歴史秘話ヒストリア

2019年03月13日 (水)

【井上あさひ】"世界の片隅"呉の奇跡

hisutoriakureyamato01_logo.jpg

 

よみがえる軍港の奇跡

 今夜のヒストリアは広島県・呉(くれ)の町にまつわる秘話をお届けしました。なぜ瀬戸内ののどかな港町にすぎなかった呉が「東洋一の軍港」となったのか? 呉で建造された有名な「戦艦大和」はなぜ造られ、どのような運命をたどったのか? 日本海軍の拠点であるため、何度も空襲された呉がいかにしてよみがえったのか?

 今夜も内容充実のヒストリアを私自身も堪能させていただきました。かつて広島局勤務だったこともある私が担当する最後のヒストリアが、その広島にある呉の戦争、そして再生の秘話だったこともとても意味があるように感じました。

 

呉の「光と影」

 戦争が終わった時には荒廃していた呉ですが、戦後早々にアメリカの企業から当時最大のタンカー建造を依頼されました。このことからも、呉の技術力、ひいてはその結晶の「大和」が海外でもどのように評価されていたか想像できます。大和建造の困難さとそれを克服した呉の技術者たちの優秀さと努力。やはり「大和」が呉の誇りとされるのは十分理解できます。

 しかし、一方で今も私の心を離れないのは『3300人もむざむざ戦場に行かして殺す命令を発する人は、どんな気持ちだったのだろう』という藤本黎時さんの言葉です。「大和」は特攻作戦の下、多くの将兵をともない海に沈みました。呉が造った悲劇の船はそれだけではありません。人間魚雷と呼ばれた「回天」。海軍と呉の関わりから起こった重い歴史的事実、悲しみもしっかり胸に刻みたいと思います。

 「技術」は人の暮らしを豊かにしますが、大きな殺傷力をもつ兵器も生み出します。戦争という、歴史と切り離せない恐ろしくも悲しい出来事によって「技術」が発達したという面は間違いなくあります。呉の町が、はからずも技術の光と影を体現していることにもやるせない気持ちになりました。

 

file_000md8_logo.jpg

資料提供:大和ミュージアム

 

私にとって歴史秘話とは

 「大和」を造った技術力が受け継がれて、今の日本の造船業がある。私は岡山出身ですが岡山の町も産業も、造船との縁が浅くありません。つまり、私もこの歴史の文脈の中にいるということ。もしかしたら、歴史の中にいる自分をあらためて発見することが、歴史秘話の神髄かもしれません。

 番組を担当する前、歴史が得意とまでは言えませんでした。それでも毎回さまざまなテーマを知り、学んでいったことで、歴史と自分との接点を見つける楽しさを覚えました。歴史を学ぶことで今を知り、未来を考えることにつながる――過去に起こったことが地続きで今や未来に通じているという「歴史」の奥深さ(その一端かもしれませんが)に触れることができた思いです。

 アナウンサーとしてニュース以外の原稿を毎週全国放送で皆さんにお伝えできる機会は「ヒストリア」だけでした。ロケやスタジオ収録をたくさん経験できたことも、かけがえのない財産です。そして、ヒストリアで学んだこと、身につけたことは、これからもずっと私にとっての宝物です。まだまだ道なかばではありますが、ヒストリアの経験を糧に、さらにアナウンサーとして精進して参ります。

 

ブログ読者のみなさまへ

 また、このブログをいつもいつも読んで下さる読者のみなさま、コメントを寄せていただいたみなさまには、感謝の気持ちでいっぱいです。コメント欄では私の知らないことを教えて下さったり、各回の内容をきっかけに一緒に歴史について考えを深めてくださったり、優しいお言葉でいつも勇気づけていただいたりしました。私のブログはこの回でおしまいですが、みなさまと共につむいできた3年間の思い出を胸に一層努力して参ります。これからもよろしくお願い致します。本当にありがとうございました!



