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2019年7月8日(月)

仏の教えは? 浄土宗で始まった議論

大切なペットが死んでしまったあと、納骨し供養できるペット霊園が増えてきました。
しかし仏教では、どうしてもできないとされてきたことがあります。
それは、人間と同じ墓に入ることです。
動物は人間とは違い、生まれ変わっても極楽には行けない、と解釈されてきたのが理由だといいます。
ただ、ペットを同じ墓で眠らせてほしいという飼い主は、年々増えています。
仏教のなかでも信者数が多い宗派のひとつ、浄土宗で始まった議論を取材しました。

飼い主と同じ墓はダメ? “仏の教え”をめぐる議論

都内に住む西村さん夫婦はこれまで犬と猫、あわせて7匹をみとってきました。
長年、自分たちとペットが一緒に入れる墓を探していましたが、相談したすべての寺に断られたといいます。
結局、ペット専用の納骨堂で供養してもらうことにしました。
自分たちの墓は、別の場所にあります。

西村宏孝さん
「住む世界が違うということで、宗教界と宗教の倫理上の問題でお断りしたいと。
ほとんどダメです。
全部ダメです。」

人間とペットは、同じ墓に入ることはできない。
これは仏教の六道輪廻とよばれる世界観によるものです。
動物は「畜生」とよばれる苦しい世界に属し、生まれ変わると極楽浄土へ行ける人間とは区別されてきました。

それでも、人間とペットが一緒に入れる墓が欲しいという飼い主の要望は増える一方だといいます。
住職の成田淳教さんは、経典を調べた上で問題はないと判断し、10年前に人間とペットが一緒に入れる墓をつくりました。
希望者は多く、かつてはゼロだった檀家の数が、およそ150にまで増えました。

感応寺 住職 成田淳教さん
「お寺でペットの供養をした人が、一緒に入れるならということで檀家さんになるケースもあります。」

人間とペットが同じ墓に入ることは仏の教えに反しないのか。
浄土宗の研究所には、全国の寺から相談が寄せられています。
研究員の石田一裕さんは、2年前から経典や文献の調査を行っています。
探したのは、六道輪廻で畜生に属する動物が、死んだあとどこへ行くのかを記した記述です。

浄土宗の教えの要とされる経典に、従来の解釈では説明できないことばがありました。
「皆む解脱」、命が終わると動物も含めて、皆が極楽浄土に行けると解釈できるといいます。

浄土宗総合研究所 研究員 石田一裕さん
「地獄と餓鬼と畜生という、仏教でいうところの苦しいところにある生き物が命終わったあとは解脱、仏さんの世界に生まれ変わることだと私は理解しますけども、仏さんの光に照らされて極楽浄土に生まれ変わることができる、ということが書かれている。」

先月(6月)、研究発表を行う学会が開かれ、全国の浄土宗の僧侶が集まりました。
石田さんは、動物も極楽浄土へ行けるため、人間と同じ墓に入っても問題はないという結果を伝えました。
浄土宗では今後、ペットを同じ墓に入れたいという問い合わせがあった場合、「仏の教えに反することはない」と答える方針です。

浄土宗総合研究所 研究員 石田一裕さん
「聴衆のみなさんとは、ある程度、意見が共有できたかと思う。
教理がしっかりと大丈夫という形。
まずこれを提供していくのが私の一番の仕事になるかなと思ってます。」

他の宗派はどうなのか。
信者数が多いとされる浄土真宗本願寺派と高野山真言宗によると、『宗派としての公式な見解は出していない』としています。

今回取材をした浄土宗は、ペットを納骨する際は、その土地の慣習や周りの墓地への配慮が必要になるため、寺とよく相談して欲しいということです。

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