歴史秘話ヒストリア

2020年07月23日 (木)

歴史秘話ヒストリア「病 災害 江戸の先人かく戦えり」

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 「人々を救うためには、何をすべきなのか。」

2人の力の源は、人を救いたいという純粋な思いでした。病や災害に果敢に立ち向かった二人の奔走、強く心揺さぶられました。二宮金次郎は、地元・小田原などを大飢饉から救うために、民が助け合って生き抜くシステムを作りました。そして、全国で数十万の人々が命を落とす中、4万の小田原の民からは、犠牲者を一人も出さなかったのです。

自身も、洪水で田畑を失い、両親にも早くに旅立たれ、一人で農地を耕し生きていかなければなりませんでした。決して恵まれた環境ではなかったのに、なぜそこまで人に尽くすことができたのか。緒方洪庵と二宮金次郎の心の内や偉業を、これからも考え続けていきたいと思います。

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自らの命も顧みず、病気を治そうと奔走した緒方洪庵。

コレラという未知の病を乗り越えるためには、情報を共有することが大切だと感じた洪庵は、「虎狼狸治準(ころりちじゅん)」という本を刊行しました。その時点で分かることをできる限り集め、まとめる。作業は、なんと5・6日で終えたといいます。そして、記述に指摘が入れば、素直にその事実も追記する。

プライドや権威とは離れ、正確な情報を皆に伝えたいという真っ直ぐな行いだったのだと、強く感じます。

ogata3.jpg昨日、洪庵が開いた蘭学塾「適塾」に行ってきました。近代的なビルに囲まれたビジネス街の一角に佇む、適塾。国内に残る蘭学塾としては、唯一の遺構だそうです。

一歩入れば、幕末にタイムスリップしたようで、塾生たちの息吹を感じられます。私は、部屋の片隅でしばし体育座りをしながら、当時の賑わいを想像しました。

すると、部屋にはさんさんと夏の日差しが差し込み、あ、暑い…‼ 当時は、塾生たちが半裸(時には全裸!)で勉強していたのも納得したのでした(汗)

展示の中には、洪庵の妻・八重さんについての紹介も。4人が早世したものの、9人の子供を育て上げた八重さんは、病弱な緒方を支えつつ、塾生たちの面倒もよく見ていたそうです。洪庵が54歳で亡くなった後も、20年以上にわたって尽くした八重さん、洪庵の功績を支えた一人だったのだと感じました。

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最後に、番組でもご紹介した二人の言葉を記します。

金次郎は、言いました。

「私の願いは、人々の心の田が荒れるのを耕し直し、天から善の種を増やしてまくことである。一人の心が耕されれば、田畑が何万町荒れようとも恐れることはない。」

そして、洪庵の教えは、医師だけでなく様々な職業に置き換えられ、心に優しく響きます。

「医の道は己のためにあらず、人のためのみ。たとえ救うことができない病であっても、患者の心を癒すのが仁術というものです。人々から命をゆだねられる、誠実で温かい人間となりなさい。」