座間味島「集団自決」 【宮村文子】

宮村さんが逃げ込んだ壕の中で起こった出来事。昭和20年3月26日の米軍上陸からおよそ1週間後。逃げる途中で家族と離ればなれになった宮村さんは、避難場所と決めていた「大和馬の壕」にたどり着いた。中は真っ暗で静まりかえり、母親の名前を呼ぶと中から「いないぞ。おまえは誰だ」という母方のおじの声。手さぐりで近づくと冷たくなった住民の死体に触れた。20人以上が横たわっていた。「妻と子ども2人を縄で絞め殺し、自分もこれから死ぬところだ。一緒に死なないか」。淡々としたおじの勧めを断ると、おじは持っていた砂糖を出し「家族に会ったとき食べて死になさい」と手渡した。そして自分の首に縄を巻き、知り合いの男性に頼み込んでその縄の一方を引かせた。縄は天井の梁に掛かっていて、おじは絶命した。宮村さん『残酷な死に方だった。また、戦争が起これば同じことが起こる。座間味島に日本兵が来なければ住民はこんな死に方をしないですんだかと思うと残念でならない』