出山 知樹

2020年01月16日 (木)

1月16日(木)-17日(金)<住田功一アナ 阪神淡路大震災25年の思いを語る>


関西発ラジオ深夜便 阪神・淡路大震災25年特集

「知らない世代に、伝えたいこと」                               大阪アナウンス 出山 知樹

 

2020年1月17日、阪神淡路大震災から25年となります。

地震が発生したのはNHKに入局して3年になろうとしているときでした。当時、初任地、和歌山に勤務していたのですが、ある朝突然激しい揺れで目が覚めました。「かなり揺れたな。どこが震源なのだろう…」と思いながらすぐにテレビを付けました。そして「神戸震度6」の言葉に驚き、慌てて家を飛び出しました。

神戸…!

自分が生まれたところです。同じ近畿管内の地震であり、すぐに和歌山局に出局しました。東京からの放送では、神戸震度6という情報はすぐには気象庁からの配信がなく、出なかったようですが、近畿管内向けの放送ではかなり早い段階でアナウンサーが「神戸震度6」とコメントしていました(後に震度7と確定)。それが自分にとっての阪神淡路大震災の始まりでした。地震の発生は1995年1月17日の午前5時46分です。

その時、たまたま神戸市灘区の六甲の自宅に帰省していたのが先輩の住田功一(すみだ こういち)アナウンサーでした。 sumida117logosmollsize.png 1995年1月17日夜9時半ごろ。阪神高速道路の倒壊現場から中継する住田アナウンサー

 

住田さんは当時東京勤務で「おはよう日本」のニュースリーダーを担当していたのですが「遅い正月休み」で実家にいたということです。そのことが、住田さんのその後の人生を大きく変えたといえると思います。

震災の前から、住田アナウンサーはその的確で緻密な仕事ぶりで、我々、初任地勤務のアナウンサーの目標、いえ、憧れの存在だったといってもいいと思います。

しかし、これはご本人も著書に記しているのですが、地震の時、住田さんの実家がある鶴甲団地は六甲山の山裾にあり、同じ灘区内でも被害に差があったため、建物が倒壊するほどではありませんでした。火災も起こりませんでした。高台に位置しながら、前の建物に遮られて市街地が見渡せませんでした。

その状況の中、NHKの誰よりも早く、住田さんは電話で阪神淡路大震災の一報を神戸から伝えたのでした。後にこの時のことを振り返った思いを、住田さんは著書に記しています。

「午前6時4分に私の電話がそのまま放送されました。(中略)私は見た事実だけを淡々と伝えました。しかし、この時刻は、いま振り返ると、住宅倒壊・生き埋めなどで何千人もの命が失われようとしていた時だったのです。(中略)今でも悔やみます。被害は私たちの指針やマニュアルをはるかに上回る事態になっていたのです。」

(住田功一 著「阪神淡路大震災ノート『語り継ぎたい。命の尊さ』より)

hanshinkousoku.png  阪神淡路大震災の地震発生当日の1月17日午前9時ごろ 住田アナウンサーが撮影した阪神高速の倒壊現場

 

住田さん自身は多くを語りません。しかし、この時の悔恨の思いは、ずっと住田さんの心にあったのではないかと思います。

住田さんはその後、被害にあった各地を歩きまわり、被災状況を伝え続けました。

救助が必要な場所、被災者が求めていることを報道し続けました。

そして、尊い命を災害で奪われないために何が必要なのかを考え続け、後世に語り継いでいくために中高生が学びやすいよう考え抜いた本を著し、今もその著書は総合学習の副読本や修学旅行の参考資料として使われています。hanshinawajidaishinsainote.jpg

「阪神淡路大震災ノート『語り継ぎたい。命の尊さ』」は必須のバイブルのように思っています。 

住田さんは地元神戸大学の出身です。神戸大学の学生や教職員も47人(統合された神戸商船大を含む)が地震の犠牲となりました。住田さんはほぼ毎年、慰霊献花式にも足を運び、神戸大学で犠牲になった人たちのことを伝え続け、学生たちの学びのサポートをしています。

