2021年11月08日 (月)
オリックスV戦士のベストゲーム
25年ぶりにパ・リーグで優勝したオリックス。
今シーズンは、交流戦からの11連勝や優勝をたぐり寄せた楽天との最終戦など、印象に残る試合が数多くありました。
選手たちにとってのベストゲームは?優勝直後のインタビューで聞きました。
【シーズンを勢いづけた2人】
まずは宮城大弥投手。
高校卒業2年目の今シーズンは、リーグ2位の13勝をマークし、大きく飛躍しました。
その宮城投手がベストゲームにあげたのが、2回目の先発となった4月4日の楽天戦です。
オリックスは、前日まで楽天に2連敗し、迎えたカード3戦目。
宮城投手は、8回をヒットわずか2本に抑えて無失点。2勝目をあげて、悪い流れを断ちきりました。
宮城投手にとっても、自身の課題をしっかり克服できた試合となり、その後の活躍につながりました。
〈宮城投手〉
「天候も悪い中、いろんな課題を修正できた試合だった。三振は少なかったが、打者を打ち取るということを実行できた試合だったのでベストゲームだった」
一方、打者では、初のホームラン王に輝くなど飛躍の1年になった6年目の杉本裕太郎選手も、シーズン序盤4月の試合を自身のベストゲームにあげました。
それは、4月22日の西武戦。オリックスは3対6とリードされて、9回の攻撃に臨んでいました。
ツーアウトながら満塁のチャンスをつくると、ベテランのTー岡田選手が走者一掃のタイムリースリーベースヒットを打って同点に追いつき、さらに杉本選手にもタイムリーヒットが出て、サヨナラ勝ちしました。
身長1メートル90センチの杉本選手と身長1メートル87センチのTー岡田選手、ともに体重が100キロを超える大きな2人が抱き合って喜ぶ姿が印象的でした。
〈杉本選手〉
「Tさんがタイムリースリーベースを打って、僕がサヨナラを打った試合がすごくうれしかったです。すごく盛り上がっていたし、一塁を駆け抜けたあとにTさんが抱きしめてくれたので、めちゃでかかったけど、すごくうれしかったです」
【勢いにのった交流戦】
1番バッターとして定着した福田周平選手は、交流戦の試合をあげました。
6月6日の中日戦、福田選手が粘りに粘ってタイムリーヒットを打った試合です。
〈福田選手〉
「いろんな人から言われるのは、中日戦の、何球粘ったんだっけ、16球?16球粘ってタイムリーヒットを打ったというのは、僕の中でもそこまで粘れたのは自信につながったのでいい経験だったと思います」
この打席で、福田選手がファールにしたのはなんと11球。我慢比べに勝って、結果を出しました。
選手が役割を果たすことで、チームは勢いに乗り、11年ぶりとなる交流戦優勝を果たしました。
【直接対決で見せた勝負強さ】
ロッテとの激しい優勝争いを繰り広げたシーズン終盤の試合から選んだのが、伏見寅威選手。
自身のプレーではなく、長年、苦しい時期を必死に戦ってきたベテランのひと振りでした。
〈伏見選手〉
「1位2位が直接対決する大事なゲームで、2点を追う9回、相手も抑えが出てきましたし、ちょっと厳しいかなと思ったところでTさんがチームを救うホームランを打ってくれて、その試合からチームの雰囲気がガラッと変わったのかなと思います」
オリックスは9月、主軸の吉田正尚選手がけがで離脱し、チームが失速しかけていました。
そうしたなかで迎えた首位のロッテとの3連戦。対戦前には、3ゲームの差をつけられ、1つでも負ければ、ロッテに優勝へのマジックナンバーが点灯するところまで追い込まれていました。
オリックスは第1戦、第2戦に勝ったものの、第3戦は2点リードされて9回を迎えていました。
そこで、飛び出たTー岡田選手の逆転スリーランホームラン。
オリックスはこのカードを3連勝で終え、25年ぶりの歓喜につなげました。
【思いが詰まった最終戦】
そして、3人の選手があげたのが、楽天に勝って、優勝を大きくたぐり寄せたシーズン最終戦でした。
この試合、投げては、山本由伸投手が気迫のピッチングで完封。終盤には、ベテランの安達了一選手がツーランスクイズを成功させて、追加点を奪うなど、勝利、優勝への執念を見せた試合でした。
〈山本投手〉
「開幕戦は負けて悔しい思いをしたので、その分、最終戦という重要な1試合で勝ち切れたことがすごくうれしかった。リーグ優勝はできたので、ここからまたクライマックスシリーズ、日本シリーズに向けて気を引き締めて、とにかく勝ちたいと思う」
〈安達選手〉
「監督には、毎回スクイズのサインは出さないでほしいと言っているんですけど、初めて出たので、『うわやばい』と思って。気持ちでやるしかないと思って、気持ちでやりましたね。あの緊張感の中で勝てたのは本当にうれしかったですね。プレッシャーしかなかったですけど」
そして、T-岡田選手も、自身が活躍した試合より印象深いと語りました。
Tー岡田選手は、スクイズを決めた安達選手とともに7年前に優勝争いを経験。
最後に優勝を逃した悔しさを知るだけに、それぞれが力を出して、優勝へと大きく前進した最終戦は、特別な試合になりました。
〈Tー岡田選手〉
「打った打ってない関係なしに、正直143試合目の山本投手が頑張って投げていて、野手が頑張って点を取って、最後勝てた。あの試合がことし1年を象徴していたというか、そういういい試合だったなとすごく思いましたね」
10日からクライマックスシリーズに臨むオリックス。
日本一を目指す戦いの中で、レギュラーシーズンを超えるベストゲームが生まれることに期待せずにはいられません。
(オリ番記者:伊東健)