かんさい深掘り

2021年10月15日 (金)

不安な子育て 地域の人が支える

041015.jpgコロナ禍の子育てに不安を感じる母親たちをどう支えていけばいいのか。

地域の人たちが、寄り添って支える取り組みがあります。

(大阪放送局 ディレクター 白瀧 愛芽)

 

分からないことだらけ「誰か助けて」

大阪府内に住む木屋有加さんは、去年12月に娘の美幸ちゃんを出産しました。

コロナ禍、里帰り出産が出来ず、自治体の子育て支援施設の利用も制限され、不安なまま育児を続けていました。

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木屋さん

「コロナ禍で里帰り出産も出来ないというような状況なので、こっちで頑張っていたんですけども、やっぱり初めてのことで、もうすべてが分からないことだらけです」

 

夫は育児に協力的ですが、日中は仕事があるためどうしても美幸ちゃんと二人きり。

誰とも話せない中、木屋さんは、どう面倒を見ていいか分からない自分を責めるようになっていったといいます。

 

木屋さん

「きょうはミルク飲まなかったとか、同じママ友さんと話して私もそうだよとかアドバイスを受けたらすぐ解決することかもしれないんですが・・・『誰か助けてほしい』みたいな形になっていて、息が詰まるような思いがしていました」

 

地域の人が支えに

そこで木屋さんが頼ったのが、地域の人です。

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NPO「ホームスタートジャパン」は、養成講座を受けた地域のボランティアが、母親の育児の不安や悩みを傾聴したり、相談にのったりして支援を行っています。

ボランティアの清田さんが、木屋さんの家庭を訪問し、話を聞いてくれました。

 

ホームスタート・東大阪 ボランティア 清田さん

「その時ママさんがお話して下さった事に一緒に共感して、気持ちが一つ何かのきっかけで前向きになっていってもらえたら」

 

木屋さんが特に嬉しかったのが、清田さんに自分が描いたスケッチをほめてもらったことです。

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もともと絵を描くことが趣味だった木屋さん。絵をほめられたことで自分の存在が認められた気がして、自信になったといいます。

 

木屋さん

「これはすごいです。みたいに褒めてもらえて、こういうことが私は好きだったわって思い出して。私らしさを取り戻したなという気がしたんです」

 

ボランティアの清田さんは、母親の好きなことや、やりたいことを聞いて一緒に取り組むことを大切にしています。

ボランティアと関わる中で、前向きな気持ちを取り戻していった木屋さん。

清田さんに付き添ってもらって、娘の美幸ちゃんと初めての砂場遊びに出かけました。

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清田さんが遊び方をリードします。

 「よいしょ、崩していいよ。美幸ちゃん。崩していいよ」

 

ホームスタート・東大阪 ボランティア 清田さん

「何かお手伝いできることありますかとか、やりましょうかとか、本当にお母さんはそうやって声をかけてもらえるだけでも、多分気持ちが本当に救われるっていうんですかね、楽にはなるんだと思うんです」

 

木屋さん

「肩の荷が下りていく、一個ずつ一個ずつ下りていくっていう気がしました。一つでも多く頼れる先があるっていうのは私にとって全然心の軽さが違いました」

 

ご紹介したNPOホームスタートジャパンは全国約110地域で活動していて、関西では、大阪府の東大阪市、岸和田市、高槻市、熊取町、滋賀県の彦根市、近江八幡市の6地域で行われています。

 

 

大阪拠点放送局 ディレクター
白瀧 愛芽