2015年12月

2015年12月22日 (火)

方言指導の先生に聞く、「あさが来た」の言葉遣い

あさが来た


 「あさが来た」のキャストのみなさんが話す美しい言葉遣いは、ドラマの魅力の一つ。波瑠さん玉木宏さんも習得するのに苦労したという「大阪弁」は、どこか柔らかでそれでいて力強く、その中に品の良さが漂う、物語の雰囲気を醸し出す重要な要素となっています。そこで、当ブログでは方言指導の松寺千恵美さんに、ドラマの中で登場する大阪弁について、気をつけていることを伺いました。

 

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 本来の大阪弁は音が綺麗に聞こえてくる言葉です。ですが、時代とともに微妙に音が変わってきており、言葉は本当に生き物だと思います。その意味で、これが正しい、間違っているという言い方は難しいのですが、「あさが来た」では「綺麗に聞こえる言葉遣いを目指したい」とのことでしたので、クラシックな船場商人の言葉をベースに、なめらかではんなりとした言葉遣いになるように台本作成から携わりました。

 

 よく、大阪弁は柄の悪いイメージを持たれやすいのですが、船場言葉は、実は、京都弁とそこまで大きく違わず、現代の大阪弁よりも品が良く聞こえます。今は、言葉遣いがフランクになった分、相手を敬う言葉が使われなくなってきていますが、「あさが来た」ではたとえ対等の関係であっても相手を立てる言葉遣いを意識しています。

 

 例えば「どうにかならへんの」と強く迫る場合でも、「ならしまへんの」と相手の立場も尊重する。怒っていても「なんとかせえ」ではなく「なんとかしなはれ」と言葉をやわらげる。あさの、品性やしなやかな強さを表現する上でも、その点は大事に考えています。

 

 加野屋の皆さんも、上下関係はありますが、基本的に相手の立場を認めた上品な言葉遣いをしています。「なにしてんねん」と強く言いたい場面でも「なにしてますのや」とすることで、お店の格式や品位を損なわない。そういう一つ一つの言葉に意識を向けています。

 

 「堪忍」という表現も「あさが来た」では特徴的に使われていますが、やたらとどこでも「堪忍」ではなく、「すんまへん」に変える時もあります。身内に対する親しみを込め、人間関係の距離感が近い時に「堪忍」とする場合と、同じ相手でもみんなのいる前なら「すんまへん」という場合がある。とても感覚的で言葉にするのは難しいですが、例えば初めて会った人、道ばたですれ違った人には「堪忍」とは言いません。

 

 大阪弁は、同じ言葉でも、音の長短リズムによっていろんなニュアンスを表現することがあります。役者さんには大阪弁独特の「音」が狂わないように、常に大阪ことばの「音」、言葉のアクセントを意識していただいています。あと台詞回しについては、たとえば新次郎さんなら全体的にはんなりと柔らかく、優しく暖かい響きに聞こえるようにつとめていただいています。

 

 方言は、そこに住む人たちが自分の正直な気持ちを話す言葉です。あさの言葉から伝わる強さも、心からでてくる言葉であって、それがたまたま地方の方言だったに過ぎません。たまたま舞台が大阪だったから、あさの人物像、人間性を表現するのに一番イメージが近い言葉を大阪弁で選んでいるだけなんです。でもその中で、「大阪弁も、なかなかいいな」と思ってもらえれば、それはとても嬉しいことだと思います。

 

連続テレビ小説「あさが来た」

http://nhk.jp/asagakita

投稿者:広報担当 | 投稿時間:12:00 | カテゴリ:あさが来た | コメント(11)

■コメント
  • 「あさが来た」ですっかり大阪ことばに魅了されてしまいました。大阪で生まれたというのに、こんなに美しいことばを知らなかったなんて…現代の大阪弁があまり好きでなかったので、大袈裟ではなく本当に生まれて初めて大阪に誇りを持つことができました。

