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2019年2月13日(水)

若者のきつ音 悩み減らすために

大学生
「…きつ音で苦労して…悩んでました。」

会話の際に、言葉を繰り返したり、詰まったりする「きつ音」。
全国で100万人が悩んでいるとされ、特に子どもや若年層による苦しみの声が目立ってきています。

ツイッターより
“会社辞めたいな。きつ音がひどすぎて仕事が辛すぎる”

ツイッターより
“なんで言葉が出ないん”

ツイッターより
“死のかな”

高瀬
「きつ音は脳の機能障害によって引き起こされる言語障害で、原因はわかっていません。
学校で、からかいやいじめの対象になったり、職場でも、仕事に支障をきたし、悩みを深めてうつ病になる人もいます。」

和久田
「周囲に理解されにくい中で、若い当事者同士が語り合い、悩みを減らしていこうという取り組みが全国で始まっています。」

若者のきつ音 悩み減らすために

リポート:川崎寛司アナウンサー(NHK福島)

福島県郡山市。
この日、福島県内で初めて、きつ音に悩む人を中心に11人が集まりました。

大学生
「…歩み寄ってくれる。」

これは「連発」と呼ばれ、最初の言葉を繰り返す症状。

専門学校生
「高校入るときは…。」

他にも、言葉が思うようなタイミングで出てこない「難発」という症状もあります。

女性
「私はきつ音のことをずっと隠してきてて。」

この女性は、ふだんはほとんど症状が出ないものの、電話をするときに限って、言葉が出なくなると言います。
この集まりを主催した、言語聴覚士の黒澤大樹さんです。
自らにもきつ音があります。
きつ音がある人は、自分の中にこもりがちになるため、みんなで悩みを共有する場が必要だと考えました。

言語聴覚士 黒澤大樹さん
「自分以外の当事者に出会ったことがない方がほとんどなので、悩んでいるのは自分だけじゃないことを実感できる。」

自分から話さなくなり、孤立に

この日、机をたたき、リズムを取りながら言葉を発していたのは、中学2年の結城南海(ゆうき・なつみ)さんです。

中学2年 結城南海さん
「リズムがとれてしゃべりやすいので、その方がスムーズに(言葉が)出てきます。」

南海さんにきつ音の症状が出始めたのは、小学2年の時。
原因はわかりませんが、他の子どもたちと発音が違っていきました。
「あいうえお」の母音やハ行、ヤ行など、特定の言葉が詰まって出にくくなったのです。

中学2年 結城南海さん
「…はなぐもりって何?
梅ぼしのおかし…好きなんやな。」

中学2年 結城南海さん
「ここ(のど)にふたをされているみたいに…息は出るんですけど、言葉とか文字が口から出てこな…いです」

きつ音が発症した南海さん。
学校で友達にしゃべり方をまねされ、からかわれ続けました。
次第に、自分からは話さなくなり、孤立していったと言います。

中学2年 結城南海さん
「(きつ音が)出た後は(友達は)ごっそり減った。
どうせ周りから人が遠ざかるなら、自分から話さなきゃいいんじゃないかと壁を作っていた。
(他の人が)うらやましいなとは思いました。
もしも自分が、このきつ音がなかったら、自分もこういうふうに楽しそうに話せているんだろうなとは思いました。」

母親 結城さとみさん
「つらいのひと言ですよね。
もしかして、家庭での関わり方がよくないから出たんじゃないか、育て方が厳しすぎたから、こういうふうに出たんではないかと自分を責めた。」

転機は「ことばの教室」 そして家族の協力も

転機となったのは、小学3年生から、週に1回通うようになった「ことばの教室」です。
ことばに心配のある子どもを指導するため、教育委員会が学校に設置しました。

文章の音読を通して、自分が言いやすい音と言いにくい音を認識し、楽なスピードで読むなどの練習を重ねました。
家でも、家族全員が協力しました。
3つ下の妹と一緒に、漫画で、好きなキャラクターになりきって、音読の練習。

中学2年 結城南海さん
「プハー、風呂上がりの麦茶はうまい。
みきこ、宿題もうやったの?」

楽しみながら続けたことで、以前よりも、つっかえずに読めるようになりました。
また母親も、周囲の接し方について「ことばの教室」で学んだことを実践しました。

母親 結城さとみさん
「せかさないこと、大きく相づちを打って、お母さんはあなたの話を聴いていますよということ。
あまり腫れ物に触るような扱いを、態度をとらない。
自然な態度でいる。」

中学2年 結城南海さん
「あ、ちゃんと聴いてくれているんだなとは思った。
うれしかった、もっと話したいなと思いました。
きつ音は治らないかもしれない。
でも、支えてくれてたり、応援してくれたりしているので、自分のやりたいことに一生懸命頑張りたいって思います。」

きつ音 全国100万人 周囲の対応は

和久田
「取材した、NHK福島の川崎アナウンサーです。
全国で100万人もの人が悩んでいるということですが、周りの人はどんなことに気をつければいいですか?」

川崎寛司アナウンサー(NHK福島)
「きつ音の専門医である、九州大学の菊池良和医師に話を聞きました。
『言葉を言い直させない』、そして『代弁をしない』つい言葉を先取りしてしまいがちになりますけれども、それはしない。
『せかさない』、そして『話を途中でさえぎらずに、最後までしっかりと聴く』などの配慮が重要だとしています。

取材を通して感じましたけれども、きつ音の方は、“なぜ自分は人と同じように話せないのだろう”“自分は何なのだろう”と、自分の存在意義まで疑ってしまうケースが多いです。
ですから、周りの人たちは、“味方なんだよ”“1人じゃないんだよ”という温かい姿勢が大切だと改めて強く感じました。
きつ音の悩みを相談したいという方は、各都道府県の『言語聴覚士会』や当事者を中心に作られた『言友会』に問い合わせると、悩みに応じた対応をしてくれるということです。」

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