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2018年10月19日(金)

中高生の「ネット依存」93万人

高瀬
「インターネットの利用をやめられない、
いわゆる『インターネット依存』。
今年(2018年)8月、国は、ネット依存が疑われる中学生と高校生が93万人にのぼるという推計を公表しました。」

和久田
「前回5年前の調査と比べて、実に倍近く。
中高生の健康をもむしばむネット依存。
その実態を取材しました。」

「起き上がる事すらもだるく」

神奈川県にある国立病院機構久里浜医療センターです。
年間およそ1,800人が訪れる、ネット依存治療では日本最大の病院です。

ここで治療を受けている、田中光太さん、16歳です。
高校入学後、人間関係がうまくいかず、次第にネットにのめり込むようになりました。

『ネット依存』で治療中 田中光太さん(仮)
「(1日)15時間以上。
目の前にあるティッシュとかも取るのがだるく、起き上がる事すらもだるくなっていた。」

田中さんが特にはまったもの。
それは「オンラインゲーム」でした。
ネット上で、顔も知らない人と会話をしながら進める、オンラインゲーム。
時に協力して敵を倒すことで、強い仲間意識が生まれていくといいます。

『ネット依存』で治療中 田中光太さん(仮)
「(ネットの仲間が)褒めてくれる。
『このランキング1位とってるやん』とか、チャットとかラインで言ってくれて。
『次いつできるか』とか、一緒にやれる時間聞いたり。
楽しい、“ワクワク”と“ドキドキ”ですかね。」

ネット依存の恐ろしさ。
それは、ネットへの欲求が抑えられなくなり、体も動かさず筋力が低下するなど、徐々に体がむしばまれていくことです。
海外では、長時間熱中するあまり、死亡したケースも報告されています。
田中さんも、部屋にこもりっきりになり、高校にも全く通えなくなりました。
家族に対する態度も、目に見えて変わっていったといいます。

田中さん(仮)の母親
「『一緒にご飯食べよう』と言っても、『うるさい!死ね!』と言われました。
食事もとっていない。
顔色も悪いし、だんだんやせていくし、このままじゃ死んでしまうと思って、すごい危機感を感じました。」

「ネット依存」の危険性

一度なってしまうと抜け出すのが難しい「ネット依存」。
専門家は、成長途中の子どもがネット依存に陥ることの危険性を指摘しています。

久里浜医療センター 樋口進院長
「子どもたちは、自分の行動をコントロールする力が、大人に比べてまだ発達していない。
一度はまってしまうと、“待て待て”と自分をコントロールする力は弱い。
自分の将来を作り上げていく時期に、ゲームにはまってしまうので、将来の自分の生活を非常に危うくしていることが一番問題だと思います。」

ネット依存克服 「目標・支えてくれた人」

ネット依存を抜け出すにはどうしたらいいのか。
克服した人に話が聞けました。
この男性は、2年間続いたネット依存から脱却したいと、通院治療を始めました。

治療では、まず、これまでの1日の過ごし方を書き出すことで、いかに自分が深刻な依存状態であるかを理解させます。
さらに、患者同士で体験を語りあうことで、じかに触れあえる人間関係があると認識させます。

『ネット依存』克服した男性
「僕の経験している事とを同じ経験をしている人もたくさんいる。
それを共有できたのはすごく大きかった。」

8か月かけ、ネット依存を克服した男性。
自らの経験をいかし、将来、臨床心理士になるという目標も見つかりました。

『ネット依存』克服した男性
「何か目指すものがあるだけで、すごく毎日楽になって充実した感じがありました。
今振り返ると、目標があったことと、いろんな人に出会って支えられたことが、僕にとって大きく抜け出せたと思って、それが今も(依存に)戻らないための支えになっている。」

ネット依存対策 中学生の取り組み

ネット依存に陥りやすい中学生自らが、その対策を講じる動きも出てきています。

生徒
「『ピロリン』って通知が来ると気になる。」

生徒
「わかるわかる。」

この女子中学校では、生徒たちが自主的に、ネットへの入口となるスマホ利用のハンドブックを作りました。
ネット依存が美容に悪いと、中学生の視点から注意を促したり、身近にあるケースをマンガで紹介したりしています。

生徒
「わたし1年生の時にまさにこれで。
成績すごい悪かった。」

自分たちの経験から、スマホを使う上での5つのルールも提言しました。
使用する場所と時間を決める。
利用料を確認する。
中でも訴えたかったことは、家族とのコミュニケーションの大切さです。

生徒
「(スマホは)これから必要になってくるものだから絶対使わないわけにはいかないし、でも使いすぎてもダメだから。
大事な事は、ちゃんと顔と顔をあわせてコミュニケーションしたいなって思います。」

具体的な条件を話し合うことが有効

高瀬
「ご自分のお子さんが大丈夫かなと思った方もいらっしゃるかもしれません。
ネット依存にならないためには、どうしたらいいのでしょうか?」

和久田
「これまで多くのネット依存の中高生の治療にあたってきた、樋口進さんによりますと、
『無理やりゲームを禁止したり、スマホを取り上げるのは、逆効果になることもあるので、やめた方がいい』ということです。

大切なのは、「子どもと一緒にルールを決める」こと。
親が一方的に押しつけたルールでは子どもは納得せず、守ろうという気にもなりません。
ではどうしたらいいかと言いますと、例えば、『使う時間は夜の9時までにしようね』とか『場所はリビングで』など、具体的な条件を子どもと話し合います。

そして、決めたことを子ども自身に書いてもらうことなどが有効です。
さらに、子どもだけにルールを守らせるのではなく、親もその時間はスマホを使わないようにするなど、家族が一緒に取り組むことが重要だと言います。
ルールが守れなかった時のペナルティーも考えておくことも大切だということです。」

高瀬
「ネットやゲームへの依存は、低い年齢であればあるほど重症化し、治療にも時間がかかると言われています。
あらためて、ご家庭のルールをお子さんと話し合ってはいかがでしょうか。」

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