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2013年6月25日(火)

働くママの心をつかむ”マタハラ”

阿部
「続いて、働く女性の妊娠についてです。」

職場の女性が妊娠 あなたは…?

職場の女性が妊娠。
あなたは…?

男性
「まあ、おめでとうですね。
あとはその後、続けるのか、休むのか。」



男性
「こればっかりはしかたない。
産むっきゃないわけですから。」



男性
「女性なので、こういう日が来る。
いざとなると、いろんなことが頭をめぐる。」



阿部
「妊娠はおめでたいことですが、職場を管理する側としては悩ましい面もあるようですね。」

鈴木
「そうですね。
今増えている、働く女性の妊娠・出産を取り巻く問題について、今日(25日)は内田記者とお伝えします。」

内田記者
「妊娠・出産というのは、本当だったら、人生の中でも、いちばんうれしいことの1つだと思うんですけれども、仕事をしていると、素直に喜べないこともあります。
これまでどおりに働けなくなって、周りと摩擦が生じるケースがあるからです。
こうした中、大きな関心を集めているのが『マタニティーハラスメント』です。
職場で上司や同僚から嫌がらせを受けたり、ひどい場合には、解雇されたりするといった不当な扱いを指すことばです。」

マタニティーハラスメント “つぶやき”急増

内田記者
「こちら、ツイッターの画面です。
最近になって、つぶやきの中に『マタニティーハラスメント』ということばが急増しています。」

“私まさにマタニティハラスメント受けてた気がする。”

“産休が近くになるにつれ男性社員に突き飛ばされた。”

“会社では確実に起きている。”

阿部
「子育て世代に波紋を広げていることばなんですね。」

内田記者
「まずは、『マタニティーハラスメント』の深刻な実態について、ご覧ください。」

マタニティーハラスメント ケース(1) 退職を強要

出産をきっかけに、退職に追い込まれた女性です。
出産前はフルタイムで働き、今年(2013年)4月からの職場復帰を目指していました。
子どもを保育園に入れることはできましたが、預かってもらえるのは午後5時まで。
そのため、短時間勤務をしたいと会社に伝えたところ、退職を強いられたといいます。

女性
「君にはここで働いてもらう必要もないし、君のいる場所はないと。
妊娠・出産して、時短勤務で働ける前例を作ると、周りに『できるんだ』と認識されてしまうので、それは困ると言われた。」



女性は、夫婦共働きで返済する予定で住宅ローンを組んでいました。
違法行為だと労働局に訴えて復職が認められたとしても、職場には居づらくなると考え、退職を受け入れました。

女性
「悔しいのと、悲しいのと、信じられない。
すぐには受け入れられないというか。
そういうことが簡単に起きちゃうんだな。」

マタニティーハラスメント ケース(2) 職場で孤立

「マタニティーハラスメント」は、職場の同僚から受けることもあります。
10年間、事務職を勤めてきた、30代後半の女性です。
短時間勤務で復職すると伝えていましたが、出産前のような残業の多い業務を担当するよう求められました。
これを断ったことで、職場で孤立してしまったといいます。

女性
「『私たちがこんなに大変なのに、仕事を押しつけている』、『仕事を選んでいる』、『仕事をより好みしている』。
それからですね、周りの態度が変わり始めて、『悪いけど先にあがるね』というひと言、私自身は気遣いのつもりで言っていたが、周りにしてみたら『黙って帰ってほしい』。
完全に孤立した状態が、ずっともう半年以上。」

子どもを産んだことを後悔したこともあるといいます。

女性
「諦めかけたときにできた子どもなので、産まれてきてくれてありがとうという気持ちもあるんですけど、子どもを産まなきゃよかったと思ったときはあります。
この子さえいなければ、と思ったときがあって。」

マタニティーハラスメント 働くママの悲鳴

先月(5月)、連合が初めて行った調査では、働きながら妊娠した女性の4人に1人が、「マタニティーハラスメント」を経験していました。
さらに、「マタニティーハラスメント」に関する電話相談を行ったところ、僅か2日間で677件にも上る相談が寄せられました。

