辺野古移設 アメリカ軍担当者が垣間見せていた本音とは
- 2024年01月11日
政府は、アメリカ軍普天間基地の移設先になっている名護市辺野古の大浦湾側での代執行に伴う工事を1月10日から始めました。移設が可能になるまで12年ほどかかるこの工事をアメリカ軍はどう見ているのか。その本音を垣間見る機会がありました。
(中部支局記者 宮原啓輔)
辺野古移設 アメリカ軍の本音は?
アメリカの海兵隊と陸軍、海軍、それに空軍のあわせて4つの軍は、2023年11月に報道機関へ向けた軍事活動に関する説明会を3日間の日程で開きました。
その初日の11月7日。アメリカ軍の幹部は、普天間基地の名護市辺野古沖への移設工事について次のように述べました。
アメリカ軍の再編計画の専門家によると完成するのは早くても2037年になると予想されている。台風や自然災害の影響は想定していない。
このほかの報道陣とのやりとりは以下のとおりです。
政治的な意図は排除して純粋な軍事的な意味合いとして、この位置に基地があった方がベターと考えているのか。
軍事だけで考えると普天間基地の方がいいと思う。
移設先の滑走路が普天間基地よりも短くなることによる運用上の制約は。
滑走路が短いという点はいくつかネガティブなポイントではある。その際は嘉手納基地と補い合ってやっていくかと思う。
移設先には軟弱地盤があり建設が難しいという指摘もある。その存在は軍事的に影響を与えるのか。
もしそれが修正できないのであれば、影響を与えるかもしれない。沈むような場所にはしておかないと思っているが、もし建設できないのであれば指摘のようになるかと思う。
辺野古沖への移設工事が完成したあとも普天間基地を持てるなら、本音としては持ち続けたいのか。
純粋な軍事的な立場だけ言えば「はい」と答えるが、その決定は私ができるものではない。
そもそも返還見通しはいつだった?
普天間基地は、1996年に返還が合意された際には、「米軍基地の中に新たにヘリポートを建設するなどの措置が取られた後、5年ないし7年ぐらいに、全面返還されることになる」と橋本総理大臣が発表しました。
その後、代替施設の計画をめぐって紆余曲折があり、2013年に日米両政府がまとめた名護市辺野古への移設計画では、埋め立てなどの工期は5年で、早ければ2022年度に返還が可能になるとされました。
しかし防衛省は大幅な地盤改良が必要になったため設計の見直しを進め、2019年に地盤改良や埋め立てなどにおよそ9年半かかり、飛行場としての機能を持たせる整備も含めると移設までおよそ12年かかるとする工期の概略を示しました。
これによって、普天間基地の返還時期は2030年代に大幅にずれ込む見通しとなり、経費も当初見積もりの2.5倍以上となる、およそ9300億円に上るとされたのです。