歴史秘話ヒストリア ホームページ

NHKオンデマンド 

もっと見る

そのほかの記事

もっと見る

 

■ コメント(9)
  • 四国犬

    2019年03月13日 23時19分

    四国犬

    井上あさひ様
    『あさひストリア』3年間お疲れ様でした。
    毎週どんな"あさひロケ"になるのか?ワクワクして拝見していました。
    個人的に"あさひロケ"でまず頭に浮かぶのは第2回放送の"明日は動物園に行こう"です。
    御着物も回を増すごとに素敵になられたし、何と言ってもあさひさんの声がヒストリアのナビに向いていたと思います。
    全94回録画していますので歴史の復習も兼ねて今後もちょくちょく見ますね。

  • ぶるちゃん

    2019年03月13日 23時45分

    今日は回天という人間魚雷があったこと、大和が呉で造船されたこと、などを知りました。

    歴史秘話ヒストリアお疲れ様でした。
    毎回勉強になりましたし、ブログにコメントするのが楽しかったし、井上さんを見られて幸せでした。よく頑張りましたね。とてもいい番組でしたよ。
    四月からは夜の報道番組を担当するそうですね!体調管理が大変になりますね。休日には朝日を浴びるなどすると良いかもしれません。くれぐれも健康や体調管理にはお気をつけください。
    自分も四月から転職なんですよね。不安だし、ちょっと出来るかなぁなんて考えますが、楽しみな気持ちもあります。期待と不安が入り混じるとはこんな感じでしょうね。
    きっと井上さんも人の子ですから、不安もあるかもしれません。でも井上さんの場合は、アナウンサーとして今まで通りやればいいと思います(^^)今までの経験がありますから、なんら心配は要りませんよ。
    寧ろ自分の心配した方がいいかな 笑 四月から環境が変わりますが一生懸命頑張りまっしょい♪♪

  • 八束 磨里

    2019年03月13日 23時47分

    こんばんは。呉という、鎮守府に始まった最大の軍廠と、そこで造られた戦艦大和。ある意味、華々しい技術立国日本の姿だったのが、画面に写る資料から、本当にひしひしと伝わって来る感じでした。もっともそれが……、大本営と軍部により、打ちひしがれ歪められて、世界最大の戦艦も、丸腰に近い状態で空からの爆撃と、魚雷によって沈められてしまいます。昔、司馬遼太郎さんか誰かが書いていたのですが、情報と技術が喪われるとき、国は滅びる……のかも知れませんね。
    しかし、その『技術』がまた戦後復興に形を変えて役立ち、今の呉という街があり、戦禍を今に伝え続けていることに強く心を動かされました。私も一度、行ってみたいですね。
    最後のご挨拶、万感の思いで拝見しました。あさひさんが来られたことを、私は1年近くも知らなくて(それだけ見てなかったノ? と叱られそうですが……)、確か真田丸の、千田先生と遺跡に立っておられる姿の最後数分を見て初めて、『あら~‼』。久しぶりに見られて喜ぶ反面、1年も損しちゃった……。そこから仇を取るように、ずっとこちらにも、余計なことばかり書いちゃいました。元来、『歴史誕生』の頃から折々見ておりますので、来年度も時々お邪魔させて頂きますのはスミマセン。本当に3年、お疲れさまでした。あさひさんにもヒストリアにも、更なるご健勝のほどをお祈りいたし、今宵はどうも、おやすみなさいませ……。

  • 縄田義行

    2019年03月14日 05時26分

    井上あさひさんご苦労様でした。
    あさひさんの道案内で日本の貴重な歴史について学ばせて頂きました。
    この時期の交代はニュース番組のMCもしていいることもあり、多忙の中の
    調整だと考えていますが、やはりあさひさんのいないこの番組はなんだか
    寂しい物であるとなんとなく思ってしまいます。
    とはいえ、希望と夢のある新しい出発であることを考えておめでとうございます
    とお声掛けを致したいと思います。
    おめでとうございます!!!