    でも、「あさが来た」のことばはそれだけではなかったのですね。役柄の考え方や性格、立場までを根底に考え抜かれたものと知り、本当に感銘を受けました。これからも美しい言葉の響きを楽しみに、また「あさが来た」ことばを習得すべく観させていただきたいと思います。松寺様、スタッフの皆様、キャストの皆様、お身体にはくれぐれもお気を付けて、これからも素敵な物語を届けてください。

    投稿日時:2015年12月22日 21時45分 | sacci

  • 言葉のご指導の方、また俳優の方がたのご苦労お察しいたします。きっと、いろいろな指摘などがあることとおもいます。
    私は大阪生まれの大阪育ちで、ずっと「いとちゃん」と呼ばれていました。弟は「ぼん」です。
    94歳の叔母はいまだに「こいちゃん」です。
    幕末の大阪の町家では名前で呼ばれているのだなあとか、思いました。最近では「堪忍」も「おおきに」も使わなくなりました。母は、「おおきにありがとうさんでございました」とあいさつをしていました。
    言葉は、どんどん移り変わり、特にラジオやテレビの影響で、イントネーションは混ざってしまうでしょう。今回の放送はそんな意味でも、とても貴重に思えます。
    近藤さんの話しているのを聞くと、なき米朝さんを思い出したりします。
    人物がイキイキして、躍動感がありドラマが面白いのが最高です。
    表に出てこないスタッフの方々のご苦労に感謝します。これからも応援しています。

    投稿日時:2015年12月23日 00時14分 | からこるむ

  • 正直言って大阪言葉というのは迫力のある言葉だという印象がありました。また、以前『細雪』の映画化は見たことがありますが、女性の話し言葉は印象に残っても、男性のほうはあまり覚えていませんでした。今回は、あさと同様、新次郎の大阪言葉も「こんなふうに柔らかく話すのか!」と感心しながら聞いています。
     言葉遣いの問題だけでなく、人間関係を円滑にするためのものでもあるのですね。そこに同じ町で長く暮らしてきた人としての知恵もあるのだということが、インタビューを読ませてもらって、よくわかりました。ありがとうございました。

    投稿日時:2015年12月23日 09時48分 | パープルポテト

  • 毎日楽しみに見ています。
    言葉も、今回の出演のみなさん、ずいぶん上手に喋ってはるなあ、と感心しています。
    ただ、「おおきに」にイントネーションがどうもずっと気になっていて・・・あれは京都弁の様に思います。
    それと、「船場言葉」ではないですよね?

    投稿日時:2015年12月23日 18時14分 | さんさん

  • いつも楽しみに拝見しております。原作者を始め、出演者やスタッフの方々の、大変なご努力で、素晴らしいドラマと感じております。
    ところで、唯一残念なことは、福沢諭吉の演出で、大河ドラマからの、あまりの変わり様です。

    投稿日時:2015年12月24日 08時51分 | 匿名

  • あささんの嫁ぎ先、加野屋にほど近い土佐堀で生まれ、大人になり結婚、出産、子育てを経て、3年前から連れ合いの事情で、随分遠方な言葉も習慣も異なる田舎で暮らすことになりました。
    ホームシックでふさいでいたおり、
    朝いちからの、聞きなれた大阪弁に正吉さんの船場言葉!祖母を思い出し、うれしいやら、懐かしいやら!
    今日なんて堀江のあみだ池でこおた、あわおこし!以前の私の生活圏です。泣きそうになりました。
    おまけに、女子大創立にあたり、私の出身校が少なからず関与していた事実も知り、ますますくぎずけ。

    遠く離れた田舎でいつかまた帰るぞと.
    osaka on my mind!

