバーをかけて努力を重ね、「エースのために勝つ」と奮闘した背番号「10」の3年生。
願いはかないませんでしたが、甲子園球場はその成長ぶりを示した夢の大舞台でした。

 (甲子園取材班 西村佑佳子記者)

NHK甲子園 特設HP
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