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2018年9月18日(火)

学校の部活動「短縮化」どうする?

豊原
「中学校や高校の部活動についてです。
教員がほとんど休日を取れなかったり、生徒のケガが増えたりするなどの課題が指摘されてきました。
このため、スポーツ庁は今年(2018年)3月、運動部の活動に関するガイドラインを策定しました。
私立を含めた学校に、週2日以上の休養日を設けるなど、時間の短縮を求めたのです。
このガイドラインにどう対応するのか、全国の学校現場で模索が始まっています。
このうち、全国でも珍しい『朝の練習の原則禁止』を打ち出した、茨城県のある中学校を取材しました。」

運動部 朝練禁止 戸惑う声

茨城県の下妻中学校です。
午前8時前、以前とは違う静かな朝を迎えています。
半年前までは、朝練でにぎわっていたグラウンド。
今年度から、運動部のすべての「朝練」が原則、禁止されました。
一昨年県大会で3位に入った野球部も、練習は放課後のみです。
朝練をやめたことなどで、全体の活動時間は半分近くに減りました。
生徒たちの間には、これまでどおりに技術を高められるのか、戸惑う声が広がっています。

生徒
「マイナスなイメージしか思い浮かばなくて、不安な部分がありました。」

生徒
「やりたいことが目いっぱい出来ないので、もうちょっと時間がほしいなと感じます。」

不安を感じているのは、生徒だけではありません。
顧問の渡辺智大教諭です。
年齢が違う人とのコミュニケーションや仲間と協力しあうことなど、学校教育としての役割をこれまでどおり果たせるのか、懸念しています。

野球部 顧問 渡辺智大教諭
「勉強だけでは学べない、社会性だとかそういった部分を学んでほしい。
実際にやらなくなって、子どもたちにどういう影響が出るのかはすごく不安。」

対策は交換日記・専門家の指導

そこで渡辺教諭が1か月前から始めたのが、生徒との交換日記です。
日々の練習や人間関係の悩みなどに1人1人丁寧に答えることで、短くなった時間を補おうとしています。
生徒が不安に感じていた野球の技術についても、新しい試みを始めました。

スポーツ指導論の専門家を定期的に招いて、短時間でも効率的な練習法を学びます。

筑波大学 体育系 川村卓准教授
「ここを長く保てるかどうかが、うまい人とへたな人を分けます。
バッティングも同じ、ピッチングも同じ。
そういうふうに全部つながってくる。」

時間の短縮が求められる中で始まった、試行錯誤の取り組み。
渡辺教諭はこれで十分な成果を得られるのか、まだ確信を得られずにいます。

渡辺智大教諭
「子どもたちの思いを裏切らないためにも、自分も一生懸命やりたい。
まだ始めて1か月くらいなので全然だと思います、中身は。」

自分たちで試行錯誤

学校の部活動に詳しい専門家は、時間短縮への対応には明確な答えが無いため、それぞれが模索を続けていくことが重要だと指摘します。

早稲田大学 スポーツ科学学術院 中澤篤史准教授
「現場でどうするかというものを、生徒も含めた当事者で話しあってほしい。
自分たちで試行錯誤して、あるいは競技・種目別にもっと精緻に考えていくということはこれからも進めていくべきだと思います。」

生徒の自主性を尊重

国のガイドラインに先駆けて、7年前から時間短縮に取り組んできた運動部があります。
広島県の安芸南高校サッカー部。
平日の練習は週2日、2時間以内としました。
かつては県大会にも出られませんでしたが、今ではベスト8に進む強豪になりました。
顧問の畑喜美夫教諭です。
短い時間の中で、学校教育としての役割を果たすため、大事にしてきたのが「自主性」です。
練習メニューなど重要なことは生徒に決めさせ、サポートするのは、アドバイスを求められたときだけです。

サッカー部 顧問 畑喜美夫教諭
「人に言われてやるよりも、自分で『これが足りない』と思ってやったほうが、3倍力がつくと思ってる。
勝負も大事だけど、社会からの逆算で、子どもたちが大人になった時に、どれだけ必要とされる人材として頑張っていけるかを優先順位の一番に考えている。」

限られた時間を効率よく使うため、全体練習では、普通の学校でよくやる基本の反復練習はしません。
その分、重視しているのが「ミーティング」です。
その日の練習で意識して取り組むテーマを何にするか、意見をぶつけあいます。

部員
「全員が考えて距離感を意識してプレイしていけばいいと思う。」

部員
「ほかある?」

部員
「1人がミスしても、次の人がいけるようにやっていけば。」

部員
「中に入ってとられるとか、危ないシーンがある。
あれは考えてやろう、OK。」


実際の試合でどう動くのか、ゲーム形式の練習で、チーム全体が意識を共有します。
一定の成果をあげてきた、自分たちで考える取り組み。
今後も何が自分たちにとってベストなのか、模索していくつもりです。

サッカー部3年 山口泰市さん
「今の練習メニューや時間配分とかも最初はうまくいかず、時間に間に合わなかったりした。
やってみてダメだったら次はもっとこうしたらいいんじゃないかと、トライ&エラーを繰り返しながらやっています。」

きっかけから工夫 質を高める

和久田
「密度の濃い練習をしたり、目的意識をはっきりして共有したりと、充実感が表情から伝わって来ましたよね。」

豊原
「そうですね。
もともとは、教員や生徒の負担を少なくする目的で作られたガイドラインですが、それをきっかけに、自分たちでしっかり考えたり工夫したりして、効率化につながたり質が高まっていく。
いい方向に向かっていくといいなと思います。」

高瀬
「充実感に加えて達成感、結果にもつながっていくとなおいいということですよね。」

豊原
「以上、変わる部活動についてお伝えしました。」

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