これまでの放送

2018年7月18日(水)

修繕費用を“稼ぐ”マンション

高瀬
「マンションの新たな動きについてです。」

都内にあるマンション。
駐車場の一部をコインパーキングに。
自動販売機も設置して収益を上げています。

こちらのマンションでは、敷地をドラマのロケ地としてレンタル。
いま、積極的に「お金を稼ぐ」マンションが増えています。
稼ぐ目的は“修繕費用”。
築30年を超えるマンションが全国の3割を占める中、建築資材が値上がりしたり、住民が高齢化したりして、修繕費用が集めにくくなるなど、計画通りに修繕ができないケースが問題になっているのです。

一世帯あたり150万円の修繕費

埼玉県にある築34年のマンションです。
壁ははがれ落ち、雨のたびに水がしみだします。
避難用具が入った設備は…。

マンションの住民
「34年、開かずの扉のまま。」

もともとは賃貸だったこのマンション。
その後分譲されましたが、修繕費用は十分に積み立てられず、一度も修繕を行ってきませんでした。
住民たちはマンション管理のプロとして国の資格を持つ「マンション管理士」に相談。
大規模修繕に必要な金額を割り出したところ、一世帯あたり、およそ150万円の負担が生じることがわかったのです。

マンション管理士 武居知行さん
「築年数が古くなれば、当然直すところも多くなります。
時代が流れていけば物価も上がっていきますので、早め早めに対策していくことが大事。」

敷地の有効利用で“稼ぐ”

こうした中注目されているのが “みずから稼ぐ”マンションです。
こちらの住民たちがマンション管理士から提案されたのは、敷地の有効利用です。
マンションの空きスペースに設置したのは「自動販売機」。
使われていない駐車場は「コインパーキング」の業者に貸し出しました。
自動販売機からは年間15万円、コインパーキングからは72万円。
あわせて1年で87万円の収入を得られるようになりました。
住民が修繕費用として支払う額を当初の計画よりも抑えることができ、負担軽減にもつながっています。

管理組合 理事長
「駐車場の貸し出しとか素人ではわからないことがいろいろあるので助かっています。」

マンション管理士 瀬下義浩さん
「長期的な修繕計画にマンション自体の資金が耐えられなくなるのが一番の問題。
できる範囲で収入は増やすべきだし、無駄な支出は削減すべき。」

住民主導の “稼ぐ仕組み”

専門家の手を借りず、住民主導で“稼ぐ仕組み”を導入したところもあります。
5棟で230世帯が入居する築30年のマンションです。
昔から住民同士の交流に力を入れてきました。
修繕費用を稼ごうと屋上に設置したのは、600枚以上のソーラーパネル。

利益率の良かった5年前に、住民たちで作る管理組合が太陽光発電に乗り出したのです。
得られた電気は、全量、電力会社に買い取ってもらっています。

管理組合理事長 国田一男さん
「本日、約600キロワットの発電ができておりまして、今日の売り上げは 2万4,000円。」

去年(2017年)は年間で700万円以上の収入になりました。
これまでは住民の積立金のみで修繕を行ってきたこのマンション。
今後、住民が減ったり、高齢化したりしても、太陽光発電の収入を生かして、修繕は予定通り行える見通しです。

管理組合理事長 国田一男さん
「これ(太陽光発電)はやるべき。
やってよかったなと。
新たな収益のチャンスがあるのかないのか。
経営感覚まではいかないまでも、事業感覚は必要なんだろうと思う。」

修繕費を抑える対策 公的支援も

高瀬
「取材した直井記者です。
なるほどと思いましたが、いろいろなことが起きた時に何か対策を…と思っても、住民の合意を得るのがなかなか難しいという話をよく聞きますね。」

直井記者
「そうですね。
確かにマンションが稼ぐためには、住民で作る管理組合の総会を開き多くの人の同意が必要など、高いハードルがあります。
また、コインパーキングや自動販売機にしても、収益を申告して税金を収めなければならず、手続きが煩雑なことも事実です。

しかし、太陽光発電を導入したマンションでは、住民の中に電気設備関連や建築士など様々なノウハウを持った人がいたんです。
こうした住民の知恵を結集させることで、修繕費用を得るアイデアを生み出していました。」

和久田
「とは言え、こうしたことを、すべてのマンションができるかというとやはり難しそうですよね。」

直井
「そうですね。
築30年を越えるマンションは10年後には現在の2倍になると言われています。
自治体によってはマンション管理士による相談会を開いたり、無料で現地に派遣するなどの支援も行っています。
みずからの資産を守り、安心して暮らしていくためにも、公的な支援も活用しながら修繕費用を抑える方法を住民全員で話し合っていくことが必要だと感じました。」

高瀬
「先々を考えた対策が必要だということですね。」

Page Top