    投稿日時:2015年12月24日 14時29分 | のえる

  • 私の祖母が大阪市生まれで まさしく「あさ」のようなキレイな大阪弁を話しておりました…。
    私は東京生まれなのですが 友達は大阪弁というと漫才師がしゃべる言葉を想像するみたいなのですが おばあちゃんのしゃべる大阪弁は とても品のあるキレイな言葉だったので 私は大阪弁が大好きでした。
    天国で「あさが来た」観てるかな…。
    もし 生きていたら夢中で観ていたと思います。
    観せてあげたかったなぁ。

    投稿日時:2015年12月25日 22時12分 | 大阪弁大好き

  • いつもわくわくしてみてます。あさが来たの大阪弁は、私が子供の頃に見てた、大阪船場の商人を主人公にしたドラマと同じような、やわらかい耳に心地よい言葉です。
    でも、ちょっと疑問。加野屋の使用人たちは、主人のことを「だんさん」といい、よのさんのことを「奥さま」、あさのことを「若奥さん」といいますけど、大阪の商家のおかみさんは、「御寮人(ごりょん)さん」もしくは「お家(おえ)はん」と言うんじゃないですか?
    あと、おうめがずっと「おあささま」ということが疑問です。
    実家からついてきた女中とはいえ、(だからこそ)、「若奥さん」というのでは?
    そもそも、江戸時代は身分がはっきりしていて、「奥さま」と呼べるのは武士でも旗本くらいの階級でないと、呼べなかったのでは?
    (御家人の妻は「ご新造さま」)
    いくら江戸時代の階級が崩壊したとはいえ、始まりは幕末だし、明治になってやっと十年くらいだから、まだ江戸の名残はひきずっていたはず。
    せっかく、他の時代考証や言葉使いが正しいだけに、すごく気になって仕方ないです。
    あらさがしをしているのではないので、理由を教えていただいたら嬉しいです
    最後になりましたが、第一回からずっと面白くて、次が待ちきれない朝ドラは久しぶりです。
    これからも、がんばってくださいね。

    投稿日時:2015年12月26日 02時00分 | あさちゃん大好き

  • あさが来た。今日最終回を迎えほんとうに残念でなりません。
    大阪弁ってこんなに美しく優しい気持ちにさせてくれる言葉なんだと、大阪出身ながら改めて実感させていただきました。
    これからも言葉や方言を大切にして頂き、地方、地域の美しさを誇りにできる番組製作をお願いいたします

    投稿日時:2016年04月02日 23時33分 | 匿名

  • わたしは日本語を独学で勉強している中国人です。大阪弁は知ってるけど、詳しくわかりません。漫才や落語の芸人がよく使われることで日本中で知られている方言だと思い込んでいました。それに、大阪弁が標準語と多く異なることから、聞き取れるのは難しいです。ゆえに大阪弁に興味なかったです。「アサが来た」を見てもらって初めて、大阪弁がなんと美しいことばだと実感しました。柔らかくて上品なイメージを与えられました。シナリオも大変面白くて、感動的です。男のくせに何遍泣いたこともあります(こっそり)アサさんのお爺ちゃんとか両親とか身内の人たちがなくなった時はもとより、最初アサさんをないがしろに扱う人たちがついに彼女を理解したシーンも涙を催させます。昔の中国も同じようで、女性の地位は低いですが、今は全然違っています。これはアサさんのような先駆者たちのおかげです。とにかく、いいドラマを作り出してくれておおきにありがとうございます。すべての役者とスタッフの方々に誠に感謝しております。(日本語はまだまだですから、もし何か間違ったことや不機嫌をさせたことがあったらごめんなさい)

    投稿日時:2016年07月23日 20時46分 | いいドラマです

  • あさが来た。は母と楽しみに見ていました。
    言葉遣いを聞いていて、神奈川で生まれ育った私ですが、なぜか懐かしく思っていました。母が「このあさが来た。の言葉は、お母ちゃんの生まれ育ったとこの言葉に近いのよ。ひいばあちゃんもこんなふうによう言うてはったわ。」と言っていました。確かに、新次郎さんの言葉などはおじいちゃんの言い方に似ていたので、それで懐かしく思ったのかもしれません。
    今の方は「大阪弁はけんかしてるみたいで怖い!」とかおっしゃる方もいるのですが、大阪弁でも色々あるので、もし、再放送でまた見る時には、美しい響きの大阪弁も楽しんで欲しいです。

    投稿日時:2016年09月24日 22時46分 | 匿名

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