  • 2019年03月14日 13時26分

    井上あさひさん、3年間お疲れ様でした。
    呉が舞台のヒストリアということで、祖母と一緒に拝見しました。祖母は愛媛県出身なのですが、幼い頃、祖母の父が海軍に従事しており、戦艦に乗っていたため、その戦艦を呉の高台から見送っていたそうです。今回のお話を聞いて、祖母は当時の思い出が蘇り、とても懐かしそうにしていました。ヒストリアと祖母の話を合わせて聞くことで、私も戦争の悲惨さや人々の奮闘を学びました。私は大学生で、ある時授業でヒストリアを観て、歴史に関して興味を持つようになりました。
    わかりやすい解説をしてくださり、ありがとうございました。これからもお仕事頑張って下さい!

  • 牧壽志

    2019年03月14日 18時56分

     あさひさんの番組の当初はロケが多かったと思いますが、最近は少なくなったように感じていました。そんなロケの中で記憶に残っているのは石室の大きさを表現するために石室に横たわっていた映像です。あれは比較対象として判り易かったです。
     3年間の担当お疲れさまでした。
     今回で最後の歴史秘話ヒストリアの担当、私は今NHKの番組モニタをしているので本日感想を送らさせていただきました。
     また、4月から11時台のニュース番組がどんな変貌を遂げるのか期待しています。

  • ひろ

    2019年03月14日 19時40分

    あさひさん、3年間本当にお疲れさまでした。
    あさひさんが京都局に異動され、画面で拝見できる機会が少なくなって寂しい思いをしていた時、ヒストリアをご担当されることを知り本当に嬉しかったことを思い出します。
    あさひさん目当てで見始めた番組ですが(笑)、毎週見ていく中で段々と「歴史って面白いな」と感じる様になり、歴史に対する興味関心も湧きました。
    ヒストリアのご担当を離れることは寂しい限りですが、せっかく湧いた歴史への興味関心を持続させるためにも、これからも番組を見て勉強しようと思っています。
    新年度からは23時台のニュース番組をご担当とのこと。
    生活リズムも変わり、慣れるまでは大変だと思いますが、くれぐれもご体調にはお気を付けください。
    ヒストリア、そしてあさひさんをこれからも応援し続けます。
    繰り返しとなりますが、3年間本当にお疲れさまでした。

  • ベッポ爺  

    2019年03月15日 00時22分

    3年間お疲れさまでした。
    最後が広島というのはスタッフからあさひさんへのプレゼントだったのでしょうか?
    ただ、広島には呉以外にも軍に関することが色々多くあるような気がします・・江田島や大本営等々・・またいつかヒストリアで取り上げられる日が来ることを期待しています。
    それから4月からの新番組『ニュースきょう一日』頑張って下さい。毎日必ず観ます(^o^)/

  • makowara2

    2019年03月15日 01時22分

    お疲れさまでした。温故知新の旅、楽しまれたようでよかったです。毎回レポートのように感想を書いてきて、ずけずけと言いたいことを言ったような気がします。お詫びしておきます。歴史は大河ドラマから興味を持ち、”おんな太閤記”かな?以来、得意分野でした。小学生になった息子に部分的にレンタルDVDを見せています。”独眼竜正宗”も。生まれたとき体が弱かったので。今まで”人”が面白かったのに対して、歴史が再発掘され、観念的にこうあるべき!という偉人像が時代背景も分かってきて、また解釈が変わっていく。しかし昔の観念は忘れられていく。”温故”、難しいですね。また縦割りの歴史だけでなく、中華思想、特に儒教や日本の思想が特に明治以降、西洋思想にどう影響を受けていくのか不思議です。和魂洋才?いや哲学なくして技術なしでしょう。戦中時の造船の技術の開発背景はとても不思議です。今日、”サンデル教授、中国哲学に出会う”を買いました。実用的な”孫子”は色あせないが、観念的な”論語”には疑問を持ってきました。ネットや国際貿易の時代、正義、つまり人はどう生きるべきか?どう変わっていくのか、が今の興味です。歴史の解釈も時代で変わっていくのでしょうね。正直、いじめていますよね?ところで、あさひさん、ニュースを楽しみにしています。NHKのニュースは楽しい娯楽なのです。着物姿の見納めは、残念!