えぇトコ

2017年06月10日 (土)

恵み出ずる神秘の山 ~奈良 上北山村・下北山村~

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今回は奥吉野のさらに奥、奈良県の上北山村・下北山村を旅します。この地の人々はそこに満ちる気を敏感に感じ、今なお神秘の暮らしを営んでいます。
この地でしか育たないといわれる伝説の野菜「下北春まな」。見えない物への畏れが生んだ奥吉野に伝わる妖怪「一本足たたら」。1300年前から続く鬼の子孫が守る宿坊。山を敬い、山に生かされてきた人々。神秘に輝く深山幽谷、神々が棲む山に分け入ります!

 

 旅した場所♪

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①行者滝

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人を寄せ付けない山の奥で美しく流れる行者滝。行者が修行をしてきたことが由来でこの名がつきました。

緑あふれる下北山村の、知る人ぞ知る神秘の滝です。

 

②コウドリ様・鮎

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清流で育ち、初夏を呼ぶ魚「鮎」。骨ごと筒切りにし、自家製の酢味噌で味付けをした「鮎のせごし」は、生命力に満ちた新鮮な鮎でしかいただけない料理です。この村の人達はあらゆる命への感謝を忘れず暮らしています。

そんな村人たちが供養を欠かすことのない、コウドリ様という名前の祠にあります。昔、村人が猟犬として飼っていた狼が、野生に帰って人に襲いかかってきたため、撃ち殺してしまったところ疫病が広まったのだそうです。そこで祠を建てると、とたんに疫病が治まったといいます。それ以来、この地の人々は命を大切にすることを心に刻んで生きています。

 

③前鬼

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電気もガスも水道も通っていない山の奥深くに現れる里、「前鬼」。この里のただ1軒の家は、実に1300年前から宿坊を営んでいます。五鬼助さんというその家の主は、“鬼”の子孫。奈良時代に大峰山を開いた役行者に従っていた前鬼・後鬼という鬼の夫婦が先祖だといいます。
山の自然に精通し、その恵みを人に分け与えていたといわれる鬼。その子孫も、山に感謝し、山で人をもてなして暮らしていました。

 

④一本足たたら

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伯母峰という峠に現れるという大イノシシの妖怪「一本足たたら」。昔、背中に笹を生やした大イノシシが猟師に撃たれ、恨みを抱えたまま死に至り、妖怪になったと伝えられています。それ以来、大イノシシが命を失った12月20日は、山へ入ることが禁じられているといいます。そして地元の人たちは山へ入る際、木の枝で作った一本足たたらの人形を魔除けとして身につけてきました。見えない物への畏れが生んだ伝説の妖怪です。

 

【一本足たたらが購入できる場所】

住所:〒639-3704  奈良県吉野郡上北山村西原1131

電話:07468-3-0109

 

⑤下北春まな

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山の信仰がもたらした野菜、下北春まな。
修験道の行者が山に下りてきた際、種を授けたことが由来とされている、この地でしか育たない不思議な野菜です。
塩漬けにした春まなは、昔から伝わる保存食。
この地で暮らす明るいお母さん達が握る下北春まなのめはり寿司は歯ごたえ抜群!変わらぬ実りを仲間とともに楽しむ安らかなふるさとの暮らしです。

 

⑥明神池

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下北山村にある聖なる池「明神池」。
この池に満ちる神秘の力を感じた役行者が社を立てて、祀るように命じた村の宝です。水位が変わらない、龍が昇る、など様々な言い伝えが残ります。先祖からのしきたりを守り敬い、大切にしてきた村人の心の拠り所です。

 

⑦お茶

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今年もやってきた新茶の季節。この地域のおかあさん達もたった1週間しかない茶摘みをみんなで仲良く行います。お茶摘みにはみんなが集まって汗を流すのが昔からの習わし。摘み終わったお茶の葉を釜で炒って、手もみし、最高のお茶を作り上げます。贅沢な山の恵みを与えてくれるふるさとの山。その山のおかげで心がほぐれ、暮らしが潤います。

 

担当日記

 この番組では、撮影に先立って何日か、旅の舞台に訪れ下見と打ち合わせを行います。

その時は一人、車で現地をくまなく回り、時には未舗装の路地や林道を走ることもあります。
怖いのは夜の山道です。

暗闇の中で光る鹿の目、風に揺れてざわめく木の葉、何か得体のしれないものが潜んでいる気がします。町や海などと違い、山の中はそんな特別な場所なのかもしれません。
そんな山への畏れと敬意を忘れず人々が暮らす地、それが奈良県の上北山村・下北山村です。

古来、そこを聖地と定め、山中の大峰奥駈道で修行することを繰り返してきた修験者が分け入って来た山。神の棲む山は里に暮らす人々にも大きな影響を与えてきました。
山に現れると言う伝説の妖怪「一本足たたら」の人形を作る松本さんは、山に入ると何度も「身の毛がよだつ」思いをしたそうです、山には目に見えないものが確かにいる、と。
山が放つ霊気、妖気を敏感に感じとり、その感覚を大事にすることで人々は、山での危険を事前に回避し、その恵みをありがたく頂戴してきました。

行者がくれた、この地にしか育たない伝統野菜「下北春まな」。
山で殺した狼を今でも供養している祠「コウドリ様」。
村の民の平和を守ってきた神様「地主様」。
山に囲まれた村では誰もが、昔からのしきたりを守り、山に感謝して暮らしていました。
ふるさとの土地への感謝を忘れず、確かな日々を送っていらっしゃる人々は、ぶれません。
己の信じるものに疑問を持たず、代々変わらず同じ暮らしを営まれています。
当たり前のように皆さんが抱いている山への変わらぬ気持ちが、笑顔を育んでいるのだとわかりました。

山深い前鬼の里で唯一軒、1300年にわたり宿坊を守り続けてきた五鬼助さんは鬼の子孫。
脈々と引き継がれてきた変わらぬ暮らしの系譜。
61代続いてきた営みは、もうすぐ62代目に引き継がれようとしています。
山を知り、頼り、信じ続けてきた村。
ここには、人間本来の健やかさが溢れています。 



担当 吉村

 

 

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次回もお楽しみに!