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2019年2月15日(金)

星空に異変が!? 地方に広がる“光害”

冬、夜空には満天の星。
1年で最も星がきれいに見える季節です。
ところが今、この星空に異変が起きています。
「地方」の空が明るくなって、星が見えにくくなっているんです。
街の明かりによる、「光害(ひかりがい)」です。
調べてみると、思わぬところにまで影響が出ていることが分かってきました。

街の明かりが星空に…

リポート:杉田沙智代(社会部)

愛知県の山あい。
東栄町にある天文台です。
この町は、「本州で最も星が見える町」に選ばれたこともあります。

今週日曜日の午前1時、東の空は無数の星で埋め尽くされました。
ところが、同じ時間の西の空は明るくなっています。
西は、街の明かりに照らされて、星が見えにくくなっているのです。
そのため、この天文台で行っているのが…。

「せっかくなので西の空を紹介しようと思うんですけど。」

肉眼では見えにくい星を、プラネタリウムで見せています。

「大きな街の明かりが、この2〜3年、明かりが強くなってきました。
“光害”と言うんですけど。」

光の原因は“防犯意識の高まり”

こうした現象が近年、全国に広がってきています。
環境省が行った、最新の調査の結果です。

黄色から赤になるほど夜空が明るく、星が見えにくくなることを示しています。
地方の山間部でも、人工的な光によって星の観測に影響が出始めていることが分かります。
光の影響が広がっているのは、防犯意識の高まりによって、街灯が増えていることが大きな理由です。
LED化が進んで、1つ1つの街灯も明るさを増しています。
さらに、深夜まで営業するコンビニなど、生活に欠かせない店舗が増えていることも影響しています。

“光害” 農作物にも影響が

明かりが増えたことで、思わぬ所に影響が出ていることも分かってきました。

街灯に照らされた、この田んぼ。
昼間と並べてみると、夜、街灯が当たっている部分が青いままなのが分かります。
ここだけ生育が遅れて、稲穂が出ていないのです。
こうした生育不良は、全国で報告されています。

内田隆さん
「照明が明るかったのは事実。」

去年(2018年)この男性の田んぼで、およそ1割のイネが十分に実らず、商品になりませんでした。

内田隆さん
「何でだろう。
作り方が悪かったかなと、最初はちょっと分からなかった。」

原因と見られるのが、隣接する24時間営業の飲食店の照明です。

去年5月に設置されてから11月に向きを変えるまで、田んぼの一部を照らし続けました。
光の影響はイネの他に、ホウレンソウや小松菜、枝豆などでも確認されています。
ホウレンソウは、早く花芽がついてしまうことで葉っぱに十分な栄養がいかず、商品価値がなくなりました。
なぜ照明が農作物の生育に影響を及ぼすのか。

山口大学の山本晴彦教授です。
農作物が夜も照明を浴び続けると、体内時計が狂って季節を勘違いすると指摘します。

山口大学 農学部 山本晴彦教授
「昼と夜が、人間のように植物にもあって、“日が短くなる”経験をすることで、植物は花を咲かせて、穂をつける。
それが照明によって出来ない状態。」

そこで開発したのが、この街灯です。

山口大学 農学部 山本晴彦教授
「イネの光害を阻止できるLED照明。」

人間の目には普通の照明に見えますが、実は1秒間に数千回、点滅を繰り返しているのです。
超高速で点滅していると、農作物は照明が消えているように感じると言います。

山口大学 農学部 山本晴彦教授
「(光害の)認知度、知っている方が少ない。
農家の方が泣き寝入りではないが、我慢する場合もある。
明るい照明・道路を形成するには、光害を阻止する照明が必要になってくる。」

無駄な光を抑える対策

高瀬
「街頭が農作物の成育に影響が出るというのには驚きましたけど、ただ街頭は私たちの生活、防犯という意味では欠かせませんし、減らすわけにはいきませんよね。」

和久田
「環境省によりますと、照明の向きを変えたり、光を抑えるカバーを付けたりするだけでも無駄な光を抑える効果があるので、こうしたことで対策できるということです。」

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