これまでの放送

2018年11月19日(月)

少女たちが集う“夜間バス”

和久田
「いま、SNSでのやり取りをきっかけに、性被害などにあう、18歳未満の子どもが増え続けています。
中には、殺人や誘拐に巻き込まれる深刻なケースもあります。」

高瀬
「こうした犯罪から少女たちを守ろうと、新たな試みが始まっています。
少女たちがさまよう繁華街の中心に居場所を作ろうというものです。
ある1日の活動を取材しました。」

歓楽街のピンク色のバス

報告:宣英理(おはよう日本)

歓楽街、歌舞伎町がある新宿区。
その一角に、先月(10月)、1台のバスがあらわれました。
10代の少女たちを対象にした、『TsubomiCafe(ツボミカフェ)』。


週に1度、新宿と渋谷で夕方6時から11時ごろまで開かれています。
開始早々、事情を抱えた少女たちが集まってきました。

スタッフ
「友達の家を転々としてるの?」

少女
「1年前くらいから転々としてて…」

ここでは、あたたかい食事やスマートフォンの充電も無料でできるようになっています。
さらに、バスの中でも…。

スタッフ
「ズボンとか、もしサイズ合えば。」

少女
「ズボン、ボロボロなんですよ。」

少女
「くつ下とアロマ、あとこのジーンズももらいました。」

洋服や生理用ナプキンなど、生活に欠かせない日用品も、無料で提供しています。

行き場のない少女の助けになりたい

スタッフ
「10代?」

少女
「高校生です。


スタッフ
「無料でごはん食べられるけど、来る?」

このバスでは、街にいる少女たちに直接声もかけています。

取り組みをはじめた団体の代表、仁藤夢乃さんです。
中高生世代の少女たちのサポートを行なっています。
仁藤さんも10代のころ、両親の不仲が理由で家に居場所がなく、夜の街をさまよう生活を送っていました。

一般社団法人Colabo 仁藤夢乃さん
「誰かに相談しようとか思いつかないし、別に人も信用していないっていう感じですべて諦めていた。」

同じように行き場のない少女の助けになりたいと、7年前(2011年)、活動を始めた仁藤さん。

仁藤夢乃さん
「もし何か困ったことあったら連絡して。」

しかし、街での声かけだけでは、少女たちが警戒し、なかなか支援につなげることができずにいました。
そこで始めたのがこのバス。
少女たちがいる街の中心に居場所を作ることで、時間をかけて関係性を作っていきたいと考えたのです。
厚生労働省と東京都の委託を受け、新宿区・渋谷区と連携して行なっています。

仁藤夢乃さん
「『バスがあるからよかったら来てね』とか、『ごはん食べにおいでよ』という形で声をかければ、その場所での女の子たちとつながって、関係性をつくることができると思っています。」

「もっとはやく出会いたかった」

スタッフたちと気軽に話す、一人の少女がいました。
高校3年生のマナミさん(仮名)です。
マナミさんは中学生のころ、一緒に暮らしていた母親のパートナーから、日常的に暴力を受けていました。
家を飛び出し、行くあてもないまま、新宿の街をさまようこともありました。
そうした時声をかけて来るのは、性行為を求める男性ばかりでした。

マナミさん(仮名)
「全然知らない場所だったからやっぱり怖かった。
誰に頼ればいいんだろうって思ってたし、自分も悪いのかなって。
我慢すればいいのかなって思ってて。」


マナミさんが仁藤さんと出会ったのはそのころでした。
以来、一緒にごはんを食べたり、話を聞いてもらったりする中で、少しずつ気持ちが楽になっていったと言います。

マナミさん(仮名)
「ここは、助けてくれるってわけじゃないけど、一緒に考えて、最終的に自分で決めることができる。
もっとはやく出会いたかった、本当に。」

まず、少女自身がどうしていきたいのか

終了間際。
開始当初からバスでくつろいでいた少女が仁藤さんを呼び止めました。

仁藤夢乃さん
「家出して言われない?
(親から)連絡は?」

少女は家出をして3日目でした。
母親との関係がうまくいかず、自殺を考えるほど追い込まれていたのです。
仁藤さんは支援の話を切り出す前に、まず、少女自身がどうしていきたいのか問いかけます。

仁藤夢乃さん
「親のことも諦めきれなくて、離れられないというのはあったから、すごいよくわかる。
親も悪魔みたいだからやってるわけじゃなくて、親もいっぱいいっぱいっていうのを一番近くで見てるじゃん。
どうするのがいいかな、これから。」


親元に戻るのか、施設での保護を求めるのか、本人の決断を待って、その後1時間話し合いました。
この夜は、まずは安心して眠れるよう、宿泊場所を提供することにしました。

どうしていきたいか考えられる場に

これまで4回の開催で、バスにやって来た少女はおよそ60人。
仁藤さんは、一人でも多くの少女たちと出会い、支えになれたらと考えています。

一般社団法人Colabo 仁藤夢乃代表
「街でさまよっていた子たちだけじゃなくて、ネット上でさまよっていた子たちも出てきて、会いに来てくれたんだなと、うれしく思いました。
その子がどうしていきたいかを一緒に考えたり、ちょっとでも休んで考えられる場所になるといい。」

毎週水曜日 新宿・渋谷で交互に実施

和久田
「このバスに来た少女たちの中には、その後、保護施設に入るなど、支援につながっていくケースも出ています。」

高瀬
「今後も毎週水曜日、新宿と渋谷で、交互に実施していくということです。」

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