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2018年10月30日(火)

景気好調なのに激安競争?日本経済のいま

和久田
「少し変わった角度から、日本の消費者心理を探ります。」

景気は上向きなのに激安競争?

居酒屋の価格競争が激しさを増しています。
ビーフステーキが290円。
サワーは一杯190円。
千円程度で酔えることから”せんべろ”酒場と呼ばれています。


街の人
「安くいっぱい飲めたらいい。」

街の人
「サラリーマンはあんまりこれ(お金)がないから、安いところを狙いたい。」


さらには”せんべろ”ならぬ”半べろ”酒場も登場。
この4品で500円です。


景気がよくなっているといわれるなかでも続く激安競争。
いったい日本経済はどうなっているのでしょうか。

物価上がらず・好循環にはなっていない

高瀬
「取材にあたった経済部の渡部圭司記者とお伝えします。
安い居酒屋、賑わってましたね。
日本の景気、実際にはどうなんでしょうか。」

渡部圭司記者
「景気は緩やかな回復を続けています。
日銀は今日(30日)と明日(31日)、金融政策を決める会合を開きます。
ここで最新の状況を点検しますが、日銀の思うようになっていない面もあるんです。
それが、こちら。
景気がよくなると、企業の業績が上がり、給与が増えます。
すると消費も伸びるので、次第に物価も上がっていくはずなんです。
ところが、景気が良くなっても物価はなかなか上がっていない。
これが今の状況なんです。」


和久田
「本来なら、物価も上がるけどその分さらに企業の業績が上がって給与も上がり、という好循環に今はなっていないんですね。」

渡部記者
「そうですね。
その背景に何があるのか。
日銀の政策分析の第一人者、エコノミストの加藤出さんと消費の現場を歩いて来ました。」

平均客単価 1,500円

訪れたのは、安さを売りにしている居酒屋チェーン店。
いま、会社員などから人気を集めています。
日銀ウォッチャーの加藤さん。
日本経済を映す鏡だという、居酒屋やB級グルメの店に足しげく通い、リポートにも掲載しています。
この店の看板メニューは、生ビールにウイスキーを混ぜたこちら、290円。

安く酔えると人気。
さらに串カツは1本99円です。

  

東短リサーチチーフエコノミスト 加藤出さん
「99円とは思えないですね。」

安さの理由は「おしぼりがない」「刺身に大葉がない」など徹底したコストカット。
平均客単価はおよそ1,500円です。

染みついた 強烈な“デフレマインド”

景気が回復してもこうした店が人気をあつめる理由。
加藤さんは、長年のデフレで根づいた「少しでも安く買いたい」という消費者心理、“デフレマインド”が背景にあるといいます。

東短リサーチチーフエコノミスト 加藤出さん
「日本人に染みついてしまった、強烈な“デフレマインド”。
国民の節約志向は依然として続いているのをどこに行っても実感します。」

渡部
「この5年でそこは変わってないと?」

東短リサーチチーフエコノミスト 加藤出さん
「少し変わってきた感じもあったと思うのですが、最近また節約志向に戻ってしまった感じもある。
値上げにチャレンジした店がうまくいってないケースもあちこちで見られます。」

賃金増えず 将来の不安拭えない

なぜ、景気は良くなってもデフレマインドはなくならないのか?
じつは従来、消費の要となってきた40代前半の男性の正社員は、月々の賃金がこの10年でおよそ5万円近くも下がっています。
失業率が下がり、一見、景気がよくなったように見えても、賃金が増えない人は将来への不安が拭えない。
加藤さんは、それがデフレマインドを生み出しているといいます。

東短リサーチチーフエコノミスト 加藤出さん
「根本的な問題があって、多くの国民は、まだ給料やボーナスがそんなに増えていない。
先行きの社会保障制度を楽観することはなかなか難しい。
そこの問題をいかに和らげるかという対策をとらないと、消費者の財布のひもは緩みにくいかと思います。」

「今も変わらず お金・値段に敏感」

いま、居酒屋経営は“デフレマインド”との戦いです。
過去には一部の商品を10円値上げしただけで客が減ったこともあるといいます。
そのため材料の仕入れはグラム単位で調整、この1年、値上げはせずに踏ん張ってきました。

「ほうれんそうも若干減らすか…20グラム減らしてみよう。」

「そうですね。」

この店が創業した10年前と比べても、客の財布のひもは緩んでいないと感じています。

居酒屋チェーン執行役員 谷酒匡俊さん
「確かにその当時も景気良くなかった。
お金・値段に対して、すごく敏感でした。
今も変わらず敏感だと思います。」


渡部
「日本の今後の景気はどうか?」

東短リサーチチーフエコノミスト 加藤出さん
「ここ数年、日本経済がよくなってきた背景は、海外経済が元気だったことにおっています。
そこがかげってしまうと、景気失速が早くやってくる恐れはあります。
注視して見ていく必要があると思います。」

企業が抱える現金・預金 260兆円

高瀬
「見ている皆さんからすると、『給料を増やして!』というところにすべて行き着く気がしてしまうのですが。」

和久田
「上がらないんですか?」

渡部記者
「そうですよね。
ところが、企業の経営者にも将来への不安があり、積極的に給料を増やせていないと加藤さんは言います。
手元になるべくお金を持っておこうとしているため、企業が抱える現金や預金は260兆円と過去最高に膨らんでいるんです。
最近は、アメリカと中国の貿易摩擦などを背景に、この先の景気に懸念が出始め、世界的に株価も下落していますが、こうした不安をはねのけてどう戦略的に資金を使っていくかが企業に問われていると思います。」

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