“流産で休んだら、課長を降格すると言われた。”

“妊娠したなら、辞めたらどうか。”

“出産後も働き続けたいと言ったら、わがままだと中傷された。”

20代・30代を中心に、悲鳴のような声が相次ぎました。

連合 村上陽子局長
「妊娠・出産したら、辞めざるを得なくなる女性の労働者の方々は、『しかたないんだ』と思っていた人が多かったと思うが、これはハラスメントだったんだ、自分が受けたのがマタハラ(マタニティーハラスメント)だったんだと認識されて相談がきたのではないかと思います。」

マタニティーハラスメント いま職場で何が

鈴木
「私たちの年代からすると、働きながら、子どもを産み育てるというのは、もう当たり前の感覚になっているわけですよね。
そういう中で、こうして苦しんでいる方の実態を見ると、やっぱり妊娠・出産というものに、また1つ大きな不安が加わりますね。」

阿部
「この『マタニティーハラスメント』ということば、あまり聞いたことがなかったのですが、実態としては、かなり広がっているようですね。」

内田記者
「そうですね、このことば自体は、数年前から、女性を取り巻く問題に詳しい専門家の間で取り上げられてはいたんですけれども、一般の人に知られるようになったのは、ようやく最近のことなんです。
ただ実態としては、セクハラですとか、パワハラと同じように、非常に深刻だというのは、見ていただいて、分かっていただけたかなと思います。」

鈴木
「育児休業制度ですとか、短時間勤務といったような、妊娠・出産しても、働き続けられる制度としては整えられているし、守られているはずですよね?」

内田記者
「そうなんですね。
例えばVTRでは、退職を強いられたという女性が出てきましたけれども、
妊娠ですとか出産を理由に、解雇・雇い止めをするということは法律で禁止されているんですね。
少子化で労働力人口が減る中で、経済成長の観点からも、働く女性が産み育てやすい社会の実現というのが、国の政策にも盛り込まれています。
しかし、リーマンショック以降、企業が人員削減を進めていることで、職場に余裕がなくなってきています。
働きながら、子どもを産み育てようという女性への風当たりが強くなっている、というのが現状なのだと思います。」

“職場の風土を変えよ”

鈴木
「こうした現状を、どのようにして変えていったらいいんでしょうか?」

内田記者
「専門家は、『マタニティーハラスメント』の背景にある、職場の風土を変えることが大切だと指摘しています。」

女性の活用に詳しいコンサルタント 渥美由喜さん
「(国は)子どもが小さくても頑張れるよう、今までずっと制度を整えてきたが、
制度ができても、風土がまだついていかない。
制度と風土のギャップが、マタニティーハラスメントという形で顕在化。
(職場から)誰かがいなくなることは、これからは当たり前に増えてくる。
育児だけじゃない、介護もそうですし、家族の看護。
業務をカバーしあえる、共有しあえる態勢を作っておくと、リスクに強い職場になる。」

内田記者
「急に仕事を休まなければいけなくなるのは、育児に限った話ではないと思います。
高齢化が急速に進む中で、男女を問わず、親の介護などで休まざるを得ないケースが増えてくるとみられています。
多くの企業が、こうした変化に対応せざるを得なくなるのは確実です。」

マタニティーハラスメント 減らすために

阿部
「この風土を変えるということですが、『マタニティーハラスメント』を減らしていくために、私たちができることというのは、どんなことなんでしょうか?」

内田記者
「まず、この『マタニティーハラスメント』はいけないことであるということを、加害者側にもなる、それから被害者にもなるということを認識することではないかと思います。
『子どもは女性が家庭でみるべきだ』という価値観の人が、罪悪感なく退職を勧めるということもあると思うんです。
一方で、育児をしながら働く側というのも、肩身が狭い思いをすることもありますので、理不尽だなと思いながらも、諦めている面もあると思います。
働きながら子どもを産み育てる女性でも、仕事の成果を出せる職場にするために、何が求められているのかを、女性の上司、同僚をはじめ、全体で考えることが最初の一歩だと思います。」