えぇトコ

2018年09月07日 (金)

達人がかける神の山 ~和歌山・熊野古道~

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今回の旅の舞台は和歌山県。熊野古道の終着点で知られる田辺市本宮町を旅します。神に守られたこの地では、自然に立ち向かい、己の腕のみで逞しく生き抜く達人が暮らしています。達人が生み出す奇跡の幸、技、味。どんなものでも達人にかかれば輝く宝物に一変!神秘と驚きに満ちあふれた旅のはじまりです!

旅人:えなりかずきさん & 浜口京子さん

                                          

旅した場所♪

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①テナガエビ

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清流、熊野川にはたくさんの幸がいっぱい!夜、旬の生き物を狙い、いざ川へ!川に潜む生き物のことなら何でも知っているという達人に連れて行ってもらいました。そこには立派で長い手を持つテナガエビが!旅人も大奮闘!達人に続いてテナガエビを獲ります。

翌日、獲ったテナガエビを熊野川沿いの小津荷(こつが)という集落のご自宅でごちそうしてくれました。乾煎りというシンプルな調理法だからこそ味わえる、エビの旨味とプリプリの食感♪さらに達人が仕掛けていた“もどり”という道具で獲った極太の天然ウナギまで!つけ焼きではなく、白焼きに塩をふりかけていただくのが達人流の美味しい食べ方。とても肉厚で食べ応え抜群!川のごちそうをたっぷりと堪能しました。

                               

                               

②茶がゆ

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熊野川から熊野古道の道筋に位置する“伏拝(ふしおがみ)”という山里へ。ここはなんと熊野本宮が発祥とも言われている銘茶“音無茶(おとなしちゃ)”の名産地なんだとか。初夏に摘むイメージがあるお茶ですが伏拝では標高が高いため暑いこの時期に摘んでも十分に美味しいお茶ができるのだと言います。

出会ったお母さんはお茶作りの達人。お母さんが三番茶で作った冷たい茶がゆはこの暑いこの時期にピッタリの故郷の味、食欲をそそります♪自分で作るおいしいものをいただくことがいつまでも元気でいられる秘けつ。豊かな恵みを与えてくれる故郷に感謝し生きる元気な達人に出会いました。

                                           

                                     

③伏拝(ふしおがみ)

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伏拝で見つけたお茶屋さんで出会ったお母さんが出してくれたのはこの地で採れたしそで作ったしそジュース。しその良い香りが鼻に抜け、サッパリした味わいに疲れが吹っ飛びます♪さらにお母さんが案内してくれたのは熊野の神がまつられている伏拝王子社。熊野古道の道中であちこちにある王子社で、かつて旅人は神に祈り、休息をとっていました。そんなありがたい伏拝王子がある場所からは山が開けており、絶景が楽しめます。昔、ここから熊野本宮の社殿が見え、旅人は思わず伏して拝んだということから伏拝の名がついたのだそう。そんな伏拝が大好きだと語るお母さんは、熊野古道の語り部として、訪れる人たちにこの地の素晴らしさを伝え続けています。

【番組で紹介したお店】

伏拝茶屋(ふしおがみちゃや)

住所:〒647-1743 和歌山県田辺市本宮町伏拝157

営業時間:9:00~15:30(※休日・祝日のみ営業)

定休日:平日

      

                                                     

④おまぜ

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熊野本宮大社の旧社地、大斎原(おおゆのはら)。そこに佇む大鳥居の高さは34メートル!日本で一番大きな鳥居とされています。そんな大鳥居の前にはこの時期、稲が一面に実っています。神々しく、ありがたい場所で収穫された新米を集落一番の料理の達人が羽釜で炊いてくれました。甘味が深くみずみずしい新米は、食べるたびにありがたい気持ちになります。

さらに達人が作ってくれたのは熊野の名物“おまぜ”。野菜や生節などを刻んですし飯と混ぜた故郷自慢の料理です。もちろんごはんは新米!稲刈りや田植えの時は近所同士で集まり助け合うのがこの地の習わし。手伝ってくれたお礼に必ず振る舞われたおまぜは、熊野で暮らす人々を繋ぐ絆の味です。

 

                                             

⑤湯の峰温泉

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熊野きっての名湯、湯の峰温泉。熊野本宮に参る前に人々はここのお湯で身を清めていました。湯筒と呼ばれる源泉では卵はもちろんのこと、野菜なども湯がいてそのままいただくことができます。ブロッコリーにトウモロコシまで、野菜をこの場で調理するのは地元の人にとっては当たり前のこと。このお湯に感謝しながらこの地に暮らす人たちは、旅人をもてなす達人です。疲れを癒やし、美味しさも与えてくれる熊野に欠かせないお湯です。

 

                                                  

