これまでの放送

2018年10月10日(水)

若者に広がる大麻 捜査に密着

高瀬
「いま急激に広まっている、大麻についてです。」

和久田
「検挙された人数はこちら。
去年(2017年)は3,200人以上となり、この4年でおよそ2倍に増えているんです。
背景には、危険ドラッグの規制が厳しくなり、大麻に流れていることがあるとみられています。」

高瀬
「特に若い世代に広がっている大麻。
NHKはその捜査に長期間、密着しました。」

「ネットで種を買った」

報告:永田恒記者(NHK仙台)

捜査員が向かうのは青森県六戸町の山中。
3年前、この茂みの中から、人の手で栽培された大麻が見つかりました。

当時の写真です。
茂みの中に、人目につかないようプランターが置かれていました。
大麻を栽培していた男が逮捕され「ネットで種を買った」と供述。

販売元を突き止める捜査が始まりました。

種の供給源を絶つことが狙い

捜査にあたったのは、東北厚生局麻薬取締部です。
内偵捜査を進めてきた捜査班に密着しました。

捜査幹部
「近年大麻は危険ドラッグが下火になったあおりを受けて、20代や30代の若者が大麻濫用に移行していて、非常に厳しい、懸念される状況にあります。」

今問題になっているのは、大麻を種から栽培し、乱用するケースです。
種の供給源を絶つことが今回の捜査の狙いです。

東北厚生局麻薬取締部 髙橋正部長
「密売人から大麻を買うのではなく、自分で育てよう、栽培しようという、そういう輩(やから)が非常に増えている。
大麻種子の売買は、このまま放置できない。
あらゆる法令を駆使して検挙する。」

容疑者検挙 種の入手ルートは

青森で大麻を栽培した男は、どこから、種を仕入れたのか。
販売していたのは、匿名性の高いインターネットの掲示板に投稿する「関西ぶろーかー」と名乗る人物でした。

数ヶ月に及ぶ内偵捜査の結果、浮上したのは大阪に住む男。
郵便物の記録などを丹念に分析し本人の居場所を突き止めました。
自宅は大阪の中心部にある平凡なマンションの一室です。

捜査員
「ここ、この左側。
縦に細長いマンションです。」

この7階に生活し、毎朝きまった時間に仕事に向かっていることがわかりました。

着手の前日。
容疑者を逮捕するための役割分担を決めます。

捜査員
「これまでの捜査で、被疑者、だいたい午前7時40分ごろ、外出する状況を確認していますので、そこを待って、着手。
被疑者は外出すると、ここからバイクまで歩いて行き、バイクでこっちかこっちかという動きをしています。
なので出る瞬間を確認して、捕捉班で犯人を押さえたいと思います。」

捜査員
「現場で暴れる可能性があります。
なので受傷事故防止に留意して、捜索に当たってください。
よろしくお願いします。」


5月15日、午前7時過ぎ。

捜査員
「出てきた、左。」

現れたのは、建設作業員の35歳の男。

取り押さえられた容疑者
「まじか、この人数。」

掲示板で大麻の種を売っていた「関西ぶろーかー」でした。

男の自宅にあったのは、栽培中の大麻草。

捜査員
「2株だね。」

さらに、300を超える大麻の種でした。
3年前から3か月に1度、オランダで種を購入。
5粒あたり、2万4,000円で販売し、年間100万円以上を稼いでいました。
男は調べに対し、「海外旅行に行くためにお金を稼ぎたかった」と供述しました。

世代に大麻が広がる一端が浮き彫りに

その後の捜査で分かった事件の構図です。
販売先は北海道から沖縄までのおよそ20人に広がっていました。


7月3日。
捜査員は神戸にいました。
この大麻の種を、5回に渡って購入していた人物の自宅を捜査するためです。

逮捕されたのは32歳の男。
大麻の種を、友達にも横流ししていたことを語りました。
20代や30代の若い世代に大麻が広がる一端が浮き彫りになりました。

東北厚生局麻薬取締部 髙橋正部長
「こんな子どもが、こんな若者がという、そういう人たちが実際に使っている。
今回も暴力団関係者とか、そういうものではないんですよね。
非常に広がっている。
(大麻摘発が)3,000人という数字は、実は実態ではなくて、もっと実は広がっている可能性があると、本当に危機感を持っています。」

大麻の危険性 繰り返し伝えていく

高瀬
「取材した永田記者に聞きます。
永田さん、若者が手軽に大麻の種を買って、ネットで販売しているという実態には驚きましたね。」

永田恒記者(NHK仙台)
「はい、そうなんです。
中にはそれほど罪の意識はないまま手をそめていく若者もいて、大麻が一般の社会に広がっていることを実感しました。
大麻取締法では、不正な栽培目的で種を持てば処罰の対象となりますが、種自体は大麻の定義には入っていないんです。
VTRに出てきた神戸での捜査では、自宅から栽培後の大麻草が見つかったので検挙につながりましたが、種を持っているだけでは取り締まるのが難しいのが現状です。」

和久田
「『こんな子どもが、こんな若者が』という言葉もありましたが、この広がりをなんとか食い止めなければいけないですよね。」

永田記者
「はい、そうなんです。
大麻は覚醒剤などと比べて、価格が安く、手に入りやすいことに加えて、手をそめた若者たちがほかの薬物使用の深みにはまっていくことがあることから、ゲートウェイドラッグ=入門の薬物とも呼ばれているんです。
このため麻薬取締部は、大麻の危険性について若い世代に繰り返し伝えていくなど、予防教育を徹底していきたいと話しています。」

Page Top