2019年08月19日 (月)
熱中症とそっくり!?夏の脳梗塞に要注意
まだまだ続く暑い夏。
外で活動していると、暑さのあまり、めまいがしてきて、体がふらふらに。
手足の力が抜ける感じもします。
そこで、水を飲んで日陰でゆっくり休むことに・・・。
ところが、その行動が命を危険にさらすことになるかもしれません。
熱中症のようなその症状、脳梗塞かもしれないのです。
脳梗塞って冬の病気では?
いや、実は夏場にも多いんです。
(大阪放送局記者 三谷維摩)
■熱中症とそっくり!?
総務省消防庁のまとめによりますと、8月11日までの1週間に、近畿地方で熱中症の疑いで病院に搬送された人は2100人余りで、前の年の同じ時期と比べておよそ1.5倍に増えていました。
熱中症の症状は、
めまいや立ちくらみ、頭痛や吐き気
けいれんなどの症状
受け答えや会話がおかしい
といったものがあります
応急処置としては、涼しい場所や日陰に移動して、体を冷やして安静に過ごし、水分や塩分を補給することが大事です。意識レベルが低い場合は、すぐに救急車を呼ぶべきです。
では、次のような症状が出た場合はいかがでしょうか。
顔のしびれ
腕や足の力が抜ける
ろれつが回らなくなり、受け答えや会話がおかしい
熱中症と似ている感じがしますね。
こうした症状が出たら、休養を取るのではなく、できるだけ早く救急車を呼び、医療機関に向かってください。
実は、これらは脳梗塞の症状とされています。
血管が詰まり、そこから先の脳細胞が死んでいく、一刻を争う事態で、医療機関で専門的な治療を受ける必要があります。
■脳梗塞 実は夏にも
脳梗塞というと、冬場の寒い時期に多く起こるという印象があるかもしれません。
しかし、実際には夏も冬と同じくらい発生しています。
国立循環器病研究センターは、平成27年までの5年間に、センターで入院治療を受けた急性期脳梗塞患者、2965人を分析しました。
その結果、季節ごとに目立った差は見られませんでした。
脳梗塞は決して冬の病気ではないのです。
なぜ夏場に脳梗塞が起きるのでしょうか。
原因の1つと考えられているのが、この暑さです。
汗をかくことで体の水分が不足して、血液がどろどろになってしまいます。
そして、どろどろになった血液が塊になって、血栓を作り、血管を詰まらせてしまいます。
国立循環器病研究センターの豊田一則副院長は高血圧や糖尿病など、一般に脳梗塞のリスクが高いとされる人以外でも注意が必要だと指摘します。
「夏の暑いときなので、外に長く出歩いているときとか、外でスポーツをしているときも非常に脱水になりやすくなっています。夏場に外に長くいるような仕事とか生活スタイルの方は気をつけるべきだと思います」
■軽視しないですぐ救急車を
豊田副院長は、夏場の脳梗塞は、熱中症のような症状なので、休んだらよくなるのではないかと考えがちだと警鐘を鳴らしています。また、痛みを感じないことから、気のせいではないかと考えてしまう側面があると指摘します。
「心筋梗塞は胸が痛くなるとか、背中が急に痛くなるとかします。痛みを伴うとやっぱり我慢ができないので、皆さんすぐ病院に向かいます。ところが、脳の病気で起こるまひは痛くないんですね。自分が『おかしい』って言わないとまわりが気付かないことも多いんです。気のせいだろうとか、じきに治るだろうとか、思うかもしれませんが、そんなの、根拠ないですからね」
症状がでたときに、脳梗塞の可能性を疑ってほしい。
そこで、豊田副院長をはじめ、専門家が提唱しているのが「FAST」というスローガンです。
気になる症状が出れば、『すぐに』病院へ行ってほしいという意味を込めています。
Fは「FACE」。顔のしびれの症状。特に顔の半分がしびれる場合は、脳梗塞を強く疑って下さい。
Aは「ARM」。腕です。腕や足の力が抜けるといった症状。
Sは「SPEECH」。会話がしにくかったり、ろれつが回らなかったりといった症状。
Tは「TIME」。時間です。症状が出た時間を記録して、すぐに救急車で病院に向かって下さい。
(国立循環器病研究センター 豊田一則副院長)
「脳梗塞は、最初の何時間かが治療の“ゴールデンタイム”です。治療に適したタイムリーな時期を逃してはいけません。痛みがなくても、突然しゃべりにくくなったとか、突然手足が動きにくくなったといったことがあれば、急いで病院に行くべきです」
■対策は
では、ふだんからできる対策はあるのでしょうか。
専門家は、熱中症と同じく、暑さへの備えが最も重要だとしています。
熱中症では、国は室温の目安として28度を示しています。
このように、冷房を適切に使って、自分が快適だと感じる温度で過ごすことが大切です。
また、水分をしっかりと補給するよう心がけてほしいとしています。
ことしの暑い夏はまだまだ続きます。
熱中症への警戒はもちろん続けつつ、脳梗塞のことも頭の中に入れておきながら、「危ないな」と思ったら、ためらうことなく、医療機関を受診するよう心がけてください。
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