これまでの放送

2019年2月7日(木)

日本で学びたい外国人の子どもたち 進学の壁

高瀬
「外国人労働者の受け入れ拡大が進む中、浮かび上がってきた課題についてです。」

和久田
「外国人の子どもたちは日本の高校への進学が難しいんです。
高校で学び、日本で活躍したいと考える子どもたちに立ちはだかる壁とは。」

日本の高校に進学したい 将来の夢を実現するために

リポート:山屋智香子(社会部)

都内でNPOが運営する、外国人の子どもたちの支援教室です。
この日は、高校受験に向けた、日本語の授業が行われていました。

講師
「“長所”は何でしたか?」

ネウパネ・サミサさん
「自分についての良いところ。」

ネパール人のサミサさん。
今年(2019年)都立高校を受験します。
サミサさんは、日本で調理師として働く両親に呼び寄せられ、14歳の時に来日。
都内の公立中学校に編入し、日本語を一から学んできました。
サミサさんが高校への進学を目指すのは、看護師になりたいという夢があるからです。

ネウパネ・サミサさん
「病気で困っている人たちを手伝いたい。
日本の高校へ行って、将来の夢を実現したい。」

外国人のための“特別入学枠” 倍率3倍超の高校も

しかし、サミサさんにとって高校への進学は簡単なものではありませんでした。
去年(2018年)都立高校を受験したものの失敗。
外国人のために設けられた“特別枠”が狭き門となっているからです。
この特別枠は、学力があっても日本語の能力が追いつかず、試験問題が理解できない子どものために設けられた枠です。
日本人の受験生と切り分けて試験を行います。
ところが都内の場合、この枠を設けている公立高校は全体の1割以下のわずか7校。募集定員も少なく、中には倍率が3倍を超えるところもあります。
夢を諦めきれず、1年間浪人したサミサさん。
先月(1月)二度目の入試に挑戦し、ようやく合格しました。

ネウパネ・サミサさん
「つらかった。
いま、よく考えると、私、頑張ったなと。」

支援教室を運営するNPOは、もっと特別枠を広げるべきだと訴えています。

YSCグローバル・スクール ピッチフォード理絵さん
「学力自体に問題はほとんどないけれども、一番大きな壁は“日本語”。
外国人の高校進学希望者が入りやすい体制、十分なサポートが行われることを祈る。」

“特別入学枠” 地域によって格差

高瀬
「取材した山屋記者とお伝えします。
この外国人の特別枠というのは、全国ではどれくらい設けられているんですか?」

山屋記者
「まだ広がっていないのが現状です。

愛知淑徳大学の小島祥美准教授が2年前に調査した結果、例えば都道府県では、枠を設けているのは、東京や大阪など22都府県にとどまっていました。
『特別入学枠』がなくても、試験問題にルビを振ったり、辞書の持ち込みを認めたりするところもありますが、これも全てで行われているわけではありません。」

和久田
「全国で統一されているわけではないんですね。」

山屋記者
「さらにこの特別枠を受験できる条件も自治体によって異なり、地域によって格差が生じているんです。
こうしたことから進学をあきらめた人もいます。」

2年前にパキスタンからやってきた、ラシドさんです。
特別枠を受けられずに日本人と同じ一般枠を受験するしかなく、進学を断念しました。

ウラ・ラシドさん
「高校に行って、電気の勉強を続けて、電気のエンジニアになりたかった。
途中で自分の夢を諦めたことは、本当に残念。」

高瀬
「何とかならなかったのかと思いますね。」

山屋記者
「そうですね。
さらに取材を進めると、高校入試を受ける資格という壁にも、多くの外国人の子どもが直面していることが分かってきました。」

“高校入試を受ける資格”も壁に…

ネパールから来日したクリシュナさん、18歳です。
昼は父親が働いているカレー店を手伝っています。
クリシュナさんは高校への進学を希望していますが、これまで入試を受けられませんでした。

ロカ・マガル・クリシュナさん
「ネパールで中学を卒業しなかったので、高校も行けない。」

クリシュナさんは、現地で中等教育を終える前に両親に呼び寄せられて来日しました。
その後、日本の中学校に通おうとしましたが、すでに16歳になる年度に入っていて、編入できる年齢を超えていました。
中学校に編入できなかったクリシュナさんは、年齢の上限がない夜間中学に通うことにしました。
学校は自宅から離れていて、毎日1時間あまりかけて通学しています。
3年間通い続けて、ようやく中学の卒業資格を得られる見通しとなり、今年高校入試にチャレンジします。

ロカ・マガル・クリシュナさん
「しっかりと勉強しているので、卒業証書をもらって高校に行こうと思う。」

こうした夜間中学では今、外国人が大幅に増加しています。
その一方で、全国ではわずか31校しかなく、夜間中学に通いたくても通えない子たちが多くいると見られています。

夜間中学 教諭 佐野浩美さん
「外国人だから、国籍がないからといって学ぶ機会が失われるのは悲しい。
公のサポートシステムはあるべき。
それが整えば彼らはもっと日本で力を発揮できる。」

「学びたい」に応えるため 早急な対策を

高瀬
「この夜間中学も少ないということなんですね。」

山屋記者
「国は今、全国に整備を進めようとして、検討を進めているんです。
文部科学省によりますと、今や夜間中学全体の生徒のうち、およそ8割が外国人だということなんです。
先ほどの小島准教授は『外国人の特別枠や夜間中学は自治体で格差があるので、国が主導して格差をなくし、支援を充実させるべきだ』と指摘しています。」

和久田
「『学びたい』という気持ちには応えてあげたいですよね。」

山屋記者
「取材した外国人の子どもの多くは、高校に進学してより高い能力を身につけて、日本で働き続けたいと願っていました。
国は外国人の受け入れを拡大するのであれば、こうした高校に進学したい子どもたちが、日本人と同じように学んでいける対策を早急に検討するべきだと思います。」

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