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2018年7月31日(火)

動き出した“エドテック” その可能性は?

保里
「高瀬さん、『EdTech(エドテック)』という言葉を知っていますか?」

高瀬
「最近、聞くようになってきましたけれど、教育に関する言葉ですよね。」

保里
「エドテックとは、『Education・教育』と『Technology・科学技術』を組み合わせた言葉なんです。
発達するIT技術を使って教育の質を向上させようという取り組みで、いま世界中で注目されているんです。」

活用広がる“エドテック”

エドテックの活用が広がる中東のイスラエルです。
先月(6月)、エドテックの国際見本市が開かれました。
こちらは理科の授業で使う道具。
1台で気温や湿度、気圧など12の値を計測できます。

こちらは、小学生のためのプログラミングの学習ソフト、「コードモンキー」です。

「サルがすべてのバナナを取っていきます。」

サルをどのように動かしたら好物のバナナにたどりつけるのか。
必要な歩数や進む方向を、数値にして式のように打ち込んでいきます。
この式をくみ立てることでプログラミングの基礎を学ぶことができます。

教師はネットワークを介して一人一人の進み具合を簡単に把握することが可能です。
すでにこのソフトはイスラエル国内の80%の小学校が導入。
子どものやる気を引き出し、学習効果を向上させています。

生徒
「コードを書いたり、問題を解いたりするのは楽しい。
このソフトのおかげで、プログラミングが大好きになった。」

コードモンキー・スタジオ ジョナサン・ショーCEO
「今の子どもたちは、インターネットで自分の興味のあることを検索して学んでいる。
テクノロジーは教育を変えるチャンスをもたらしている。」

日本での導入は?

この学習ソフト、日本でも導入が始まっています。

生徒
「4時間目の算数を始めましょう。」

静岡県西伊豆町にある田子小学校です。
先月から試験的に授業に取り入れました。

先生
「ゼロでひゃくにじゅう…。」

生徒
「123度。」

先生
「さあ、いってみろ!
曲がった、取った、ほらっ!」

子どもたちは専用のパソコンを使って自分のペースで学習。
うまくいかないときには、自動的にヒントも出ます。

生徒
「パソコンのほうが自分のペースでできるからいい。」

生徒
「普通の勉強だとノートに写すだけだから、パソコンのほうが身につく。」

高瀬
「試験的ということですけれども、イスラエルのエドテック教材が日本にも導入されているんですね。」

保里
「そうなんです、始まっているんですよね。
このエドテック、教える側の先生の働き方を変えることも期待されているんです。」

エドテックで変わる教師の働き方

自宅に帰るバスの中。
高校生がスマホで行っているのは、宿題。
空いた時間を利用して勉強できる「スタディ・サプリ」と呼ばれるエドテック教材です。
この教材を導入している、茨城県の石岡商業高校です。
生徒がいつエドテック教材を利用したか、進み具合はどのくらいか、教師のパソコンにはデータが自動的に集計されます。

石岡商業高校 進路指導部 山本達也教諭
「何回も解きなおして、最終的に全部の問題が100点を取れるようになっているというのがこれで分かる。」

教師はデータを元に生徒の苦手なポイントを把握。
補習のための講義動画と、レベルに合わせた小テストの配信を行います。
もちろん、生徒がいつ補習を行ったのかも確認できます。

石岡商業高校 進路指導部 山本達也教諭
「夜遅くになって気付いたので、焦ってやったのかなというのが、見ると分かる。」

エドテック教材の導入は教師の負担軽減にもつながっています。
放課後に行っていた紙での小テストは不要となり、テスト作りや採点の手間がなくなりました。

石岡商業高校 進路指導部 山本達也教諭
「小テストであれば1クラス30分ほどかもしれないが、それが3クラスであれば1時間半になってしまう。
そのぐらいの時間は減っていると思う。」

業務量が軽減されたおかげで、生徒と触れあう時間が増加。
これまで把握するのが難しかった学校外での生徒の勉強のしかたにも、踏み込んで指導することが可能になりました。

石岡商業高校 進路指導部 山本達也教諭
「夕方かな、宿題を解いていたけれど、疲れは大丈夫だった?」

生徒
「疲れているんで先にやって、ゆっくり寝ようと思って…。」

石岡商業高校 進路指導部 山本達也教諭
「いつやっているか分かるので、生活指導などにも役立てることができると思う。」

文部科学省は今後、エドテックを教員の育成にも役立てたいと考えています。

文部科学省 情報教育課 梅村研課長
「ビッグデータをもとに分析して、指導が非常に優れている先生を把握できれば、そういった先生方の指導方法を横で共有する取り組みにつなげられる可能性もあると思う。」

日本での導入 広がるか?

高瀬
「慌てて勉強したのがばれるというのは、ちょっとどうかと思いましたけど、今の子どもたちには受け入れやすいのかなという気もします。」

保里
「では、取材した加藤記者とともにお伝えしていきます。
エドテックは日本でも導入は進んでいくのでしょうか?」

加藤誠記者
「日本では、まず、家庭学習や授業の補助教材という形で広がりつつあります。
学校や自治体側の取り組みが先行している例もありますが、文部科学省は今後、教科書を使う義務がある国語、数学、英語などの授業にもエドテックを導入するため、実証研究を進めていく方針です。
本格導入はこれから検討するという段階です。」

エドテック 導入への課題は?

高瀬
「導入に向けての課題は、どういったことになりますか?」

加藤記者
「何を学んだのか、どの程度理解できたかなど、エドテックで記録されるデータは個人情報です。
データの取り扱いには注意する必要があります。
また、エドテックではタブレットなどで1人で学ぶことが多くなります。
ソフトの質はもちろん、心身の発達への影響も検証することが重要です。
整備が遅れている教室の無線のインターネット環境も必要です。
さらにITやAIで社会、経済が変わる中、どのような教育を目指すのか、ということも議論する必要があると思います。」

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