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2018年11月22日(木) NEW

発達障害・初の全国調査 生活での悩みとは

高瀬
「特集は『発達障害』についてお伝えします。」

当事者の声を集める 全国で初の調査

和久田
「発達障害は、脳機能の発達がアンバランスであることによるもので、『コミュニケーションが苦手』『片づけられない』『読み書きが難しい』など、特性のあらわれ方は人それぞれです。」


高瀬
「今回、全国ではじめて当事者の声を集める調査を行ったところ、日常生活の中でさらにさまざまな悩みを抱えていることが分かってきました。」

見えてきた生活の中での困りごと

報告:堤早紀(おはよう日本)

国立障害者リハビリテーションセンターです。
調査は8月から、和田真さんを中心に行われています。

国立障害者リハビリテーションセンター研修所 発達障害研究室 和田真室長
「最近の研究で、知覚・感覚・運動レベルの障害が、本人の生きづらさの根本にあることが分かってきたので、それを調べる必要があると考えました。」


これまでに寄せられた当事者からの回答は300。
その1つ1つから、あまり知られてこなかった生活の中での困りごとが見えてきました。
最もつらいと感じる感覚についてたずねたところ、40%以上が「聴覚」と答えました。


多いのは、特定の音に対して過敏になってしまうということです。
たとえば、「電子音が突き刺さる」と答えた人は、レジでバーコードを読み取る、ピッという音が苦手です。
また、換気扇が気になる人や、赤ちゃんの泣き声に耐えられず、調子を崩したという人もいます。

次に多かったのは「視覚」。
11%の人が困難を訴えました。
中でも目立つ一例が、「光がまぶしくて集中できない」という回答です。
これは、発達障害の人が見ている光景をイメージした映像です。

明るいところはよりまぶしく見え、痛みを感じる人もいるといいます。

読み書きが上手くできない『ディスレクシア』

調査に協力した藤堂栄子さんです。
大学を卒業し、2人の子どもを育て上げましたが、小さい頃から、周りとは違うと感じてきたといいます。
46歳のときに息子が診断されたことがきっかけで、学習障害のひとつ、読み書きが上手くできない『ディスレクシア』だと分かりました。

藤堂栄子さん
「周りからは『どうしてやらない?』とか『ずぼらです』とか言われることがすごくありました。
どうしてこんなに出来ないんだろうとすごく謎だったんです。」


藤堂さんが最も悩まされてきたのは、「視覚」の問題です。
目から入ってくる文字などの情報をうまく判別することができません。
たとえば、「ふりがな」。


この欄に、平仮名ではなくカタカナで記入しますが…。
藤堂さんの場合、ここに「ふりがな」を書くということは認識できても、それを「カタカナ」で書くという情報までは入ってきません。

藤堂栄子さん
「私にとってはどっちも『かな』なので。
その音が分かればいいと思っているというだけの理由で、私は『ふりがな』をどっちで書かなくちゃいけないというところまで結びついてない。
訂正印で真っ赤になっていくんです。
見た目も美しくないし、何をどうやったらいいのか、すっかり分からなくなってしまう。」

さらに藤堂さんは、「聴覚」にも問題があると言います。
静かな場所での1対1の会話はできますが、そこにたくさんの音が加わると、相手の声だけを聞き取ることができなくなってしまうのです。

藤堂栄子さん
「いろいろな音が一度に洪水みたいに入ってくるのが疲れる。
情報を受け取りすぎるのかな、フィルターがうまく作動していない感じ。」

ひとりで抱え込まないことが大切

藤堂さんはいま、同じように悩む人たちに困難を抱えながらも工夫してきた経験を伝えています。

この日は、普段持ち歩いている、ヘルプマークを紹介しました。
外見からはわかりにくい障害のある人などのために配布されていて、手助けしてほしい内容などを記入できます。

藤堂栄子さん
「『ディスレクシアなので、書類や契約書など説明を丁寧に分かりやすくお願いします』『記入の際、お手伝いお願いします』と書いています。」

藤堂さんは、自分が何ができないかをよく知り、ひとりで抱え込まないことが大切だといいます。

藤堂栄子さん
「出来ないけれども、これなら出来るよとか、こうやったら出来ると伝えられるようにする。
手伝っていただいた方が効果的だったり効率のいいこと、うまくいくこともいっぱいありますので、手伝っていただくことが大事かなと思います。」


国立障害者リハビリテーションセンター研修所 発達障害研究室 和田真室長
「日常生活の中での生きづらさから、うつや不安症といった生活の質、QOLを下げてしまう。
こういった問題を持つ方がたくさんいることを知っていただくこと、周囲の理解そのものが、生きにくさの軽減につながる。」

支援につなげる調査への協力 12月28日まで

高瀬
「調査では『聴覚』や『視覚』だけではなく、『触覚』、たとえば水に触れることが苦痛でなかなか入浴できないという人や『嗅覚』では、柔軟剤など特定の匂いから頭痛や吐き気をもよおす人などもいました。
まずは、さまざまな生きづらさを抱えている人がいるということを知ることが必要だと感じます。」

和久田
「この発達障害の感覚に関する調査ですが、さらに多くの声を集め、支援機器などの研究開発につなげていきたいということです。
国立障害者リハビリテーションセンターでは、12月28日まで、調査への協力を呼びかけています。」

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