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2018年10月13日(土)

韓国 セウォル号沈没事故 調査報告書が遺族へ

小郷
「4年半前に起きた悲劇の真相は、いつになったら明らかになるのでしょうか?」

新井
「韓国の旅客船『セウォル号』。
2014年4月、航行中に沈没し、修学旅行中の高校生ら乗客およそ300人が犠牲になりました。」

小郷
「非常に衝撃的な事故でした。」

新井
「こちらは現在のセウォル号です。
去年(2017年)の春に引き揚げられ、専門家による事故原因などの調査が行われてきました。」

小郷
「先月(9月)、その調査報告書が遺族の元へ届きました。
事故から4年がたち、平穏な日常を取り戻すことを願う遺族にとっては衝撃の内容でした。」

衝撃の報告書 遺族は…

ソウル郊外に暮らすノ・ヒョンヒさんです。
セウォル号の事故で長女を失いました。

ノ・ヒョンヒさん
「絵を描くのが好きで、デザイナーになるのが夢でした。」

亡くなったイェスルさん。
当時、高校2年生でした。

「(船が)すごく傾いているよ。」

本人の携帯電話に残されていた映像です。

同級生
「お母さん、お父さん、本当にごめんなさい。」

イェスルさん
「助かるってば。
生きて会おうね。」

その願いは叶いませんでした。
事故のあと、つらくて写真を見ることもできなかったヒョンヒさん。
1年ほど前から、ようやく娘の死に向き合えるようになりました。

ノ・ヒョンヒさん
「今は…もちろんつらいですけど、写真を見ると、一緒にいると感じられて、つらい気持ちが和らぐ気がします。
いつも一緒にいるんだと感じられるように、目に見える場所に飾っています。」

そんなヒョンヒさんの家族の元へ、先月、ある本が送られてきました。

父 ジョンボムさん
「私たちも、おととい受け取りました。
この6冊です。」

専門家たちが進めてきた事故原因などの調査。
その結果を記した報告書です。

ノ・ヒョンヒさん
「追加の調査が必要だと…どうして…。
もどかしくてしかたがありません。」

原因は? 不自然な点も

船体が大きく傾いたことによって起きた、セウォル号の沈没。
これまでは、規定を超える量の積み荷などで傾いたとする説が有力でした。
しかし報告書は、岩場にぶつかるなど「外部からの力」によって傾いた可能性を指摘しました。

調査を行ってきた、ソウル大学のチャン・ボムソン教授です。
積み荷が原因と断定するには、不自然な点があると言います。
船の中から見つかった、車のドライブレコーダーの映像です。
予想以上に激しく動いていました。

ソウル大学造船海洋工学部 チャン・ボムソン教授
「こんなに急速に片寄ったとは思っていませんでした。」

チャン教授の想定です。
積み荷が原因の場合、船が傾くスピードはゆっくりで、車もゆっくり動くはずです。
しかし、ドライブレコーダーの映像によって、船が何かにぶつかり、一気に傾いたケースも調査する必要が出てきたといいます。

ソウル大学造船海洋工学部 チャン・ボムソン教授
「船が急速に傾き、それによって自動車などがあとから一気に片寄っているように見えます。
本当に独特で不思議な点です。
外部の何かと衝突した可能性も踏まえて、さらなる調査が必要です。」

「自分だけ元の生活に戻ることはできない」

事故の原因が分からなくなったヒョンヒさん。
今は「自分だけ元の生活に戻ることはできない」という気持ちです。

ノ・ヒョンヒさん
「幸せを感じたり、気分がよくなったりする時があるでしょう。
そういう時、“いいね”とは言えても、“幸せ”だという言葉が出てこない。」

次女 イェジンさん
「どうして?」

ノ・ヒョンヒさん
「言えない。
お母さんが幸せを感じては…。」

次女 イェジンさん
「いけないと思うの?」

ノ・ヒョンヒさん
「イェスルに申し訳なくて。」

この日、ヒョンヒさんは、イェスルさんが眠る納骨堂を訪れました。

ノ・ヒョンヒさん
「食べてね。
お母さんが作ったのよ。」

この4年間、ヒョンヒさんは幸せを感じることにためらいを持ちながら生きてきました。
事故の原因が分かれば、笑顔で娘に会いに来ることができるかもしれないと感じています。

ノ・ヒョンヒさん
「娘が私たちのところに戻れない理由を認めることで、生きていけそうな気がします。
『イェスル、これが原因でこうなったの』と話してあげたいんです。
母親なので、娘の喜びそうなことをしてあげたい。
それが私の願いです。」

新井
「セウォル号の調査は、今後2年間、継続して行われることになりました。」

小郷
「遺族のみなさんのためにも、事故を繰り返さないためにも、原因を明らかにしてほしいと思います。」

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