 今回、『関西発ラジオ深夜便』では、同じ神戸大学出身で、震災当時、落語研究会に所属していた学生として、仲間の安否確認やボランティアに奔走した桂 吉弥(かつら きちや)さん、そして、犠牲になった神戸大学の学生の遺族から聞き取りをして、その証言を伝える活動をしている神戸大学メディア研の学生もスタジオに来てくださることになりました。

kichiyasanshasin.jpg   落語家で神戸大学出身の桂 吉弥さん

 

もう一人のキャスターは東日本大震災の津波で大きな被害を受けた仙台市の出身で、神戸局で阪神淡路大震災の取材を続ける北郷三穂子(きたごう みほこ)アナウンサーです。 kitagoulogo.jpg 神戸局 北郷 三穂子アナウンサー

 

2020年の1月、阪神淡路大震災の地震が発生した日の3日前に60歳を迎える住田アナウンサーは、この25年間、仕事を通じてもプライベートでも、震災のことを伝えていくことに力を注いできました。

sumidaEA.jpgただ、自分自身のことは、放送を通じては多くを語ってこなかったと思います。この25年の節目に、ぜひ住田アナウンサーにも語る側に立ってもらいたい。そういう思いを込めて、今回の関西発ラジオ深夜便 阪神淡路大震災25年特集「知らない世代に、伝えたいこと」を制作しています。

我々も、住田さんが地震の発生時にいた場所から、当日の動きをフィールドワークでたどりました。

fieldwork.jpg住田さんから現場で話を聞く北郷アナ(右)と今回メインディレクターと中継を担当する松苗アナ(左、後ろ姿)

 番組では、震災後に生まれた世代が次々と成人していく時期となり、震災の経験や教訓を若い世代にどう伝えていくかが大きな課題となる中、「直下型」の激しい地震の揺れが大都市に何をもたらすのか、「ラジオ深夜便」の放送時間を約1時間拡大して、地震の発生した時刻「5時46分」を含め、阪神淡路大震災について住田アンカーが伝えます。

桂吉弥さんや、震災を経験した元スポーツ選手へのインタビュー、絵本の朗読、亡くなった人たちを追悼する各地からの中継、亡くなった方へのご家族からの手紙も交えて遺族の人たちの思いを伝え、「震災を知る世代から、知らない世代へどう伝えるのか」を考えたいと思っています。

関西発ラジオ深夜便 

阪神・淡路大震災25年特集

「知らない世代に、伝えたいこと」

2020年1月16日(木)後11:05~

翌17日(金)前5:55 ラジオ第1

(前1:00~5:00 FM同時放送)

 

◆16日(木)23時台
『神戸からの中継とインタビュー』震災の記憶を受け継ぐ神戸大生
『落語家 桂吉弥の1.17』

◆17日(金)午前0時台
『日本列島くらしのたより』神戸市 日比野純一
『アジアリポート』インドネシア・西ジャワ州チカラン 奥 信行
『住田功一アナの1.17』

◆17日(金)午前1時台
『朗読とインタビュー』
 絵本「あの日をわすれない はるかのひまわり」にこめられた思い

◆17日(金)午前2時台
『知らない世代が伝える震災の教訓』"災害メモリアルアクションKOBE"
  リポーター:大津局/大山武人アナウンサー

◆17日(金)午前3時台
『被災地を支えたスポーツの力』
  リポーター:神戸局/田中崇裕アナウンサー

◆17日(金)午前4時台
『震災報道の経験を語り継ぐ』
 NHKと近畿地方の民放AM局で作るAMラジオ災害問題協議会の防災シンポジウムから

◆17日(金)午前5時台
『神戸から中継』それぞれの追悼の思い
『震災25年のあなたへの手紙』