⑥アユ

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湯の峰温泉と並ぶ熊野の名湯が川湯温泉です。そんな川湯温泉を歩いていると、何やら川で網を投げているお父さんが!「小鷹網」と呼ばれる網を使ってアユを獲っている真っ最中。泳いでいる人たちがいるすぐ隣でアユが獲れちゃうことに旅人もビックリ!多い時は500匹以上ものアユが獲るのだそう。まさに川湯のアユの達人です。

せっかくだからと獲れたてのアユをごちそうしてくれました!アユ丸々1匹を酢で締めた“アユ寿司”や、内臓を取り除いて筒切りにした“せごし”、卵と白子を塩漬けにした超貴重な“うるか”まで!そして極めつけはなんとアユをじっくりと焼いて干した“あぶり”という保存食から出汁をとったつゆでいただくそうめん!夏の暑い時期、今だけの超ぜいたくなごちそうです。

                                          

                                           

⑦皆地笠

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皆地(みなち)という集落には、代々この地で受け継がれてきた宝物があります。平安時代から使われてきたと言われる、被り物“皆地笠”です。山仕事や畑仕事に使われ、熊野詣の旅人にも重宝されてきました。そんな皆地笠を作る職人も今では一人のみ。そのお歳はなんと97歳!あの比叡山の荒行、千日回峰行の行者が被る笠も達人が手掛けたものだそう!人生をこの仕事に注ぎこんできた達人が作る皆地笠、材料は皆地の山で育ったヒノキです。ヒノキだからこそ、風を通し、雨を弾く万能な笠になるといいます。この地で生まれたからこそ、今の自分があるという達人。皆地の自然、木に感謝し、今でも大切に伝統を作り続けています。

 

 

⑧立木染

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皆地で育つ木で生まれる宝物はまだあります。通りがかったお店で見つけたキラキラと輝くもの。実はこれ“立木染”と呼ばれる、山に生えている木に染料を吸わせることによって作ったアクセサリー。光に当てることにより神秘的な色を放ちます。

立木染を作る達人のお父さんが作りはじめたそう。もともと間引かれて使い道がなかった木をどうにかできないかと試行錯誤し考え出されたのだとか。お父さんは12年前に亡くなりましたが、その遺志を受け継ぎ、大切に育てた木を無駄にすることなく、見事なものに生まれ変えらせています。父の技と思いを磨き続ける達人が生み出す、熊野の宝石です。

 【番組で紹介した「立木染」を購入できるお店】

住所:〒647-1723 和歌山県田辺市本宮町皆地640

電話:090-2709-7231

営業時間・定休日等は「立木染」の公式HPにてご確認下さい

                                                

                           

担当日記

今回の旅は熊野古道、えぇトコでは度々お世話になる道です。かつて行列が絶えない様子から「蟻の熊野詣」と形容されるほどの賑わいを見せたそうです。そんな熊野古道は今でも往時のまま保たれ、歩くと密やかで厳かな気持ちにさせてくれます。

そんな熊野古道には九十九王子と呼ばれる社が数キロおきに点在しています。熊野の神を祀る一種の神社、長旅の疲れを癒やす休憩所としての役割も兼ねていました。その一つが伏拝王子社、ここには思い出があります。4年前、この場所で出会った松本俊二さん、熊野古道をこよなく愛し、この地を訪れる旅人を案内することが生きがいでした。今回久しぶりにこの地を旅することになり、ご様子をうかがってみると、残念なことに病気のためお亡くなりになっていました。今は奥様がその遺志を受け継ぎ、古道の案内人をされています。「熊野で生まれ育った人なら間違いない」と、健やかな大自然に包まれたこの地を初めて訪れた時に、俊二さんと一緒になることを決めたという奥様。熊野を愛し、来た人をもてなす達人だったご主人の思いは、奥様の胸の中に生きています。「熊野で生まれ育った人なら間違いない」、奥様が感じたこの地の素晴らしさは、今回の旅で私たちが感じたことでもありました。

深い山に囲まれた地で、元気にお茶を作り続けている達人たち。あきれるほどきれいな川で、闊達にエビやウナギを獲る達人。97歳を超えてもなお手を動かし、熊野詣でに欠かせない笠を拵えている達人。

その技の見事さもさることながら、みなさんに共通していたのは、とにかくこの地に来た人に喜んでもらうのが大好き!だということ。協力したところでなんの得にもならない私たちの撮影に笑顔で何時間も付き合い、えなりかずきさんと浜口京子さんに自慢の幸をふるまい、熟練の腕を見せてくださいました。おそらくそれは、テレビだからというわけでなく、ここにやってくるすべての旅人に向けられるものです。「この地の素晴らしさを知ってほしい」「わざわざ来てくれたのだからいい思い出を作ってほしい」。古より熊野古道を通りやってくる人をもてなしてきた先祖のDNAが、達人たちの笑顔を作っているのかもしれません。

息を呑むほどの素敵な風景や歴史がそこかしこに現れる熊野古道。でも一番心に残るのは、ここで出会った達人たちの「笑顔」かもしれません。

担当 吉村

                             

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次回もお楽しみに!

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