〝番記者〟のつぶやき

2022年11月02日 (水)

虎番のつぶやき 「"よいチーム"はつくれた」~矢野阪神の4年間~

今シーズン、クライマックスシリーズファイナルステージで敗退した阪神。
矢野燿大前監督が率いた4年間が終わり、岡田彰布新監督のもとチームは新たなスタートを切りました。
「“強いチーム”はつくれなかったが、“よいチーム”はつくれた退任会見で語った矢野前監督
残したものは確かにありました。

【「監督」ではなく「先生」!?】

hanshin221102_1.jpg

矢野前監督にとって、監督とは。

現役時代、野村克也さん星野仙一さんという名将2人のもとでプレーした矢野前監督に理想の監督像を聞くと、教えを乞うた恩人と答えるかと思いきや、少し予想外のことばが返ってきました。

〈矢野燿大監督〉
「僕は野村さんにも星野さんにもなれない。目指しているのはどちらかというと学校の先生。引退したあとも寄り添っていられる先生のような監督になりたい。」

学校を卒業したあとに恩師のことばを思い出したり、母校に顔を出して背中を押してもらったりするように、選手が現役を引退したあと、苦難や困難に直面しても乗り越えられるきっかけになるような経験をさせてあげたい。
目先の勝ち負けだけでなく、選手の成長を考えて指導し、積極的な姿勢を見せてミスをした選手や、勝負にいって打たれた投手は決してとがめずに再びチャンスを与えてきました。
それは結果にも表れています。
“超積極的野球”を掲げ、チームの盗塁数在任4年間ですべてリーグトップ
さらにリーグ随一と言える安定した投手陣。
ドラフト5位で入団した青柳晃洋投手は、2年連続最多勝を獲得するなどエース格に成長。
独立リーグから入団した湯浅京己投手最優秀中継ぎのタイトルを獲得。
今シーズン52試合に登板した浜地真澄投手など若手を育て上げました。

【山あり谷ありのラストシーズン】

hanshin221102_2.jpg

そして、集大成となった4年目のシーズンは、キャンプイン前日に退任を表明する異例の形でスタート。
開幕から山あり谷ありでした。
開幕戦でつまずくとセ・リーグ最長記録となる開幕9連敗。

hanshin221102_3.jpg

交流戦ごろから安定した投手陣を中心に徐々に巻き返し、一時は2位に浮上。
ところが、8月には主力選手が相次いで新型コロナに感染したことも影響し、8連敗。
クライマックスシリーズ進出争いとなったリーグ戦最終盤は粘り強い戦いを見せ、3位に滑り込み。
応援するファンも、取材するメディアも、一喜一憂するのに忙しい。
そんなシーズンでした。

【矢野阪神を象徴した1試合】

hanshin221102_4.jpg

土壇場でつかみとったクライマックスシリーズの切符。
ここで、矢野阪神の象徴ともいえる試合がありました。
負ければラストゲームとなっていたファーストステージ第3戦。
3回までに2点を奪われ、劣勢な状況でしたが、4回に今シーズン苦しんだ2年目の佐藤輝明選手がソロホームランを打って1点差に迫り、6回には近本光司選手がタイムリーツーベースを打って同点に追いつきました。

hanshin221102_5.jpg

そして、続くチャンスで打席には原口文仁選手
矢野前監督の就任1年目に大腸がんの手術を受けてそこからはい上がり、ひたむきに野球に向き合ってきた選手です。
フルカウントからの6球目をはじき返し、レフトへタイムリーヒット
勝ち越しに成功しました。

hanshin221102_6.jpg

しかし、9回。
このシリーズで抑えに抜てきされた湯浅投手がワンアウト満塁のピンチを背負います。
矢野前監督はここで自らマウンドへ。
「いくしかない、強気や。思い切り楽しんで。このままお前にかけてるから。どんな結果でもいいから思い切っていってくれ」と矢野前監督。
このことばを受け取った湯浅投手「『楽しめ』と言われたので本当に楽しみながらバッターに向かっていけた」と次のバッターをダブルプレーに打ちとり、ファイナルステージ進出を決めました。

hanshin221102_7.jpg

試合後、目を赤くさせながら必死に戦った選手たちをたたえた矢野前監督。
まさに、“育てながら勝つ”という矢野野球を見せた試合でした。

【“よいチーム”はつくれた】

hanshin221102_8.jpg

しかし、ファイナルステージではリーグ優勝したヤクルトに力の差を見せつけられ3連敗で敗退。
矢野阪神の4年間は最後まで、リーグ優勝と日本一をつかむことはできませんでした。
敗退翌日に行われた退任会見
矢野前監督は“先生らしい”ことばを述べました。

〈矢野燿大前監督〉
「リーグ優勝も日本一もできなかった悔しさを持ち合わせているが夢と理想を語りながらやっていく野球は貫けた。“強いチーム”はつくれなかったが、コーチ・スタッフ・裏方みんなが一丸となって“よいチーム”はつくれたと思う。」

矢野前監督が確かにつくり上げた“よいチーム”
これをベースに阪神ファンが待ち望むのは18年ぶりのリーグ優勝です。
来季に向けチームは2回目の就任となった岡田彰布新監督のもと、すでに新たなスタートを切っています。

 

nakamura_writer.jpg
(虎番記者:中村拓斗)

 

ニュースほっと関西 ホームページ

関西 NEWS WEB

〝番記者〟のつぶやき

もっと見る

関西のスポーツ

もっと見る

プロ野球のニュース一覧

もっと見る

高校野球NEXT

もっと見る

東京五輪・パラのニュース一覧

もっと見る

大相撲のニュース一覧

もっと見る

サッカーのニュース一覧

もっと見る

ピョンチャン五輪のニュース一覧

もっと見る

フィギュアのニュース一覧

もっと見る

関西 NEWS WEB

もっと見る