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2018年10月22日(月)

主婦が教える『JAPANESE』

高瀬
「日本で働く外国人が、ここ5年で1.8倍と急増する中、主婦が教える日本語教室が人気を集めています。」

和久田
「生きた日本語が身につくという、その秘密に迫りました。」

外国人と交流してみたい

報告:藤田大樹(映像取材部)

日本語教室の講師をつとめる、主婦の馬上恵さんです。
画面の向こうにいる生徒は、日本でシステムエンジニアとして働く、ベトナム人です。

馬上恵さん
「“ご”か“お”か質問します。
『からだ』。」

生徒
「おからだ。」

馬上恵さん
「正解。
『おからだ』です。」

馬上恵さん
「ゆっくり。」

生徒
「ごゆっくり。」

馬上恵さん
「正解、おって言うと思った。」

この教室は、講師になるのに特別な資格は不要です。
馬上さんも日本語を教えた経験もなく、英語も話せませんが、外国人と交流してみたいと、1年前、思い切って応募しました。

馬上恵さん
「外との接点もなくて、家の中だけの生活。
自分が世間知らずになっていくような感覚もあって。」

手軽さが魅力

この教室を運営しているのは、インターネットで教育サービスを行う会社です。
面接をクリアすれば、誰でも講師に登録できます。
7割近くが主婦です。
レッスンの料金は自分の能力に応じて、自由に設定できます。

馬上さんは、1コマ25分、390円で教えています。
生徒の外国人にとっても、この教室の手軽さは魅力です。
職場の人には聞きづらい敬語の使い方も、他愛のない会話の中で、自然と覚えていくといいます。

ベトナム人の生徒
「仕事終わってから遅い時間、休みの時間にオンラインレッスンに参加できる。
安いと思います。」

世界が広がり 今までにない充実感

講師を始めて1年。
馬上さんは、今までにない充実感を得られるようになりました。
家事や子どもの世話で終わっていた夜の時間が、自分の世界を広げる時間に変わったのです。
子どもが寝静まった夜9時。
この日の生徒は、岩手県で働くアメリカ人です。

馬上恵さん
「久慈祭りはどうでしたか?」

生徒
「楽しかった。
写真あります。」

馬上恵さん
「お!晴れてますね。
子どもたちが何か引っ張ってますね。
真ん中の大きいのが、メインのおみこし、山車?」

馬上恵さん
「いろんな国の生徒さんとお話することで、自分自身もいろんな知識、見聞が広がって。」

「自分もできるだけのことはしたい」

自分のスキルを高めようという意欲も湧いてきました。
これまで足を向けたことのなかった図書館に通い、日本語の文法を改めて学び始めました。

馬上恵さん
「生徒さんも仕事とか学生さんだったり、時間が無い中でわざわざ私のレッスンを予約してくれて、勉強しようという気持ちでいてくれてるので自分もできるだけのことはしたいという気持ちで勉強しています。」

語学だけでない 学びの場

主婦による日本語教室は、生徒の外国人にとって、語学だけでない学びの場になっています。
3か月前から受講している、ベトナム人のド・ゴック・ハイさんです。
IT企業で働いています。
ハイさんのような外国人労働者はいま、過去最高の127万人。
しかし、日本になじめないと感じる人も少なくありません。
ハイさんも日本に溶け込みたいと考えていますが、1日中パソコンと向き合うだけで、家に帰っても1人。
日本人と話す機会がほとんどないといいます。

ド・ゴック・ハイさん
「ちょっと苦しいです。
せっかく日本にいるのに。
いつも自分だけで寂しいです。」

そんなハイさんにとって唯一の楽しみが、週1回の馬上さんとのレッスンです。
会話力以上に役に立ったのは、馬上さんの、主婦ならではの知識でした。

馬上恵さん
「(スーパーで)夜8時くらいになると値下げのシールが貼られるので、(肉を)ちょっと多めに買って、ラップに包んで冷凍しておけば1か月くらい問題なく食べられますよ。」

ド・ゴック・ハイさん
「できますか?」

馬上恵さん
「できます、できます。」

簡単に作れる家庭料理のレシピも教えてくれます。

馬上恵さん
「カレーは簡単。
(材料は)お肉と野菜、一般的にはじゃがいも、にんじん、たまねぎ。」

ド・ゴック・ハイさん
「それだけ?
簡単ですね。」

1コマのレッスンが、日本での生活にハリを与えてくれます。

ド・ゴック・ハイさん
「この時間は1日の中で一番楽しい。
教えてくれて、話してくれて感謝です。」

「ちょっと親のような気持ち」

カレーのレシピを教わってから5日後。
楽しみにしていた、日本語教室の時間です。

ド・ゴック・ハイさん
「一番先生に見せたいのは、カレーの写真ですね。」

馬上恵さん
「え、作った?」

ド・ゴック・ハイさん
「おくりました。」

馬上さんのレシピ通りのカレーを作り、さっそく報告です。

馬上恵さん
「ちょっと親のような気持ちになります。
もっと多くの国の人と話していきたいし、続けていきたいと考えています。」

主婦と外国人がつながる、レッスン。
暮らしに彩りをそえる、ひとときです。

お互いのニーズが一致したマッチング

高瀬
「意外な組み合わせですけれども、お互いニーズが一致したマッチングということなんですね。」

和久田
「そうですね。
仕事上必要な日本語のスキルももちろんですが、普通におしゃべりをする楽しさをここで知ると、『じゃ、身近に日本人の友人を作ってみよう』という勇気にもつながると思います。
こうしたオンラインで学ぶ日本語教室は急増していて、英語が話せる講師をそろえたり、企業の外国人社員の教育を目的としたりなど、それぞれ特徴を打ち出しながら運営されているということです。」

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