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2018年7月2日(月)

劇団四季 新作はオリジナル演出のせりふ劇

35年前から続くロングランのミュージカル、キャッツ。
公演回数が1万回を超えている、ライオンキング。
今年(2018年)65周年を迎える「劇団四季」。
先月(6月)上演を始めたのは、ミュージカルではなく、歌やダンスがほとんどない「せりふ劇」です。
「恋におちたシェイクスピア」。
劇作家・シェイクスピアが、道ならぬ恋を経て、代表作の「ロミオとジュリエット」を書き上げるまでを描いた作品です。
その舞台裏を追いました。

劇団の外から演出家を

和久田
「劇団四季がミュージカル以外の新作を手がけたのは、実に12年ぶりのことです。
海外の脚本をもとに、オリジナルの演出で挑みました。」

高瀬
「劇団四季の演出は、創設者の1人、浅利慶太さんが長年担ってきましたが、高齢を理由に4年前に退団。
その後、演出家は不在のままです。」

和久田
「そこで今回行ったのが、外部の演出家との共同作業。
およそ50年ぶりに、劇団の外から、日本人演出家を招いたのです。」

演出 青木豪さん「僕でいいんですか」

5月、「恋におちたシェイクスピア」の稽古が始まりました。
演出を務めるのは、青木豪さん。
劇団四季と仕事をするのは初めてです。
役者に考えさせながら、動きやせりふを決めていく演出で知られ、さまざまな劇団と仕事を続けてきました。

演出 青木豪さん
「『僕でいいんですか』というのがあった。
でもうれしかった。」

原点はオリジナルのせりふ劇

劇団四季は今でこそミュージカルが有名ですが、原点は、自分たちの手で作り上げるオリジナルのせりふ劇。
それを続けることは、劇団の将来のためにも必要なことでした。

劇団四季 吉田智誉樹社長
「劇団四季は、オリジナル作品に非常にエネルギーをかける集団。
将来、いまから20年30年あとのことを考えると、それを我々の世代でもちゃんと引き継いでいかないといけない。」

これまで劇団四季の作品の大半で、演出を手がけてきた浅利慶太さん。
劇団員たちは、浅利さんの教えを徹底的に身につけることで、舞台に立ち続けてきました。

“どんなものが出来上がるのか” 今回のチャレンジ

そんな劇団員たちにとって、みんなで考え、一緒に作り上げていく青木さんの演出方法は、経験したことがないものでした。
例えば、たて(殺陣)のシーン。

演出 青木豪さん
「はい、ありがとうございます。
いまうまくいっていなかった。」

突き飛ばされた役者が、前の人にぶつからないよう、不自然な動きをしていました。
すると、青木さんは役者たちに意見を求めました。
どうすればいいか、自分たちで考えてもらうためです。
あえてぶつからせて、受け止めてみてはどうかという意見が出ました。

「転ばなければいいなら、それでもいいかなと。」

演出 青木豪さん
「それでやってみようか。」

役者のアイデアを取り入れることで、勢いを生かした迫力のある演技が生まれました。

演出 青木豪さん
「行けるね。」

演出 青木豪さん
「みんなが自主的に考えていく。
劇団は“こういう芝居を作りたい”ということを共有している場所。
“どんなものが出来上がるのか”というのが、今回のチャレンジだった。」

実際に同じ苦悩をして表現の糸口をつかむ

青木さんから、特に、みずから考えるよう促されていたのが、主役を演じる上川一哉さんです。
大切な冒頭のシーン。

「例えるなら…。
君を例えるなら。」

このせりふの繰り返しと、動きや表情だけで、シェイクスピアが芝居の台本が書けずに苦しむ様子を表現しなければなりません。
青木さんから受けたアドバイスは、意外なものでした。
「簡単な物語を実際に作ってみてはどうか」と言うのです。
シェイクスピアと同じ思いをすることで、表現の糸口がつかめるのではないか。
上川さんは折に触れてペンをとり、空想をめぐらしました。

上川一哉さん
「こんな大変なんだと思います。
苦悩が(劇作家)ならではの苦悩ですよね。
できない、書けない、どうしようっていうところが。」

全体稽古が終わった後も、上川さんの役作りは続きました。

全員で作り上げたオリジナル演出のせりふ劇

そして迎えた本番。
上川さんがずっと向き合ってきた、冒頭のシーンです。

「君を例えるなら。」

追い込まれたシェイクスピアの苦悩を、自分のこととして表現しました。

「君を、君を例えるなら。」

劇団四季が12年ぶりに挑んだ、オリジナル演出のせりふ劇。
全員で考えながら作り上げ、客席に届けました。

観客
「涙が出そうなくらい感動しました。」

観客
「あまり歌が出て来ないものを劇団四季では初めて見た。
こういうのも面白いなと思って、また見に来たいと思いました。」

新たな魅力に期待

和久田
「『ロミオとジュリエット』の物語とシェイクスピアの恋が絶妙に絡み合う、なんとも切なくドラマチックな作品なんですが、これまでのミュージカルとは一味違って、ストーリーとか、登場人物の心の動きを楽しむ、本格的な演劇になっていると感じました。」

高瀬
「力のある劇団が新しいことにチャレンジして、今度はどんな新しい魅力が生まれるか、楽しみですね。」

和久田
「この作品の上演は、東京で行われたあと、京都や福岡でも予定されているということです。」

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